入荷したはいいんだけど、ハンドメイドで1つ1つ作られているアートワークに触れるのが怖くてずっと聴けなかったこの音源についてレビューを書かなくてはならない。Portia fadingが活動を停止し、そのメンバーの一部とinthenaMEofloveのメンバーが合流して生まれた新バンドTorsotreeの最初の音源となるEP。サウンドとしてはドラム+ベース+アンビエント+ボーカル、が基本的な構成になっているんだけどギターの音がメインでなくなったサウンドというのは何故か今の時代の音のような感触がある。何故だろう。Lo-Hiな録音の音質だけれども、ベースがグルーヴも、アンサンブルのメロディも担っていき、ボーカルはその上で泳いでいく。そうだ、この音はなんだか浮遊感があるし温かかったりする。ハードコア的な現実や怒りやフィジカル的なものから離れ、意識の遠くのほうで鳴っているような音。2000年代の幕開けを時代と共に鳴らしたRadioheadの『Kid A』のような質感。日本でこの音が共鳴するような人間がどれだけいるのか疑問だけど、そういう音が好きな人もいると信じてます。

tracklist:
1. Fog Valley 04:43
2. Unwind Wet Fingers 03:59
3. Birch Ceremony 03:17
4. Cathedral Blue 04:32

Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)
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