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映画『窓ぎわのトットちゃん』

今年もよろしくお願いします!
2024年、私が映画館で観た最初の映画は『窓ぎわのトットちゃん』でした。

黒柳徹子さんの自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』を原作とし、映画化したもので、すなわち黒柳徹子さんの実体験がベースとなっている映画です。

落ち着きがなく、集団生活が苦手だったトットちゃんが、個性を重視する独自の教育を行うトモエ学園に転校したことで、生き生き、キラキラと学び、たくさんの楽しい出来事や悲しい別れに出会いながら過ごしていく日々が丁寧に描かれていました。

私は、子どもの頃に原作を読んでいて、大人になった今、映画を観ました。
原作を読んだ当時も、面白かったなあという記憶があったのですが……映画を観て、当時とはまた違った感想を持ちました。
というのも、知らないうちに、大人側の視点で作品を観ていました。

例えば、序盤、普通の学校になかなかなじめなかったトットちゃんが、トモエ学園に行った初日、校長先生に思う存分話を聞いてもらい、楽しそうにそれをお母さんに報告する場面。
きっとお母さんはこの日を迎えるまでに、学校になじめないトットちゃんを心配しただろうな。こんなに学校に合わないなら、いっそ無理して行かせなくても、でも、学校に行かないで大人になって、社会の中でうまくやっていけるだろうかーーとか、たくさん悩んで不安だっただろうな…などとお母さんの心をあれこれ想像し、早くもここで泣いてしまいました(お正月で、朝から飲酒していたので、酔っていて情緒不安定だったのも否めないけど笑)

また、これまで、小児麻痺で手足が不自由だったため、いつも運動には参加せず、読書をしているばかりだった泰明ちゃん(トットちゃんの友達)が、トットちゃんとともに木登りをし、服を汚して帰宅した日の場面。
泰明ちゃんが入浴中、浴室のドア越しに、お母さんに対し、服を汚したことを謝ります。お母さんはそれに対し、口では普通の返答をしながらも、表情は涙、涙。
(おそらく初めて)服を汚すほど動き回ってきたことへの、お母さんの嬉しさや安堵を想像し、また泣いてしまいました(酔っていただけかもしれませんが)。

トモエ学園の子供たちが、他校の子供たちから、学校の悪口を言われ、これに対してトモエ学園の子供たちが「トモエ学園、いい学校!入ってみても、いい学校!」と言い返す場面。実はこの場面を、校長先生が隠れて見ていて、肩を震わせているーーーというシーン。
トモエ学園は、いわゆる一般の学校とは大きく異なる教育方針をとっていたので、校長先生は、教育関係者などから批判されたり、ときには自分自身でも、自分のしていることは間違っているのではないかと悩んだりしていたのではないか、でも、ほかでもない在校生たちが大きく肯定しているのを見て、やっぱり自分のやってきたことは間違いじゃない、と確信できたのではないかと心情を想像し、また泣いてしまいました(私が酔っていただけかも…以下略)。

子供の頃に原作を読んだときにはトットちゃんや友達の視点で見ていた物語を、大人になったら親や先生の目線で見るようになったのは、まあ私が年を取ったからというのもあるのでしょうが、この映画の描き方なのかなとも思いました。

あとまあ、酔って映画館に行っちゃいかん、ということですね。笑

随所で、トットちゃんの脳内のイメージのような映像が挿入されていました。この映像、想像力豊かなトットちゃんの物語にとても合っているなと感じ、私はそれがとても好きでした。特に映画後半になるにつれ、物語は戦争の気配や影響が色濃くなっていくので、それとの対比が残酷でもありました。
おそらく、戦争で、戦地での戦力としては「役に立たない」と判断されるであろう泰明ちゃんという1人の子供の死と、それを心から悼む先生・友達のすがた、駆け抜けるトットちゃんがすれ違ったガスマスク姿の若い兵士たち、万歳をして戦場へ若者を送り出す人々、隠れて悲しむ母親、といった描写は、しんどかったです。
戦時中は特に、平時よりもいっそう障害者に対する差別が大きいものであったという話を思い出しました。

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