26.味の好みは優しさ

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こんにちは
上記の「1.初めまして」の記事を
必ず読んで同意の上で次にお進み下さい
↑の「1.初めまして」に記事一覧あります

26.味の好みは優しさ

私は一人暮らしをするまで
台所に立つ事が禁止されていました
母は台所を自分の場所と思っているようで
私が冷蔵庫にモノを取りに行くのも
少し嫌そうな素振りを見せていたのです

高校生の時に友人と同学年では二人だけの
家庭科部に所属しており
先輩や顧問の先生との交流をする事も無く
二人で好きな時に好きなものを作っていました
ですが其処でも作るものはお菓子限定であり
私は友人の補助役で食べる係担当
今思えばなんと贅沢な役回りでしょう…

そんなこんなで料理と無縁の私の初めての一人暮らし
さぞ飢えに苦しむ事だろうと思ったものの
あぁコンビニ天国…ありがとうチェーン店
彼らの便利を満喫する日々でした

しかし蕎麦好きの私としては
ちょっとフニャっとしたコンビニ麺が好きでは無く
たまに作る事にしたのです
作ると言っても乾麺を茹でて味付け具を乗せる
大して難しい事をするわけでもないのですが
なんせ料理は経験が浅く驚きを創造する不器用さ

しかし私は思うのです
私は実は天才なのではないかと…
そう思い味見をしたお玉の反対の手には
麺つゆを握りしめていました

と、最初は美味しく出来たのです
麺つゆ様々ですね
しかし凡人故か不器用を創造するクリエイティブ根性か
次に作った蕎麦はとんでもなく不味かった

味がとにかく薄い
味がしないだけではない
味がしないだけでこんなに不味くなるのか
疑問に思う程に不味い…

其処で気になるのが
出されたモノを粗末にできない神様方の反応…
蕎麦を愛してやまない鬼灯様
顔色一つ変えず声を上げる事もなく
そして表情もなくただ静かに召し上がっている…
その静かさが怖い…明らかに不味いのに…

謝っても味は変わらないが平謝りしている私に
とっても明るい声が降ってきた
「え!?美味しいよ??」
そう言って本当にそう思っている笑顔で食べている
豊様だった
明らかに不味いのになんてお優しいと喜ぶと
本当に美味しいのに…と少し不満げな様子

豊様は人神様で神代の時代に人と共に暮らされた方
あの時代にどんな味付けでどんな素材があったのかは
詳しくは知りませんが
素材そのものを味わう事も多かったようです

そして現代でも
神社で奉納があるものは素材そのものも多く
神使さんが調理されたりもしますが
本来の命のあり方そのものをいただく事も多いみたい

なので豊様が美味しいと仰ったのは
きっと心からの本心だったのだと思います
それでもね
あの時の言葉はやっぱり優しさだって感じたんです

26.味の好みは優しさ