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FFⅩ歌舞伎ネタバレ全開感想

FFⅩ歌舞伎……終わっちゃった……

3/6(月)に初観劇し、千穐楽の4/12(水)も観劇させていただいたFFⅩ歌舞伎……終わってしまいました。
まずは最初に。
こんな素敵な新作歌舞伎を世に生み出してくださって、二度も幸せな体験をさせて頂いて、本当にありがとうございます。
この公演が無ければ、おそらく私はこの先「歌舞伎」というものに触れる機会は得られなかったと思うし、自分の中にあるFFⅩが好きという気持ちに改めて向き合い、より一層「好き」を深める機会も得られなかったと思う。

既に公開した感想記事でも触れてたのですが、歳を重ねるほどに、胸の内に衝撃を覚えるほどの感動との出会いというのは、なかなか得難くなるものです。
実に、良い経験をしました。この先の人生で、何度も振り返り、思い起こしたくなるような。そんな経験。

──だから、全部書いておきたいんだ。

ここからネタバレ全開で感想を書いていく

と、いうことで改めまして、感想!書いていきましょう!
冒頭の通り、自分は期間中2回、足を運ばせていただきました。
(初観劇の翌日にすぐチケット取ってくれた友人ありがとう。それから、2回も行かせてくれた家族にも本当にありがとう)
見出しの通り、以降の内容はまったくネタバレに配慮しません。
ネタバレ嫌な方は今すぐ映像配信観に行こう。4,400円支払えば実質タダ!(?)
詳しくは公式サイトをチェックしてね。

ちなみに、ネタバレに配慮した方の感想記事はこちらです。
初観劇後、チケットまだまだ余ってるのが信じられなくて勢いで書いた記事です。
千穐楽は見渡す限りお席埋まってて、始まる前から泣きそうになりました。

唯一無二の語り部、オオアカ屋の功績

本編の感想を書く前に、中村萬太郎さん演じるオオアカ屋について語ってもよろしいですかな?

FFⅩの「語り部」というと、ゲームをプレイされた方にはおなじみ。メイチェンというおじいちゃんがいますね。
行く先々で「語ってもよろしいですかな?」と穏やかな問いかけでスピラの歴史について教えてくれる、かわいらしいおじいちゃんです。

そんな「語り部」としての役を持つメイチェンではなく、何故「商人」であるオオアカ屋が「語り部」として選ばれたのか。

最初、登場キャラクターとして名前を見たときは大変驚いたものです。
歌舞伎はよく「○○屋」と屋号を呼ぶイメージがあるし、その流れなのか……?なんてのも思いました。
(実際、舞台でも「オオアカ屋!」と掛け声ありましたね。あれ、歌舞伎初心者の自分は「あ!歌舞伎でよくあるやつ!」と聞いててすごいワクワクしました)

しかし、軽快な口調で観客を演目の中へと誘う萬太郎さんを拝見し、語り部としてオオアカ屋が選ばれたのは、彼がゲーム本編でも、キャラクターとプレイヤーをつなぐ架け橋だったからでは、と思いました。

ゲームにおける「商人」て、仕様という面から見ると中々メタい位置にいるキャラクターです。
と、いうのも、商人……もとい、オオアカ屋はゲーム中、キャラクターを通じて常にプレイヤーに問うのです。アイテムを購入するか否か。投資をするか否か……。
ショップでアイテムを購入する、という行為はゲーム内においては当たり前の行為ではあるんですが、その実、プレイヤーである自分と目の前のゲームとが線でつながる瞬間でもあります。

その演出を、新作歌舞伎という場においてオオアカ屋は見事に再現してくれた。
歌舞伎を初めて見る人、FFⅩという物語に初めて触れる人、どちらも知る人。幕間ですべての観客を注目させて、流れるような語りでスピラの世界へと導いてくれる。
まさに、現実と舞台をつなぐ、架け橋だった。
それは「商人」である「オオアカ屋」だからこそできた役目。
そして、その役を魅力的に演じてくださった萬太郎さん。今回、最初から最後まで楽しく観劇できたのは、この方、この役の功績あってこそだなと思うのです。

観終えた今となっては、語り部はオオアカ屋以外に考えられなかった、と深く頷くことができます。

役としての「オオアカ屋」も、役者さんとしての「萬太郎さん」も、どちらもと~~~っても!魅力的でした。
歌舞伎の見方のご教示から、グッズやコラボメニューの宣伝、そしてカーテンコールでのハッシュタグ告知!ゲーム本編と同じく、オオアカ屋には舞台の場でも大変お世話になりました。

