雑穢 #1004
雑穢とは、実際に体験した人の存在する、不思議で、背筋をぞっとさせるような、とても短い怪談の呼称です。今夜も一話。お楽しみいただけましたなら幸いです——。
現在進行形で体験している不思議なことなのだという。
毎朝ではないのだが、大学に行く準備をしながら父親と話をしていると、父親の方からワンコールほどの短さで着信音が聞こえてくることがある。
最初は何かの呼び出しやアラームのようなものでその音がしているだけだと考えていた。しかし、父親に言って確認させてもらったところ、着信の履歴もなく、父親がスマホを手に持っているときにもその音が鳴ることもあり、どうやら音源はスマホからではなさそうだ。さらに、父親が既に出勤してしまって、家にいない時にもその音が聞こえることがある。家族の中では父親しかその着信音を使っていないし、隣の家から着信音が聞こえるわけもない。
不思議に思っていたので、母親や弟に尋ねてみたが、二人にその音は聞こえていなかった。試しに父親にも着信音を変えてもらった。
しかし相変わらず自分にしか聞こえないあの同じ着信音が、家のどこからか聞こえてくる。
次の話
雑穢
note版雑穢の前身となるシリーズはこちらに収録されています。一話130文字程度の、極めて短い怪談が1000話収録されています。
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