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自由律 #06

夜の下り坂立ち漕ぎで風を浴びる

ちょっとだけ写り込むパソコン

散らかった出窓が見える

カウントダウンがずれている

多分この車両で一番年収が低い


画面上部に並ぶ丸いアイコン。その中の一つをタップすると15秒以内の映像「ストーリー」が表示される。それは次々と自動的に移り変わって行き、知り合いからアーティストへ、はたまたアーティストから知り合いへと言った具合にユーザーが同レベルで扱われる。有名人の一般人じみた投稿と一般人の有名人ぶった投稿が入り混じっている。

Instagram然りTwitter 然りFacebook 然り、SNSにはそれぞれ雰囲気というものがあり、中でもInstagramは自己顕示の側面が強い。
大半の人間にとって「いかに自分が充実した生活を送っているか」をアピールする場になっていて、知り合いの多くもその例外ではない。


ある知り合いは8時間前にスターバックスにいたらしい。カタカナの長い名前のついた飲み物の写真を見せてくる。その端っこにはちょっとだけパソコンが写り込んでいる。
スタバでパソコンを開き飲み物片手に作業する、という満ち足りた生活を送るビジネスマンとしてのステレオタイプを突きつけてくる。

たまたまパソコンが写り込んだのか、意図的に写り込ませたのか。偶然ステレオタイプに当てはまるような投稿をするに至ったのか、当てはまることを自覚して投稿したのか。

気になりはしないが、ふとそんなことを思ってしまう。ということはつまり、多少なりとも気になってしまっているらしい。

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