エンジニア採用担当からプログラミングスクールで学ぶ方へのメッセージ。

2018年頃から、プログラミングスクール卒業生の応募が、それまでと比べて格段に増えたように感じます。
それだけエンジニアという職業に未来と需要があり、採用担当をしている身としてはとても嬉しい気持ちになります。

新しい環境で、技術について学ぶというのは体力も必要かと思います。
大変かと思いますが、勉強しながらぜひ考えてもらいたいなと思うことがあったので、こちらに残しておきたいと思います。

実はすでに、当社CTOのantipopがテックブログで、より質の高い内容でまとめています。
この記事は、全エンジニアの応募書類を見ている採用担当の言葉ということで読んでもらえれば嬉しいです。

エンジニアの就職率90%は本当?

プログラミングスクールを検索すると、「就職・転職に強い」「就職率は◯◯%です!」と謳っているところが多くあります。
趣味であればスクールに通わずに無料のサイトやYouTube、本などで学習することが多いですから、数十万円かけてスクールに通うということは、その先の就職を見据えてのことでしょう。

タイトルにある、「本当?」とはどういうことでしょうか。

有効求人倍率

有効求人倍率は年々上がっており、ほとんどの業界で1を超えています。
つまり、求職者より求人数が多いという状況です。
スクール生が目指す(であろう)情報通信業は、2018年に比べるとやや下がったものの、それでも2.65倍となっています。

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                          参照:マイナビ転職

という情報だけであれば、「求職者数が増えるのだから問題ないのでは!」と思われるかもしれません。
ただ、企業側は「人がいないから、誰でもいい!」のでしょうか。

よくある転職理由

おそらく求職者の方も「こういう仕事がしたい」というものがあると思います。
それを明確にして、スクールで学ばれることをおすすめします。
業界未経験の場合、同じエンジニアの働き方でも「自社開発」と「受託開発」の違いが分からず就職先を決めることもあるかと思います。
入りたいと思っていた企業の利用言語と、学んできた言語が違うこともあります。
「入社してみたら思っていた働き方と違った」ということもあります。
エンジニア就職率が高いのは、「どこでもいいからエンジニアとして就職した」という結果です。

以前、日本就業を希望した韓国人エンジニアが集まるイベントに参加させてもらいました。
すでに日本での就業をしており、転職というステータスなのですが、転職理由が全員「派遣先に行く仕事ではなく、自社開発の仕事が良い」でした。
話を聞いてみると、
「日本で働きたいと思い韓国で日本語とJavaを勉強してきた」
ということでした。

彼らは「就職ができた=就職率100%」なのです。
ですが、満足度はどうでしょうか。
彼らは勉強してきた言語がJavaであり、(もちろんソフトウェア系やWebサービス系でも利用している会社は多くあると思いますが)日本企業でおそらく一番欲しいと思うのは金融関連のSIerです。
金融関連はセキュリティはより厳重ですから、委託元の企業への常駐になることは調べるとわかります。

理解をすること

このように就職率は高いけれど、その後の満足度がどうだったか、というと、働き方のミスマッチ、ということは発生します。
もちろん、金融系(SIer)のエンジニアが悪いということではありません。
彼らの働き方と、それがマッチしなかったということです。
また、韓国ではメジャーな言語であるJavaが、日本のWebサービス企業ではメジャーではないというギャップもありました。
選考を進める際には、企業概要だけでなく、実際にエンジニアがどのように働いているのか、しっかり確認することが必要です。
企業によっては面談を行なっているところもあります。
面接で聞きにくいことや、現場の雰囲気を知るチャンスにもなるのでぜひご利用いただければと思います。

そして言語についてです。
外国語のように、一つの言語を覚えると、他の言語も覚えやすいと聞いたことがあります。実際にそうなのかもしれません。
けれど、エンジニアを採用する企業は、「できれば即戦力が欲しいが難しいから、ポテンシャルでも採用します」が現実かと思います。
スクールで「Railsを学んできました!」という方が、PHPをメインとする求人に応募してくる背景が知りたいと常々思います。
Railsも勉強してできるようになったので、PHPも勉強してできるようになります、ということなのでしょうが、企業に就職するということは職務に対して対価をお支払いする組織になるわけです。
対価をお支払いしてでも、この方に入ってもらいたい「何か」が見えるかというのはとても大切です。

「何か」を見せられていますか?
また、「何か」が証明できるものも一緒に提示できていますか?

気持ちややる気ではなく、数字やコードで客観性があるもので見せられるもらえると、とても判断がしやすいです。

集団から個へ

エンジニア採用において「アウトプットのご提出をお願いします」というと、「スクールでこのようなコードを書いてきました」「チーム開発でこのプロジェクトを作りました」と出してきてくださる方が多いです。
もちろん、これもアウトプットですし、ご自身でまとめられたしっかりしたものです。アウトプットを作るという点においては素晴らしいです。

でももし、同じプログラミングスクール生が同じ職種で応募してきたら?
同じチームの方が応募してきたら?

おそらく採用するにもほぼ同じアウトプットを手にし、選考に戸惑うでしょう。
もしかしたら見送るかもしれません。
スクールで学んだことは大事ですが、ポイントはそれをきっかけに自分がどのように作っていこうか考えられるかどうか。
なのだと思います。
学ぶことはこれまでも義務教育で行なってきました。
冒頭でも記載したように、スクールで学ぶということは、何か目的があって受講されているのだと思っています。
そのプラスαの情報をアウトプットや自己PRなどに載せていただけると、その方の個性や考え方、技術の習得度が分かって嬉しいです。

エンジニア採用においては、「エンジニアとしての経験者」「スクール卒業生」が同じ応募枠に応募をしていきます。
エンジニアの経験者はもちろん経験がおありですから、実務を通して得たものや工夫したものについて、それが会社でどのように活かせるかPRをするでしょう。
スクール卒業生の場合は、それがない分、「アウトプットの重要性」がより高まります。
実務経験がない分、それを上回るアピールをどのように行なっていくかが必要です。

ぜひ、「何を目的に作ったか」「どのように考えながら作ったか」「どうしてその環境、言語を使って作ったか」が説明できるものをひとつ、自分で作ってみていただければと思います。

おわりに

偉そうな感じにも見えるかもしれません。
でも、これが実際に部門で書類選考をした際にコメントされる言葉たちです。
アウトプットがしっかりあると、当社はもちろん、きっと他社さんでも評価しやすいものになると思っています。

職業人生で大きな転機を迎える機会なので、「スクールで勉強したからエンジニアとして就職できる」ではなく、「エンジニア人生をどのように経験していくか」までを早いタイミングから考えて就職活動を行なっていただくとよさそうです。
就職率100%、満足度100%が叶う日がきますように!


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