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すぐには元通りにならない

昨日から時短要請が解除されて飲食店は通常営業が可能になっているけど、大手ファミレスで深夜営業をやめていたり、居酒屋さんで遅い時間のご来店が減っていたりというニュースを多く見かける。

2年近く時短営業を強制され、利用者側も20時には町が暗くなっちゃうことに慣れてしまっているから『制限解除されたから元通り』とはなかなかいかないよね。人々の習慣や考え方が壊されてしまっているので、もしかしたらもう元には戻らないのかもしれない。飲食関係者の一員として恐ろしい状況だと思っている。

そんな状況なので大手ファミレスさんとかが深夜営業を中止するっていう決断に至るのも、そりゃそうだよな、仕方ないよなと感じている。

外食チェーンの経営企画をしていた時に深夜営業について色々と試算したことがある。深夜は空いていれば便利で助かるというお客様がいる一方でお客様のご来店が全くない時間があるなど収益と費用のバランスが厳しい時間帯なんだよね。

その時は『24時間営業を継続するべきか』を検討するための試算だったんだけど、なかなか厳しい結果が出た記憶がある。やっぱりご来店数が大幅に減る一方で深夜手当など人件費は増えるし、商品の準備次第ではロスが増えたり、逆に足りなくなってしっかりと美味しいものを出せないなんてこともある。

商品品質が下がればブランド価値も毀損するし、ますますお客様が減ることにもなる。深夜営業をやめてもその時間も家賃はかかっているし深夜しか働けない方々の職を奪うことにもなる。一旦お店を閉める時間を作っても、閉めるための作業や開けるための作業があって表示されている営業時間で終わるわけではない。売上を獲得できない時間を作るのはどうなのか?

色々な条件があって、なかなか試算は難しい。基本的には『損益分岐点分析』ってやつを繰り返すんだけど、1つの条件が変わると色々といじらないといけないから、めちゃくちゃ面倒なんだよね。ただ、やってみると結構面白い(笑)

ただ、自分の試算1つで深夜営業が取りやめになって職を失う人が出たり赤字のまま継続したりと、与えるインパクトがデカすぎて恐ろしくなることもある。

大手ファミレスの経営者の方々も苦渋の選択だったんだと思う。どちらを選んでも何かしらの被害というか影響が出る決断をタイムリーにしないといけないという状況。やっぱり経営者ってのは大変な職業だ。それを支える企画なのか社長室なのかわからなんけど、その人たちも大変。

飲食業界ではあんまり明るい話を聞かなく(聞けなく)なってきているけど、この苦境を乗り越えてなるべく多くの人に明るい未来が来ることを願うばかり。

もし、行きつけのお店とか応援しているお店とかがあるって方は暇な時間帯にこそ行ってあげて欲しい。お店側はとっても嬉しいし励みになるから。やっぱり『美味しかった』とか『ありがとう』って言葉には人を癒す力があるから。

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