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オオバコを、毎日見ていたのに、気がつかなかった話。

 植物をテーマにしているテレビ番組を、見ていた。

 この番組は、山田孝之が司会のような役割で、植物を語るのだけど、最初は、2018年から始まり、それから不定期に、いつ放送するかわからないので、微妙な緊張感がないと見逃してしまう。この3年で計4回になり、今年は2本放送していた。

植物のテレビ番組

 第4回目は、「ハラン」「シロツメクサ」「オオバコ」がテーマになっていた。
 シュールな演出、といえるのかもしれないが、2年前と比べると、見ていて、素直に面白さが増していて、それは、ずっと真顔な山田の話し方のテンポが少しあがったせいではないか、といったことをあれこれ考えながら見ていた。そして、出演者が、みんなマウスシールドをしていたのが、コロナ禍の今を感じさせた。その中で、オオバコの話題になったときは、たぶん、大勢の人が思い出すようなことを妻に話をしていた。

 オオバコって、花が咲いているときに、茎の根本からとって、それで、誰かと、からませあって、ひっぱって、どちらかが切れたら、負けなんだけど、最近、オオバコ見なくなった、といったことを妻に伝えた。

 妻から、すぐに答えがかえってきた。

「え、庭にいっぱい生えてるよ」。

 知らなかった。

気がつかなかったオオバコ

 自宅の庭は、広くないけれど、妻に教えてもらった場所に、確かに雑草は生えていた。それは、どうやら同じ種類に見えた。だけど、私が知っているオオバコではなかった。私にとっては、あくまでも「オオバコ相撲」をとったときのもので、その丈夫そうな茎がなければ、オオバコに見えなかった。

 だけど、それは植物の見方が未熟なだけだった。

 まだ、そんなに成長していない、いってみれば、若いオオバコが、今の家の庭に生えているようで、その緑色はなんとなく若々しく、それにまだ茎が太くないし、花も咲いていないので、気がつかなかった。

 玄関をあけて、門を出るまで、2メートルくらいだと思うけれど、そこにある柿の木(リンクあり)は嫌でも目に入って、夏の間は、そこにいるセミ(リンクあり)のことが気になったり、3つの状態が1本の枝にある植物のことも妻に教えてもらって覚えたけれど(リンクあり)、自分が踏んでいるような土の部分は、たぶん見ていなかった。

 というよりも視界に入っていたとしても、緑色、ということだけは分かっていたけれど、その植物が何かは分かっていなかった。実は、この何ヶ月かで、周囲を見ることへの集中力が増したはずだから(リンクあり)、秘かに自信を持ちつつあったのだけど、それを、また失いそうになった。

踏まれる場所に広がるオオバコ

 雑草は、土を踏み固められると生えにくくなるということは以前から言われていて、だから、けもの道みたいなものができるのだろうけど、最近、花火のために庭の雑草を全滅させたい、という小学生の自由研究をテレビで取り上げていたのを、妻も話題にしていた。

 だけど、オオバコは、ライバルがいない、たとえば人間が踏むような場所に生えるのが特徴で、そのために、その丈夫さがあるから、子供達に茎をとられて「オオバコ相撲」などに使われてしまう。

 自分がさんざんやった癖に、ちょっと理不尽さを感じた。

葉っぱの間にある糸

 前出の山田孝之の番組では、オオバコの葉っぱの特徴として、たとえば横に半分にちぎると、その間に、糸のようなものが残るような構造になっていることを、説明していた。つまりは、半分にしても、完全に離れない、みたいなことのようだった。

 その構造のことが、ピンとこなかったので、庭に行って、妻に教えてもらった。

 「ほら、こうやって、ちぎると、糸みたいなものがあるでしょ」。

 他の葉っぱも持ってきてくれて、いろいろと、見せてくれた。
 
「他のは、葉をちぎっても、糸みたいなものが出ない。
 だから、オオバコって、丈夫なんだと思う。
 だって、人が踏むような場所に生えるんだから」。

 妻は、かなり穏やかな人なのだけど、植物のことになると、いつもより少しだけ厳しさが増す気がする。

踏まれても生き残るオオバコ


 確かに、オオバコは、いつも私たちが歩いているような場所に群生していて、他の植物が生えないせいか、土の割合が多く見える場所に感じた。それは、改めて見ると、本当にたくさん生きているといっていい状態だった。毎日、足元に、この光景が広がっていたことに気がつかなかった。

 テレビを見て、話題にして、妻に教えてもらわなければ、知らないまま、ただ踏み続けていただけだったと思う。

 今回、少しだけ知識が増えると、いろいろな場所で見聞きした、「踏まれても踏まれても生えてくる雑草のように」というのは、実はふさわしくなくて、「踏まれる場所を選んで生き残るオオバコ(雑草)」という表現の方が正確なのでは、などと思った。でも、そうだったら、今みたいに、あまり広く言われるようにならなかったかもしれない。



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