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鳥のプレイリスト

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

さて、新年のご挨拶代わり(?)にこんな企画を考えてみました。題して、

鳥のプレイリスト!
(じゃじゃん!って感じの効果音を各自脳内再生してください)

酉年にちなんで、メンバーそれぞれが「鳥」に関連した曲を選んでコメントをつけました。ちなみにyukaとruitoはnote初登場です。

想像以上に結構な分量になってしまいましたが、最後までお読みいただき、メンバーの個性や音楽の趣味がこんなに違うのか! と驚いてもらえたならばこの企画はきっと成功です(笑) (ryotaro)

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Blackbird (The Beatles / covered by ハナレグミ)

「鳥のプレイリスト」となれば外すわけにいかない、ポール・マッカートニーの名曲。その気になれば原稿用紙15枚ぶんくらいのレポートが書けるくらい好きな歌です(いや、この場では自重しますが)。
White Albumに収録された原曲には曲の後半から鳥のさえずりがオーバーダビングされていて、そのさえずりは僕の知るかぎり最も美しいさえずりの一つです。が、あいにくYouTubeにはその原曲がアップされていなかった。
ので、敢えて日本人のカヴァーを紹介。ハナレグミの英語は発音がけっこう適当で(特にLとR)、YouTubeのコメントにも”funny accent”とか書かれてたりするんだけど、何故かそこに不思議な味わいが宿っている。よく寝る前に聴いてます。動画も可愛くてほのぼのする。 (yoshiro)


Bluebird (Paul McCartney & Wings)

これまたポール・マッカートニーの作品。ビートルズ解散後のリラックスした環境で作られた歌と言われていて、ポールの程よく力の抜けた歌声に重なり合うコーラスワークの美しさに癒されることこの上なし。こちらも寝る前によく聴きます。(yoshiro)


Bye Bye Blackbird (Ray Henderson - Mort Dixon / covered by Paul McCartney)

(表題曲は0:00〜4:15)

もう勝手にポール・マッカートニー縛りにしました。スタンダード曲のカヴァー。オーケストラに囲まれて古希のポールがしっとり歌うという、なんともゴージャスな感じ。
しかもこの動画(及びこのカヴァーが収録されたアルバム)でピアノを弾いているのがダイアナ・クラールときたらゴージャスさにも拍車がかかって、もはやウイスキーかワインを片手に聴くしかない。
あとポールが”Bye Bye Blackbird”を歌うってのが、気の利いた洒落みたいで好きです。 (yoshiro)


ポルカ「クラップフェンの森で」(作曲:ヨハン・シュトラウス2世)

とても有名な曲だし、浅学の私が書けることは何もないんですが……
たしか子どもの頃、ニューイヤーコンサートで聴いたこの曲の鳥の声が、わざと違う音を吹いたり大騒ぎしたり、とてもお茶目なパフォーマンスでした。
(パフォーマンスといえば、ヨハン・シュトラウス2世の弟である、ヨーゼフ・シュトラウスの「鍛冶屋のポルカ」も楽しい〜〜 ^ ^ )
客席もみんな笑っていたし、子どもの私にも楽しかったのを思い出します。すき! (yuka)


鳥は星形の庭に降りる (作曲:武満徹)

ニュースなどで有名な人を取り上げる際にやたら使われる「世界的な」という形容が好きじゃない。だって、それはあなたにとっての「世界的な」に過ぎないから。「世界的な」が通じるのは、個人的な文脈においてだけだと思うんだけどな。
だから、武満徹(1930~1996)についていえば、僕には世界的な作曲家です(作曲家というよりは芸術家あるいは表現者といったほうがよいかもしれない)。
オーケストラのための『鳥は星形の庭に降りる』は、マン・レイがデュシャンの星形に刈られた頭部を撮った写真に触発された武満が……という野暮な解説は抜きにして、音の世界に浸ってみてほしい。僕はこれを高校受験のころにNHKの番組で初めて聴いて、言葉を失いました。一羽の黒い鳥が群れ(みんな白い)を導きながら降下した星形の庭に、あのとき僕は、確かに立っていた気がするのです。(ryotaro)


Abandoned Garden (Michael Franks)