菊之助さんのティーダは格好良かったし最高だった

自分はFFⅩのキャラクターで誰が好きかと問われたら、(みんな大好きなんだけど)ティーダと答えます。
ティーダというキャラクターの、17歳という等身大の青臭さが好き。エースという肩書きに恥じないブリッツの実力と、そのために重ねた努力、それ故に揺るがない自信に満ちた所が好き。想い人に対する一生懸命なところが好き。それを表現してくれた声優の森田さんが好き。
と、言い尽くせないほどに、ティーダというキャラクターが心の底から好きです。要は最推しなんですよね。

そんな最推し。初の2.5次元化です。

尾上菊之助さん自身は、歌舞伎役者さんということは存じておりました。ただ、歌舞伎は拝見したことなかったので、自分の中で菊之助さんといえば「グランメゾン東京」の丹後さん役の方、といったイメージでした。
(余談ですが、丹後さんもめ~~~~~ちゃくちゃ”イイ”んですよね……)

菊之助さんのティーダ……これも、私が言うまでもないことなんですが、5億点満点の最推しがこの世界に爆誕してしまったから、来年から毎年3/4は祝日にしようというくらい、素晴らしかった……

素晴らしかった。そんな単調な一言で片づけてしまうのは畏れ多い。
まず最初の「最後かもしれないだろ」の声から、すでにティーダ。
森田さんの声を真似ているとかじゃない。ティーダが喋ってる。
そして登場シーンがすごい。ザナルカンド・エイブスのエースがそこに居る。居るッ!!!

なお、登場時の名乗り、初観劇の時は「すごい!これが歌舞伎風の言い回し…!」と、演出にも感動しながら拍手してたんですが、千穐楽の時はただのブリッツ観に来た、いちサポーターとして全力拍手してました。
サインに応じる時の「いいッスよ」て声に滲み出るチャラさもまごうことなきティーダ。

あとこれ、2回拝見したから気づけた感想なんですが、菊之助さんのティーダ、公演期間中の序盤から最後の千穐楽まで、本当に完成度が高すぎる……

他の皆様が序盤の方ぎこちなかった…ということでは決して無いのですが、それでも、3/6に見た時と4/12に見た時と比較すると、役者の皆さまの演技がより凄くなっていらっしゃる。
だけど、菊之助さんのティーダ、初見の時から最高で、千穐楽ももちろん最高。
演出面で細かいところの違いはあれど、最初っから「ティーダ」というキャラクターを完全に表現されていらっしゃる。
いわゆる「解釈完全一致」ってやつ……ありがとうございます。ここが夢のザナルカンド。

開幕前の特番や、Youtubeでの裏話的動画、そしてプログラム掲載のインタビューを通じて、菊之助さんが今回の新作歌舞伎にかけていらっしゃる熱意の一端を拝見したのですが、この方はまさに、FFⅩというゲームに対する熱意と敬意、愛情をもって「ティーダ」という役に向き合てくれたのだというのが伝わる素晴らしさでした……

あと、歌舞伎版ティーダ、目元に白と青の彩りがあるのも凄い好き……
ティーダのイメージって「太陽」とそして「きらめく海」だと思っており、まるで水飛沫をあげる波、そして彼の武器であるフラタニティを彷彿とさせるメイクで、舞台上でその彩りがそっときらめく度に最高すぎて頷きまくってました。
菊之助さんのティーダ、思い返せば返すほどに格好良かったなぁ……!

ここ好き1 ~光が彩るブリッツボール~

ティーダの話の流れで、ブリッツボールの話に触れようかな。
FFⅩという作品の中で、スピラの文化性を描く役割も持つ「ブリッツボール」
会場である、IHIステージアラウンドをふんだんに使って、こちらもとても魅力的な演出でございました。

ゲーム中では水の中で行う球技、と非常に特殊な。まさにファンタジーだからこそできる競技です。再現できんの……?と思っていたのですが、舞台上を泳ぐルカ・ゴワーズとビサイド・オーラカの面々。
スモークと、光の明滅による波の表現。背景スクリーンによるゴールの演出と、思わず「なるほど」と唸ってしまう「ブリッツボール」の再現。初観劇も千穐楽も、食い入るように見入ってしまいました。

