人生いろいろ⑩ 青春篇(バイト小噺)

はい、公約通り今回は当時の大学生バイト事情です。

大学生のバイトというと、まず頭に浮かぶのは家庭教師とか塾講師ですよね。
私の友達にも家庭教師をやってる人はたくさんいましたね。
「●●学部のあいつは時給5,000円らしい」とか「医学部には時給一万円のやつが」。さらには、息子が受かったらなんでも買ってやるという「そっち系」のクライアントがあり息子さんが無事合格したからよかったのですが、「もってけ」と言って値段もわからないような外車のキーを渡されたとか。これは実話なのかなぁ(笑)。
塾講師はH学園という塾で中高の親友(他大学)が頑張ってまして、トップではないもののかなりの人気講師っぷりで時給5,000円クラスだったとか。車はWINDOMに乗っていました。その代わり、どうすれば生徒に好かれるか(毎講義終了後に生徒から評価されるそうで・・・)とか、講師間の関係(社内政治ですね)などをめちゃくちゃ気にしてました。時給は高くても「気遣い料」みたいでなんか嫌だな(笑)。
ちなみに彼はファーストキャリアは公務員だっのですが、大学三年生のときに「この金銭感覚はやばい」と気付き、少しづつ塾活動を縮小しました。彼の選択は正しくて、社会に出ると普通は塾講師の学生バイトよりも遥かに低い初任給なので、嫌になって退職して塾講師に舞い戻ったりするらしいのです。かといって、塾講師になるのが元々の夢だった訳ではないでしょうし、何歳になっても中高生相手の塾講師の賞味期限が切れない訳ではないので、ある意味不幸な人生なのかもしれません。

と、人の話はそれくらいにして私はと言いますと。
最初は住居と同じで大学の掲示板から探しました。それで、まずは手元資金がほしいなと単発バイトに手を出しました。
京都の●●会館みたいなところでやっていた芸術系の展覧会の片づけバイト。単なる肉体労働なのですが、みんな手早く効率的に終わらせたいので初対面でも関係なく協力・連携してやるんです。それでも例えば夜7時からはじめて4時間くらいはかかったはずです。終わった時はさすがに疲弊してヒーヒー言ってますが、手元には7,000円という労働の証が。
まだ肉体的に若かったですし、そんなに悪くないバイトではあると思うのです。ただ、終わったら「はい、他人」というのが少し物足りなかったんです。当時は携帯もSNSもないし、バイト先で一緒になって気が合ったとしても、気軽に繋がるということはありえませんでした。SNSが普及した今ならいろんな人と知り逢えるという点でおもしろいバイトなのかもしれませんね。

ということもあり「定職がほしい」と近所を自転車で散策している間に見つけたのが、お好み焼き屋のバイト募集の貼り紙。お好み焼き屋といっても関西風と広島風で違うのはもちろん知っていましたが、まあそんなに違和感はなかったのでとりあえず電話すると「同じビルの5階に事務所があるから」と言われ、簡単な面接を終えて即採用決定。時給は750円だったはずです。
店の体制はオーナー1名、料理人1名。オーナーさんは一代で財を成した方。この方と最初に面接しました。彼はこのビルの所有者で、1階のお好み焼き屋と3階のパブ(?)の経営者。お好み焼き屋のオペレーションはまあ「オマケ」みたいなものです。人を雇うと人件費がバカになりませんからね。ただ、この方とはあまりソリが合わなくてですね。。
一方で、料理人の方は元高校球児のイケメン。いつか嵯峨野・嵐山で店を持ちたいという夢を持っていらっしゃいました。私はその方に気に入られ、いつもコンビ体制。マンツーマンで業務を教えていただいていました。そして、当のオーナーは基本的に5Fの事務所で油を売っているか、3Fのパブで遊んでいるか。たまに、1Fお好み焼き屋でカウンターに入ったかと思えば常連客とダラダラ世間話。と思ったら、お客さんと話が盛り上がり「hello!、店番頼んだぞ。ちょっと質屋行ってくるわ」と数カラット?の宝石を私にチラ見せさせてニヤリと笑い、そのまま店を出ていきました。他にも毛皮のコートを持っていったこともありました。
このオーナーのことが本当に生理的に受け付けなかったのですが、元高校球児の料理人さんを私は兄貴のように慕っていたので、なんとかもっていたような感じです。
が、ある日その元高校球児さんが「hello!、話がある」と。聞けば、「今月末で店を辞める」とのことでした。嵯峨野の料亭で働くという夢の序曲。とある店で丁稚奉公することが決まったようなのです。本当に残念でしたが、こればかりは笑って送り出すしかない。
その後オーナーは誰も店員を補充しなかったので二人で店を回し始めたのですが、まあ、回りませんよね。お互いに相性が悪いうえに、オーナーは別に料理人でもなんでもないし、バブルで土地を転がして財を成した人だから、すぐへばっちゃう。お好み焼き屋ってずーっと厨房にいたら暑いですからね。スタミナ勝負。そんなことすらこの方はガマンできないので、1時間もしたら3Fか5Fに逃げちゃう。そういう時に限ってお客様が来てしまい、「とりあえずビール」とかそういうのは不器用な私でもそこそこ対応できるのですが、目の前でお好み焼きを焼いてくれと言われたら、さすがにうまくやれない訳です。でも店を出している以上は焼かざるを得ない。そして大失敗こいているところにオーナーが降りてきて「オマエ、何やってるんだ!」と。

さすがに、もうやめますわ・・・

勤め始めてわずか1か月くらいでしたかね、そうオーナーに伝えたところ「おー、別にかまへんで」と。そして満を持して、「今日までの給料をお支払いいただけますか?」と切り出すと、彼の顔色が急に変わり「おう。今接客中やからな、また来いや」と。これはきな臭い、と思いながらも、ここでコトを荒げてしまってはもらうべきものをもらい損ねる可能性があるので穏便に。その後3日に1回くらい顔を出して「どうですかぁ?」、「また来てくれや」の繰り返し。まだ大学生だったので、こういう時の対処法をよく知らず愚直に同じことを繰り返していたのですが、ある日店に行くと営業日にも関わらず締め切った店の自動ドアに「しばらくの間、休業いたします 店主」との張り紙が。

マジかよ・・・

翌週早々にまた訪れると「当分の間、休業いたします 店主」に変わっていました。自動ドアのところに紙がたくさん挟まっていたので何だろう?と思い見てみると、未納と思われる水道料金、ガス料金、電気料金等の請求書が山のように。。。

こんなん、バイト代なんか払えるわけないやんか!!

クソっ!と思って、店の外に出ている路上のサインボードでも蹴飛ばしてやろうかと思ったら、既に先行者がいたのか、プラスチックの板面がバキバキに割れ大破していました。

という訳で、入学早々「バイト詐欺」に遭った件を綴ってみました。これだけで相当の分量ですね。。
続報は次に譲ります。大学生活といえば、部活・サークルとバイト。この辺を語り始めると話が止まりませんね(笑)。ではでは。

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