見出し画像

天使について〜まずは解釈を淡々と〜

古谷大和さんの挑戦してきた演劇の中でも、新たなチャレンジとなった今回のミュージカル

言葉を失って何も言えないです。この今の情勢の中で上演されたことも相まって、本当に色々な気持ちを受けとりました。芝居も、歌に乗せるが故の芝居も、演劇への挑み方、受け取り手への想いも全て、あまりにも深く尊いものでした。

まずこの作品は考察が必要になってきます。

ここからは完全に私の解釈を述べます。きっと間違いや足らないところもたくさんあります。私なりの受け取り方なので。韓国の原作についても調べがついているわけではないので。

ダヴィンチの助手ジャコモと堕天使ヴァレンティノを一人二役で演じるのが古谷さんほか二人。相手役はダヴィンチと新米天使ルカを演じる。

天使ヴァレンティノは、人間に恋をした。その恋に嫉妬した神の身勝手な怒りで涙を奪われた。

私の解釈が合っていれば、ヴァレンティノはジャコモに人間への2回目の恋をするわけです。
恋をしたというよりもう、愛を注いでいる感じがした。

しかし神に嫌われたヴァレンティノが愛したからなのか、視力を失っていくジャコモ。

それでいながらジャコモは子ども時代、天使ヴァレンティノに会っている。その美しさを目にして、姿を見て声を聞いて「愛」を一度受け取った記憶がある。天使を見たことを誰に話しても信じてもらえないけれど確かに吹く風や霧の中に姿を見た。

天使ルカが目の前に現れたことでそれが嘘ではない、本当に天使は存在するという確証へ変わる。
天使ルカはダヴィンチの前に姿を表したかったわけだが勘違いをしてジャコモの元へ。

一方堕天使ヴァレンティノは、ルカの任務を邪魔するためダヴィンチの元に姿を表す。

かつてルカは白い小鳥だった。怪我をして死にかけていた。それを天使として神に愛されていた頃のヴァレンティノが見つける。その白さ美しさを愛おしく感じ、自分とずっと旅ができるよう、苦しまず、死にもしない天使にしてくださいと神にお願いする。

ヴァレンティノはルカの邪魔ばかりするが、要するに放っておけない、一緒にいるのが楽しくてたまらない。ここにも愛情がある。

つまり、ヴァレンティノは嫉妬深い神なんかよりもずっと純粋に人も天使も愛せる存在なんだと私は思っています。

視力を失うジャコモを、涙を奪われた自分のようだと哀れみ、自分が愛を注いだことによってそうなってしまったのではと後悔するヴァレンティノ。

光を失う前に自分の姿をジャコモに見てほしい。叶わない、でも、ダヴィンチの絵に自分がなれれば。

そんなヴァレンティノのジャコモへの愛を知るダヴィンチ。天使の絵を描き続けていた。霞む世界の中、キラキラするものを拾い奪い集めて止まらないジャコモを、小さな悪魔と呼んで可愛がってきたダヴィンチ。目の見えない天使の絵をずっと描き続けていた。ジャコモを思って描いていたのかもしれない。

ある日ヴァレンティノの願いを叶えたいと思う。ジャコモにヴァレンティノの姿を見せよう。絵に描いて。

完成の早いフレスコ画法を選び描き始めるも、丁寧に描き、ダヴィンチやジャコモがいなくなっても残せるよう、ヴァレンティノがいつまでも見ていられるよう、ヴァレンティノの提案でテンペラ画法に変更し、書き上げた。

テンペラ画法はより細やかな修正が効く。丁寧な絵を描くことができ、長持ちする。しかし、湿気などには滅法弱い。どうやらそれらの欠点が何か祟ったらしい。漆喰の壁と共に崩れ落ちてしまう絵。

一度は諦めるダヴィンチ。絵が崩れ落ちたのは自分の罰のせいだとダヴィンチの元を離れるヴァレンティノ。
ダヴィンチはもう一度筆をとる。なんとかしてジャコモにヴァレンティノのほほえみを、ジャコモを見るその温かい眼差しを描く。かわいいヴァレンティノ。ダヴィンチは、ヴァレンティノのほほえみをかわいい、と思う。それはどこかジャコモに似ているのか。

小さい頃道端で母親と死に別れ、母親に託されたジャコモを拾った。本当はジャコミナ、女の子だった。当時アトリエで女の子は育てられない。男の子として育てることを決める。

絵が完成する頃、皮肉にもジャコモはもう視力を完全に失っていた。でも、小さい頃にジャコミナとして出会った天使がヴァレンティノであったと、確信している。ダヴィンチに話す。言った通りだろ、あの時天使を見たって言っただろ。その時ヴァレンティノは愛してると言ったんだ。絵を受け取って大切に抱きしめるジャコモ。

かなり駆け足の、シナリオとは順番も違う解釈ですが、私が受け取った天使についてはこんな感じ。

感想は、曲ごとに色々あります。あんなに歌に気持ちが乗って、こちらに声とともに放たれ降ってきたのは初めてでした。それはこれから少しずつ書いていけたらいいかな。曲は見た人だけにしか伝わらないと思うけれど・・・

ひとまず解釈をまとめてみました。これ書かないと寝られないと思った。笑
書き切ってないところもあるので、ディスカッションしたいとか質問ある人はぜひお話してみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?