あと、これも会場の仕掛けなんでしょうか。
途中、水の中に潜るように下へと姿を消し、別の場所から急に現れる演出。あれも水の中を泳いでいるのが伝わってきて、思わず拍手したくなりました。
潜った瞬間に、その付近の光が波紋のように左右に光っていくのもまた綺麗なんだ……
(この演出は、マカラーニャの泉のシーンでも用いられてました。同じような演出だけど、こちらはシーン的にうっとりするような美しさ)

ブリッツ戦も(結果を知ってるとはいえ)圧倒的なゴワーズと、一人、また一人と倒れていくオーラカの仲間たちにハラハラしたり、まばゆいエースっぷりを見せてくれるティーダ、そして最後のゴールを決めてくれるワッカの姿に胸を熱くしたりと、非常に見ごたえあるシーンでした。
2回目の観劇時はビサイド・オーラカが並ぶ通路席だったので、始まる前からワクワクでした。
スポーツ観戦しに行く人ってこんな気持ちなのかもしれない(※普段全くスポーツ観戦をしない人間の言葉)

試合前に、通路で両チームがにらみ合うシーンもカッコよかったです。
あのあと、通路降りてく時にオーラカで1人だけ手を振り下りていくティーダも大変わかりみが深いです。なんてったって、エースだからな。

千穐楽では、ワッカからオーラカのチームメイトへ優勝トロフィーを投げ渡そうとするアドリブに笑わせていただきました。
引退試合を湿っぽい別れにしたくなかったワッカの心情を、橋之助さんはとても自然にこなしてくださったなぁ……と、ますます橋之助さんのワッカが好きになった瞬間でした。

ここ好き2 ~異界送りと杖を構えるユウナ~

公式Twitterでも先行公開され、大変話題になっていた「異界送り」
感想の記事を書くにあたり、改めて上記の動画を見たのですが、舞台上で見た異界送りはこちらの動画よりもさらに凄さが増しておりました。

「異界送り」とは、死者を弔うための儀式としての舞。ゲームでの言葉を借りるなら、不思議で、少し怖い、そんなイメージを持つもの。
米吉さんのユウナは、まさにそのイメージを完全に表現してくださってました。
足元から杖の先に至るまで、張り詰めるような美しさ。人々を救うことができなかった、送ることしかできない己の無力さを抱えた悲痛な表情。
そして会場にたゆたう幻光虫の表現に、沸き上がる水柱を再現するかのような足場の移動。
送られてしまう……私は……死人だったのか……と錯覚するほどの異界送り。

また、米吉さんの舞に合わせて揺れ、翻る衣装が美しいんだこれが……
舞ってる最中のシルエットも完璧すぎて、息をのんでしまう。
そもそも、米吉さんのユウナがすでに美しいのに、美を上乗せしてくるのでもはや拝むしかない。これは本当に、舞台を観に行ってよかったと心の底から思ったもの。

あと異界送り以外にも、米吉さんユウナが杖を持ったり構えたりするシーンは多々あるのですが、どのシーンも可憐さと凛々しさがあふれ出てて溜息が洩れてしまいます。
杖の持ち方、構え方が良すぎて立ち姿がもはや芸術の域……

ここ好き3 ~魔物にシーモア、数々の戦い~

ザナルカンドやルカ・スタジアムでの魔物との戦いをはじめ、シーモア戦、ビラン・エンケ戦、ユウナレスカ戦、そしてジェクト戦と、FFⅩの中でも印象的だった戦いの数々。
歌舞伎の場においてもそれは変わらず、いずれの戦いも魅力がたくさん詰まっておりました。

まず何より感想で触れたいのが、魔物たち!いずれも一目見ただけでどの魔物かわかる…だけじゃなく、その動きを「人」が行っているという事実に驚きです。魔物のディンゴとか、野性味あふれる動きで登場時に拍手したくなりました。シンのコケラもす~~~ごい頷いちゃうデザインしていて素敵。お顔は拝見できなかったけれども、魔物役の役者様方も素晴らしかったです…!スピラに息づくすべての命に血が通っている……(魔物とコケラは幻光虫なので血ないけど……)

