3月17日（日）の朝10時。

あれから悩んだ結果、
国内、それもヒッチハイクで旅をしようと決めた。

今は行きのバスの中。

なんとなく知ってるヒッチハイク。
でもいざ1人で、しかも人生初のヒッチハイクにチャレンジするとなると、

漠然とした不安に駆られ、
地に足がつかない気分になる。
腹の底が謎の浮遊力を帯びているみたいに、浮き足立ってる。

気持ちが落ち着かない。

緊張している。

シンプルに緊張している。

これから道路脇で
1人の少年が
スケッチブックを掲げて立つのである。
〇〇方面！

それが自分の、今からわずか30分後の姿なのである。

通行人にどんな顔を、されるんだろう。

車に乗ってる人は、きっと「やってるやってる〜笑」みたいな感じで僕のことを見てくるのだろう。

それでも心優しい人に出会えるのだろう。
定かではないが。

恥ずかしい。

これが正直な気持ちだと思う。

今まで割と不自由なく過ごしてきたし、
あまり人前で恥かくようなことをあまりしてこなかった。

でもこれから立ち向かうのは
断られて当たり前で
笑われて当たり前の世界。

これまで自分が感じたことのない感情を抱くんだろう。

それもある意味、自分探しと捉える。

自分の殻を破ろう。

これから社会に出れば理不尽なこと、
自分じゃどうにもならないことがたくさん待ち受けているはずだ。

このヒッチハイクの旅を通して
もちろん人との触れ合いを楽しんで、さまざまな人の人生の一片を感じたい。

でもそれ以上に、自分のことを見つめ直したい。
これまでの自分では知らなかった自分に出会いたい。

足取りは重い。

できることなら引き返したい。

やるけど。

さあ行こう。

聖地、用賀へ。

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