新しく演劇を目撃した話

ああ、ラーメンズの人か!というくらいの知識で、初めて触れた小林賢太郎の演劇。

演劇そのものを愛しているけれど、「いい演劇」というものはある。

私の周りの演劇を愛する人が、「小林賢太郎なら間違いない」と言う。その所以が何たるかを見た気がしました。

私にとっての「いい演劇」は、あらゆる要素が合わさって、魅力的に感じるもの。「なんかいい!」もの。良いのか悪いのか分からないけれど、紐解いていくと作る全ての人の手が見えて、作品の先まで奥まで世界が見えるもの、なのかもしれない。と、この作品を目撃して気付きました。

まぁ私はこの作品を作品しか受け取っていないので(本来の観劇はそうで然るべきかもしれないが)、小道具を誰が作ったとかそんなことは知りませんが。

作・演出・出演のユーモラスな言葉運び、リズム、キャラクター、そして粋なチェロとの会話。
舞台装置から姿を現す畑。プロジェクションマッピングを必要に応じて「見せる」効果的に「魅せる」時間。
限られた道具や照明で見せる景色や人、物。
一人芝居のカーテンコールに現れる一人の少年。

全ての要素が演劇を面白くして、飽きの来る時間が無い。夢中になって、ふふっと笑って、気が付いたら登場人物のことが愛おしくなっていて、離れ難い。

そんな演劇に出会い続けるには人生が短すぎる。本当は劇場で観たい。でもこうやって、いい演劇はみんなが「見て!」と宣伝してくれたりするから、見られなくても、出会えることもある。感謝です。

そして、一緒におすすめしてもらった、ラーメンズのネタを見て、やぁ面白いこんなに面白かったか!過去に見た時に、お笑いには止まらぬ演劇性がこんなにもあったとは気付かなんだ!と、新発見があるのでした。感謝

これは余談だが、これに近い作品を知っている。コロナ明けごろにやはり映像で見た、「星紡ギの夜」がそうだったと思う。先日見た「追想曲【カノン】」もそうだ。松崎史也の演劇もやはり、「いい演劇」だと思う。揃える役者も含めて。

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