シーモア戦は松也さんのお衣装の早着替え(調べてみたら「ブッカエリ」…ていうのかな。間違ってたら修正します)で、わぁ!と心を掴まれ、そのまま各キャラクターとの連戦に入るという熱の入った演出が凄かったです。
梅枝さんルールーの「魔法」の表現、そして海老反りも美しくて大好きなんですが、橋之助さんワッカ&黒子さんの「ボール」の扱いも大好き。双錘……だったと思うんですが、武器としての「ボール」、そう表現する~~~!?好き~~~!!!となりました。
歌舞伎初心者から見て、置いてけぼりにされない程度の歌舞伎要素を交えつつ、カッコイイ戦いを見せてくれるという、実に贅沢な演出のシーモア戦。
松也さんシーモアの散り際も壮絶で、これは「仏倒れ」というのだと後に知りました。
「ぶったおれ」かと思ったら「ほとけだおれ」と読むそうで。知らなかった方はここで私と一緒に覚えていきましょう。

召喚士は通す。
ガードも通す。
キマリは通さない。でおなじみ、ガガゼドのビラン・エンケ戦。かつて自分を「弱きもの」と虐げた2人に対し、キマリが復讐……ではなく、仲間たちと共に旅をして、仲間たちのお陰で強くなれたことを証明するために戦う、キマリの誇りをかけた戦い。
彦三郎さんキマリは登場時からずっと渋カッコイイのですが、ここは特に、獣のような雄々しさと、必要以上に相手を痛めつけようとしない気高さが窺えて、とても格好良かったです。
戦いの後に、互いをたたえ合い、そしてガガゼドの御山に対しても敬意を示すところがまた堪らなく良い……これこそロンゾの勇士……。
なお、2回目観劇時、このあと退場していくビランとエンケ、2人の走り方がちゃんと違うことに気が付いてめちゃくちゃ嬉しくなりました。

キャストイメージ公開時、原作とは全く異なる方向に舵を切ってたのにめちゃくちゃデザインに納得感があって目を見張った、芝のぶさんユウナレスカ。
西洋のメドゥーサを、東洋のヤマタノオロチに寄せたかのようなお衣装のデザイン。素晴らしく好きです。
ユウナレスカ戦も、その「蛇」を活かした演出で、おどろおどろしさが抜群でございました。
蛇を使役する、芝のぶさんユウナレスカ様の手つきが余裕を感じさせるようなたおやかさなのもまた解釈一致なんだ……元は人間だったはずなのに、もはや異形と成り果ててしまったユウナレスカ様の、人間を数ある命の内の1つとしか思ってないような無慈悲さがあって凄い……。
それから、芝のぶさんのユウナレスカ様、どっからどう見ても完全な女性過ぎてそこもびっくりです。頭では女形、とわかっているのに、観ている内に段々そのことを忘れてしまう。なお、初回時より2回目の方が、よりわからなかったです。

そして、ジェクトとティーダ。親子の戦い。
原作のゲームでは、異形の姿と化したジェクトを相手に戦うこのシーンですが、歌舞伎版では姿は変えず。しかし、彌十郎さんジェクトを照らす光が赤く染まっていたことで、正気を失ってしまったのだと思わせる演出となり、静かでありながら非常に胸を締め付ける演出でした。これ……本当、演出の効果が美しい……。
さらに原作ファンを泣かせにかかったのが、丑之助くんの幼少時ティーダの登場。
ゲーム本編では、戦闘中にティーダがジェクトに話かけることで、正気を失っているジェクトの心に訴えかけて戦闘を有利にするギミックがあるんですが、それを彷彿とさせる演出で胸が熱く。
ただそれ以上に、ジェクトの中では最後に見た幼少時のティーダがずっと、今まで、心の中に生き続けていた。子を思い続ける親の愛情と、シンとしての破壊欲求。2つの心に板挟みになりながら、必死に剣を握る手を押さえつける彌十郎さんジェクトの表情。
このシーンは文字通り、嗚咽しながら観てしまいました。
最後の、フラタニティを突き立てる菊之助さんティーダの表情も、観ていてとても辛かった……。
会場だから声を抑えましたが、自宅だったら確実に号泣していた。
家で配信を拝見するの、今からめちゃくちゃ怖いです。

ここ好き4 ~「歌舞伎」らしさ抜群の召喚獣たち

FFⅩの物語の根幹ともいえるのが召喚獣。すべては召喚獣から始まり、召喚獣で終わるといっても過言ではない。
歌舞伎での作中、度々その召喚獣は現れていたが、やはりあの異形を舞台の場に持ち出すのは難しいのだろう。
ゲーム既プレイヤーにはおなじみの、ゲームグラフィックでの召喚獣がスクリーンに映し出される度にそう思っていた。

だから、まさか最後の最後に歌舞伎仕様の召喚獣たちが出てくれるだなんて、誰が予想できただろう!

