今、鹿島の下部組織がアツい

昨年のプリンスリーグ関東、そして参入プレーオフを制し、
今日2024年4月7日、鹿島アントラーズユースが5年ぶりに高円宮杯プレミアリーグに帰ってきた。

ユースも高体連も関係ない。勢いだけでは乗り切れない。
その年の高校年代最強チームを決める年間リーグ。
それが高円宮杯プレミアリーグ。

その舞台へチャレンジする鹿島ユースが、今、アツい。

まずは、既に来季のトップチーム昇格が内定している
DF松本遥翔
FW徳田誉
の2人。

日本代表として昨年のU17ワールドカップにも出場しており、そのクオリティは圧倒的。

松本くんの特筆すべき点はやはり攻撃面でのセンス。SBながらスルスルと推進力あるドリブルでボールを運び、アタッキングサードでもアタッカー顔負けの仕事を果たす。
かといって攻撃だけでなく、DFとしての守備ももちろん魅力。身長も現時点で176cmとSBとして十分あり、チーム事情でCBとして出場した数試合でも上手く守ってクリーンシートを達成していたのが印象深い。

徳田くんに関しては、真っ先に186cmというサイズが目に留まるものの、1,2年生での経験を経て柔軟性を得たように思える。
裏抜けや降りてのボール関与の質、そしてミドルレンジからのシュート精度など、FWとしての引き出しが増えている。
さらに代表活動や国体での戦いを通して、チームを引っ張るエースとしての振る舞いが板付いてきた印象だ。

2人とも既にトップチームへ2種登録されており、どのぐらいユースの活動に参加できるかはわからないが、もし出場すれば世代を代表する力で違いを見せつけてくれるだろう。

ただ魅力的な選手は他にもたくさん居る。

2人と同じ3年生で言えば、まずキャプテンの左SBの佐藤海宏くん。

彼も世代別代表に何度か選出され、一昨年には当時1年生ながらトップチームへの2種登録を果たした完成度の高い左利きSB。
試合終盤でもアップダウンを繰り返すスタミナや、左足からのクロスが武器。
彼も現時点で177cmとSBとして十分な高さがあり、昨年の国体でも主将を務めチームを優勝に導くなどキャプテンシーも魅力。

そして昨年からゴールマウスを守るGKの岸野くん。
彼の特徴は冴え渡るコーチング。
決してやたらめったらじゃなく、DFの死角へのサポートや致命傷になり得るポイントを予測して凄く良い声を出す。ハイボール対応やセーフティ優先の判断も安定感抜群。
沖・山田などを育てた市川コートと曽ヶ端コーチの育成レベルの高さがうかがえる。

さらに今シーズン10番を背負うSHの小笠原聖真くん。
1年生の頃から一瞬のキレに光るものはあったが、それに加えて昨年を経てフィニッシュワークの部分がすごく成長したように感じる。特徴であるドリブルに加え、アタッキングサードで点に直結するプレーがさらに増えていく可能性を感じる。

挙げ続ければキリが無くなってしまうが、今日初めてプレーを見たCB玉木くんも凄く良かった。ビルドアップでは前が空けばしっかり運んでいけるし、探す所やそのキックの精度も高い。守備においても、空中戦、地上戦ともに冷静に対応して守れる。昨年まで試合に絡んでいなかったのが不思議なくらい(怪我関連かな)


次は2年生。この世代も魅力的な選手が多い。

まずはCB大川佑梧くん。
世代別代表は常連であり、それだけではなく1学年上のU17ワールドカップのトレーニングパートナーにも選ばれるほどの評価を得ている。
その特徴はなんといっても圧倒的な対人守備力。

185cmという身長と優れた跳躍力が生む高さでロングボールを跳ね返し、相手FWを掴まえ自由を与えない粘り強い守備が魅力。
さらに1年時からスタメンCBとして出場を続けプリンス関東優勝に貢献するなかで、高さだけでなく徐々に線が太くなり、当たり負けしない強さも出てきた。

そしてこちらも徳田くん同様、さまざまな経験を通して、周囲への声かけや自分の所からは絶対にやらせないという気迫が増し、選手としての迫力が増したように感じる。

本当にキリが無くなってしまうので簡略化していくが、この世代は昨年49年ぶりの国体優勝を果たした茨城県代表メンバーのメイン世代であり、実力はしっかり証明されている。

正木くんや長くんなど試合を変えられるスピード感溢れるアタッカーや、中川くんや佐藤湧斗などテクニックに優れつつ積極性のある選手もおり、今季の突き上げに期待できる。


最後に1年生。

まずはFC多摩から加入したFW吉田湊海くん。昨年クラブユース選手権で得点王&MVPを獲得、U16日本代表でも中心選手として活躍し、世代の看板を背負う選手。

フィジカル面、技術面、メンタリティ、どれをとっても素晴らしい無限の可能性を秘めたストライカー。

さらにこの世代は昨年の高円宮杯U15で全国優勝を果たしており、こちらも大きな舞台でその実力を証明している。

そのチームで得点を量産しチームをキャプテンとして引っ張ったMF平島くんも、今日の開幕戦で堂々たるプレーを見せた。
果敢にゴールに向かってアクションを起こし続け、状況が良ければ迷わず打てるアタッカー気質な所が得点力の源だろう。身体の使い方や足元の技術も高く直近の代表活動に招集されているのも頷ける。

加えてこの日の開幕戦でスタメン出場を果たしたのがMFの福岡くん。
慌てずボールを捌く技術や細かいポジション修正からは高いボランチ適性を感じるし、カテゴリーが上がってすぐこれだけ球際含め堂々とやれるというのは本当に驚かされた。

同じMFでいえば、大貫くんの技術は魅力的。足元のコントロールを始めとしてポジショニングや相手を見て逆を突くプレーからはかなり高いレベルを感じる。ここからさらにフィジカル的な部分が成長していけば大化けする可能性が大いにある。

そこに加え、FCフレスカ神戸から加入の元砂アントニくんや、VIVAIO船橋から加入で現在レアルソシエダへ短期留学中?の大島くんなども世代別代表に絡んでおり、今後の成長が楽しみな選手が揃っている。



もちろんここに挙げきれなかった魅力的な選手は他にもたくさん要るが、ここで挙げた選手も、そうじゃない選手も含めて共通して言えるのは、本当にみんな激しく戦えるという点。

そこは監督に柳沢が居て、テクニカルアドバイザーとして小笠原満男もベンチに座っていて、GKコーチに曽ヶ端が居て、スカウトとして本山が居て、という環境が生み出している財産だと思う。

今までアカデミーに関心が無かった、トップにしか関心が無かった方も、「トップで活躍した彼らがどんな選手を育ててるのか」という視点で楽しめると思う。



ということで来週、トップチームが京都戦を戦った翌4/14(日)に、リーグのホーム開幕戦となる市立船橋高校戦があります。
場所はカシマスタジアムで、キックオフは11時。

是非来てくださいなんて言う立場でもなんでもないけど、面白いとは思います。