前作『Vapor Dance Sessions』では段ボールに資本主義世界が生み出したがゴミの残骸を貼り付けたコラージュ的アートワークで度肝を抜いたTorsotreeの2020年作、本作も前作同様4曲入りのこれまた癖の強いゴミジャケットになっている。そもそも何故ゴミなのか?という疑問はあったが前作EPの売り上げを木々を植えるプロジェクトに全額寄付していたところを見ると、「資本主義の世界で生まれるゴミを自然サイクルの中に還元していく」というようなテーマ性が見て取れたのだが今回も同様なのだろうか。わからない。音源のほうもUK派生のポストロック文脈を感じさせる加工と切り貼りしたかのような浮遊感があり、そして人を踊らせる冷めたダンス感、それは狂っていく世界でも自分たちはまともであり続けようとするかのような人力ビート。『Spirit Palace Sessions』というタイトル通り、瞑想的であり浮世離れしているようにも聞こえるが、勝手にメッセージを受け取るとするならば、SNSに溺れて怒りをコントロールできなくなるくらいなら目を閉じてこの音に浸れ。無我の境地。

tracklist:
1. Mrs.Purple Hair
2. Hidden Fountain
3. Betula Murmur
4. The Court Of Pale Temple

Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)
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