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ツッコミのすすめ→日本、国連人権理事国(2期目)に立候補するってよ!

 日本は、2017年から国連人権理事会の理事国(1期目)として選挙で選ばれており、今回、2期目を控えて選挙に立候補しています。そして、世界中のツイッタラーにツッコミの機会があります。反差別国際運動(IMADR)の方から情報をいただくまで、ボーッとしていて気づきませんでした。

 外務省のサイトで簡単に見つけられるのは、2016年に行われた1期目の選挙の情報(日本語)です。今回の情報はなかなか見つかりません。前回は、アジア太平洋枠の空席4に対して4ヶ国が立候補していたのですが、今回は、同じ空席4に対して、日本を含む5ヶ国が立候補しています。つまり、1ヶ国は落選するということです。コケたらカッコ悪いから堂々と言わない? まさかねぇ。

 しかし外務省サイト内には、チラシ(英文)のPDFファイルがあります。チラシによれば、日本がアピールしているのは、「建設的対話」「市民団体の(政治への参加を)促進」「国際人権ツール(直訳)の尊重」「すべての市民の活力ある参加」の4点です。「え?」という気がしなくもないのですが、「理事国になったからには、ちゃんとやれ」という圧力がかかることは期待できます。理事国には、人権面での状況が芳しいとは言えない国々も並んでいます。ちなみに「国際人権ツール」は International human rights instruments で、国連の人権関連の条約・重要文書・勧告などを含みます。主要なものはこちらにまとめられています(英語)。

 立候補にあたって、各国は「自発的誓約」という文書を公開します。外務省のサイトには、2016年の選挙の「自発的誓約」はありますが、今回のは見当たりません。しかし、インターナショナル・サービス・フォー・ヒューマン・ライツ(ISHR、直訳すれば「国際人権サービス」)のサイトには、今回の日本の「自発的誓約」があります(英語)。ちらっと読んだら、ごめん、腹筋崩壊しそう。もっとも、どんなに人権面の問題がありまくりの国でも、こういう時に「わが国は、国連の価値観なんて知ったことか」とは言わないものです。だから国連は、市民社会からのツッコミタレコミを重要視しています。今回も同様です。というわけで、世界のツイッタラーにツッコミの機会が用意されています。

 9月6日(本記事公開日)にニューヨークで、11日にジュネーブで、立候補している国々との公開討論が行われます。ISHRとアムネスティ・インターナショナルが、国連本部があるニューヨークとジュネーブに、立候補した国々を招いて開催します。もちろん立候補している日本も参加予定です。そして、政府に対して質問してほしいことをツイートすると、司会から各国政府代表に質問してもらえる可能性があります。

 日時は、ニューヨークの公開討論会が 2019年9月6日(金)の10時~13時(日本時間の6日 23時~26時)、もう始まってます。ジュネーブの方は、2019年9月11日(水)10時~12時(日本時間の11日 17時~19時)です。いずれも、立候補した国の政府代表が自国内および国際社会の人権問題への取り組みに関する考えを発表し、会場からの質問に回答するわけですが、世界のどこでも誰でも、@ISHRglobal(ハッシュタグ #HRCpledging をつける)にツイッターで質問を送ることができます。あなたの質問をISHRの司会が選んでくれたら、その政府代表が答えるはずです。

 6日のニューヨークの方は、インターネット中継もされます。

 公開討論では日本政府が表明した誓約や、これまで国連人権機関から出た勧告などを踏まえ、日本政府への質問が行われます。

 とりあえず私としては、特に生活保護に関して、日本政府が対応していない社会権規約委員会勧告(2013年)女性差別撤廃委員会勧告(2016年)が気になります。リンク先は日本語です。

 特に女性差別撤廃委員会のときは、その時にはまだ会ったことのなかった委員が、女性と子どもの貧困と社会保障の貧弱さに関する私のレポートの内容を活用し、本審査で日本政府に質問をしてくださいました。この時はレポートを送ることしかできなくて、委員への直接の働きかけとか全然できなかったんですよ。なにしろジュネーブでの本審査開始の前日、米国のワシントンDCで学会発表してから大西洋を渡り、翌朝、空港から国連本部に直行したというドタバタでしたから。で、私がレポートで提言した内容は、勧告にも反映していただけたんですけど(パラグラフ40および41)、日本政府ぜんぜん実行してくれないんですぅ(泣)

 また2017年の普遍的定期的審査(国連の全加盟国による、加盟国間の審査)で日本が審査された時は、日本の精神障害者と精神科病院の状況、特に身体拘束や保護室への隔離、それから精神科病院のために一定数の入院患者を残すという政府の”思いやり”についてスピーチさせていただき、「日本? なんとかしたら?」という勧告をいただきましたが、ほぼ全然対応されてないんですよねー。なんでかなー? とりあえず勧告こちら(日本語)

 さて、ただいま2019年9月6日23時25分。ニューヨークの公開討論はじまってます。視聴しながら本記事を書いているわけです。冒頭の司会挨拶からカッコよくてシビレてます。今、各国が誓約を述べているところ。さっきアルメニア、今はブラジル政府代表が「先住民の権利を尊重」とか言ってて噴きそうです。でも私は昨日が論文と原稿のダブル締め切りで、バテバテで眠いのです。寝ちゃうことにして、次のジュネーブのときにツッコミがんばってみます。

 元気のある皆さん、ツイッターで @ISHRglobal(ハッシュタグ #HRCpledging をつける)に英語で質問をよろしく!


ノンフィクション中心のフリーランスライターです。サポートは、取材・調査費用に充てさせていただきます。