その死を悲しみ、その悲しみを乗り越えたところで世界は新たな輝きを得る。それが創造者の死であり、それがたとえばジョビンである。
僕が5回めの誕生日を祝ってもらった三日後に、世界はこの偉大な才能を失ったのだ。もちろん5才の僕はそんなことお構いなしに、たぶんサンタクロースに頼むおもちゃを考えることに忙しかった。(ああ、仕方がないとはいえ、なんということだ!)
1995年に発表されたマイケル・フランクスのアルバム「Abandoned Garden」は前年に亡くなったアントニオ・カルロス・ジョビンに捧げられています。季節の巡りのごとくアルバム全体として有機的[オーガニック]で、故郷のリオを愛し、リオの自然を愛したジョビンと、僕らは一緒に歩くことができます、このアルバムさえ持っていれば……
アルバムの最後に置かれたのがジョビンを追想する表題曲です。《きみは居なくなってしまったけれど、きみの庭は今でも美しいよ。ハチドリは相変わらず茉莉花の香りに向かいホバリングし、それはうっとりするほどの光景さ──》
そうして、マイケルは語りかけます。
《きみは僕のインスピレーションで、僕のヒーローで、そして僕の友だちだった》(ryotaro)


Just Friends (Charlie Parker)

鳥。バード。チャーリー・パーカー。
今年ちゃんと聴こうと思っているのがバードの異名をとるパーカーの音楽だ。
これは、菊地成孔先生が《まるでデコラティヴなショート・ケーキの上に精密機械がちょこんと乗っているようなイメージを思わせます》(菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー:東大ジャズ講義録・歴史編』文藝春秋)と評すサウンドにして、村上春樹『1973年のピンボール』(講談社)で三日ばかり風邪で仕事を休んだ「僕」が「渡り鳥はいつ眠る?」という項を訳すときに聴いている曲です。アルバム「Charlie Parker with Strings」に収録。(ryotaro)


かもめのbaby (Drop’s)

いまわたくしイチオシ、はたちそこそこの女の子たちがライダース着てゴリゴリロックな演奏をするという最高にクールなバンド。いまどきレスポール弾く人すらそうそういませんからね…ギターソロを聴いてると泣けてきます。3page内の音楽性の不一致がいきなり詳らかになるね…
かもめって、大海原とか潮風とか港町のイメージに直結しますよね。そういう明確な属性のある鳥って、案外稀有だなと思います。これもよくよく聴いていると決して明るい歌じゃないんですが、とりあえずくるくる飛びながら歌ってみるよ〜世界は広いんだぜ〜みたいな能天気さって、誰かの幸せに一役買っているんだろうなと思わせてくれる。僕もその1人ですが。
真夏のドライブの時にでも聴いてください。いい歌です。


Blackbird (The Beatles)

世界で一番有名な鳥の歌じゃないでしょうか。僕がとやかく言えるようなものじゃなく、もう、奇跡みたいな歌です。ギターとメロディと歌詞が全く同時に、軽く咳払いするみたいにぽろっと産まれ出たんだろうなあって感じ。才能のある人はいいなあ…
と妬みはさておき、この歌、黒人差別問題を歌っているというのが通説です。作ったポール本人もそう言っていたとか? が、そういう解釈とか深読みをするのは、この曲に関して言えばなんだか野暮なような。何とはなく朝の7時くらいにコーヒー飲みながら鳥のきれいな囀りを聞いていたら、ふとこのメロディが聞こえてきた…って方が自然というか、この曲らしいと感じます。手枷を砕き足枷を砕き雄々しく立ち上がった黒人たちが虐げられた思いをバネに〜みたいなこといちいち言わないで、クロウタドリの歌ってことでいいじゃないですか。こんなに素敵な曲なのだから。色々と語弊がありそうですが、どうしようもなく直感的に、そんな風に思います。


飛び方を忘れた小さな鳥 (MISIA)

あーーMISIAっていたよねーーーみたいな人、多くないですか? 実は結構好きです。とにかくとてつもなく歌が上手…
名作かつ迷作と名高い「スターオーシャン3」というゲームがありまして、その主題歌でした。当時はゲームのメインテーマにポップスが入ることってまだ珍しくて、いきなり流れ始めてびびった記憶があります。壮大な星の物語を追う大作RPGですが、終盤「実はこの宇宙は4次元に住む存在が作り出したゲームソフトに過ぎなかった! こうしちゃいられねえ、4次元人をブッ殺しに行くゾ!」という超展開。1、2、3とその宇宙を舞台にスターウォーズばりの大河ストーリーを仕立てておきながら、壮絶な夢オチをかますという問題作…
全然関係ないことばかり書いちゃいましたが、「飛べない鳥」って日本ではモチーフとして定番ですよね。色々なものの不完全さに「儚い」「粋」などともっともらしい名前をつけて、その散りざまや、再び翼開く時をこそ美しいと思う心。桜を国の花にする日本人にしか持ち得ない感情なんじゃないかな、と思いたい僕みたいなひと、他にもいませんか。

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来月はバレンタインデーにちなんで「愛のプレイリスト」でもやりましょうか……。(え、もう書きたくない?)

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