お風呂の神様

喉が腫れすぎて声が出なくなった。
通常時もあまり通らない私の声は、いまやエアコンの風の音にもかき消されてしまう。
こういう時に限って話をさせたがるのが人の性か、いつもより家族に話しかけられる。しかも聞き取れないから何度も聞き返される。コントかい。

喘息の咳は収まっている。治療のおかげで良くなっているのか、喘息が空気を読んでいるだけなのかは分からない。どちらにしても救われている。ありがとう。どこに向けた感謝なのかは分からない。一周まわって自分の可能性もある。どういたしまして。

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3ヶ月くらい前のこと、HwasaのI Love My Bodyのサビ前「I love my body 윤기나는 내 머리」の部分を初めて聞いた私は、何だこの攻めた歌は!とかなり衝撃を受けてしまった。
アンニュイな発声とエキゾチックな音階に、言い表せない魅力を感じる。挑発されているようで、懐柔されているような……。人を虜にするとはまさにこの事だ。人物も経歴も知らないけれど、こんなことはこの人にしか出来ないと思った。

そしてその特徴的なメロディに乗せて歌われる歌詞は、タイトルにもなっている「I love my body」から始まる自分の身体をひとつひとつ賞賛する言葉だ。
これが独特なメロディーと合わさることで、自分の美しさに心底うっとりしていて誰の意見も聞かない盲目的な様子が伝わってくる。

こういう歌い方やメロディにルーツはあるのだろうか。他の曲ももっと知りたい。
曲について調べてみるとPSYが代表している事務所が関わっているとわかり、ルーツという程では無いが少しだけ納得できた。
PSYのGENTLEMANの出だし「알랑가몰라」も不思議なメロディだ。方言を聞いた時のような親しみと排他的な印象があった。
とても興味深いので、今後もこの系統はチェックしていきたい。

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体調が悪いので風呂酔いがいつもより酷い。
風呂に入って気分が悪くならない人は本当にすごいと思う。
髪や身体が濡れると重さや感覚が変わり、通常よりずっと情報量が増える。そしてその異常事態を脳が処理し続ける。
私にとっては人混みにいるのと同じくらい気の張る状態だ。(人混みが平気な人も多いので、これは例えの意味が無いかもしれない。)
それを無意識に処理できるなんて、とんでもなく高性能だと思う。

もちろんどんなに酷く風呂酔いをしても、風呂に入ったことを後悔はしない。風呂ってすごい。むしろちょっと怖い。なにあれは。

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