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役者の選択

過去は美化されるものであるから、たまたま大人気コンテンツになって、「記録に残る」ことができたものを見て新たな感情を得て、あれこれ言うのが果たして正しいのか分からないけれど、少し。

MANKAI STAGE『A3!』ACT2!
WINTER 2023

の映像が手元に届きました。
見た人向けに書きます(メイキングを含む)。

メイキングを見ていると、表には出ていない情報を得る。裏側を見なきゃ届かないものは、演劇のみてくれには関係ないことかもしれないけれど、作品のファンや、役者のファンにとっては価値がある。演劇にだってなにかしらの形で影響している。

人が演じるのが芝居であるから、それを含めて感じるものがあってもいいと思っています。演劇はだから面白い。

前置きをすると、私はこの記事で荒牧慶彦さんの話をします。応援されている方がどう思うか私には分かりかねますので、ご注意ください。少なくとも私は荒牧さんのことを素敵な役者の一人と思っています。


私からすれば、荒牧慶彦さんという人は、とても大きくて、意地悪な言い方をすれば、生き急いでいると思う。正直な感想です。

これからも進んでいくマンカイカンパニーで得られるものもたくさんあるはずなのに、ひとつどころには止まらない決断を、自分でしたんだな、と本読みの挨拶を見て知りました。

勿体無いような気もする。ここでもっと役を深めることが、きっと彼にとっても楽しいと思うよって思う。残った人はこれからもそれをしていける。

でも、2.5次元舞台という大きな波を外から見ている彼は、自分の役者としての姿よりも、この世界の多くを見に行くために、この世界を動かすために、ここを経つことを選んだのだと分かった。一人じゃ背負いきれないほどの大きな世界を見ていて、放っておかない人なんだと思った。

その他の役者にとってはどうでもいいこととかではなく、同じ規模で演劇業界のことを考えている人もたくさんいる。わたしが応援する人もその一人だと思うし。ただ、彼ほどの影響力をもった人がやれることのひとつの選択肢。

演劇そのものを愛す人たちの中に、さまざまな選択肢があること、今回で思い知らされたような気がしました。

古谷さんがはっきりと嫌だと言った。そしてシトロンくんの気持ちと重ねて受け止めていた。この裏で起こるストーリーをも力にしてしまう役者に、荒牧さんは貢献したことになる。両極端を見せられた気がした。このどちらもいるからどちらも成長するのだと思った。

シトロンにとって大切な公演を邪魔されるかも、とか一瞬でも思っていた私が過去にはいて、そんな自分も抱きしめながら、それだけじゃなかったって申し訳なく思って、感謝もして、今の世界を受け止めようと思いました。

荒牧さんの紬はいつでも紬だったけれど、千秋楽の板の上に乗っていたものは、純粋な紬だけではなかったと感じます。

客席に背を向けてメンバーの顔を見るのも、常に穏やかな紬が声を張り上げてセリフを言うのも、なんだか少年のようで、未完成で、でもそれだけここを信じて甘えていたんだと思う。

A3!のキャラクターが劇中劇の役に向かうのと、実際の役者がA3!のキャラクターたちに向かうのと、違うところがあると言えば、2.5次元であるがゆえに、キャラクターの正解の姿が決まっていること。でも、長く演じてきたことで、この違いの差がほとんど埋まってきていると思う。だから今回の形で終わったんだと思う。うーん難しいうまく説明できていないかもしれません。

間違いなくこの作品を好きでいてくれて、座組に甘えられるほどに心を許していたのだと思える。A3!のキャラクターたちが自分の人生を生きた先に演劇をするように、実際の役者たちも、自分の人生を生きた先で演劇をしているんだと身をもって届けられる、素晴らしい作品なんだなって改めて思いました。

これからもA3!と、エーステと、このコンテンツに関わった役者みんなのことを、演劇業界のことを、私なりに応援していこうと思えたのでした。

ま、好きな人たちのことを考えているからそう思える、綺麗事なのかもしれませんが!

不快になった方がいたら、すみません。
お読みいただき、ありがとうございました。

P.S.これからは監督として、と言って出て行った貴方と、これからも家族です、と言って出て行った貴方とでは、わたしは家族でいてくれる人の方が安心するな、と思うのでありました。これはエゴです。

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