ゲーム本編では、シンという鎧をなくしたエボン=ジュを、それまで旅を共にしてきた「召喚獣」たちに乗り移らせて、召喚獣ごと倒すことでエボン=ジュを追い詰めるという展開となる最終戦。
正確にいうと「最終戦」では無いんだけど、そこはまぁ目を瞑って欲しい。

共に戦ってきた仲間を、「敵」として顕現させるあの戦いを、歌舞伎でも再現……いえ、歌舞伎ならではの表現をしてくださったことに、驚くと同時に感動しました。

初見時、あの立ち並ぶ召喚獣たちの姿を見たときの印象は、物の怪。
人でも獣でもない、ゲーム的に言うなら幻想種である召喚獣が、見事なまでに和風アレンジされていて大興奮でした。
すごい、一目見ただけで、どの召喚獣かわかる……ようじんぼうまで居る!!!(一番感動&笑ったところ)

展開的にも、長唄や毛振りと、一気に「歌舞伎」っぽさを強めてきて、文字通り目が離せないクライマックス。
ヴァルファーレに相対するのが、ワッカとルールー(同郷ビサイド対決)だったり、イクシオンの雷に怖がるリュック(雷平原)。極北育ちのロンゾ族であるキマリはシヴァの攻撃に動じなかったりと、怒涛の展開の中に細かなゲーム本編でのネタを盛り込んでくるのが、原作ファンとしても大変嬉しかったです。
召喚獣たちが退場する際、バハムートが祈り子と手を繋いでいたのもぐっときた……

1回目観劇→千穐楽で気づいた違いあれこれ

表題。もしかしたら、千穐楽以前のタイミングで変わった演出もあるかもしれないんですが(リュックのポーションとか)、1回目と2回目の観劇で気づいた違いについて。

ブリッツの優勝トロフィーを投げ渡す(※未遂)ワッカ

1回目の時はもう少し慎重に渡そうとしてたのに、先に述べた通り、2回目では景気よく投げ渡そうとしてました。
ワッカならやりかねない、というのと橋之助さんのお茶目さのバランスが絶妙だなぁ、と思って好きなところ。

ルールーとワッカ、ワッカとリュックのやり取り

よく本筋の話の横でわちゃわちゃやってたやり取り。梅枝さんのルールーも吉太郎さんのリュックも、2回目観劇時の方がワッカに対しより辛辣というか塩対応になったりしていてお可愛らしかったです。
1回目はワッカの気さくさを、2回目は情けなさも引き出してくれた橋之助さんも魅力的でした。

リュックの可愛さとポーションがレベルアップ

1回目の時から、リュックの可愛らしさを十分に出してくださってた吉太郎さん。
ですが2回目の観劇の時、思わず「可愛ッ…!」と口元を覆ってしまうほどの可愛さがありました。役者さんて本当にすごい……
シーモア戦でのポーションは、千穐楽ではついにラストエリクサーにバージョンアップしてました。
これについては、日々Twitterで「ポーションのランクが上がってる」という情報を目にしてたので楽しみだったところ。

時に雄々しく戦い、時に言葉を詰まらせていたアーロン

獅童さんのアーロンも、1回目と2回目で深みが増しておりました。
1回目の時は率先する大人感がうかがえたのですが、2回目の時はよりゲーム本編の印象に近い、見守る大人といった感じに。
また、シーモアとの戦いではその名を叫びあい、ユウナレスカ戦でも戦闘の激しさが増していたりと盛りっ盛りに。
そしてユウナレスカ戦後、ティーダに何故今まで彼を見守っていたのかを明かすシーンでは言葉を詰まらせ、自身の記憶を見せるという演出に。
(のちにTwitter上の他の方の感想で知ったのですが、この時の獅童さん、菊之助さんを前に、本当に涙されてたとのことで、その情報にこちらの胸がいっぱいになりました。後方&獅童さんの背中側の席だったので、菊之助さんがすごい優しいまなざしで次の言葉待ってるな…というのしかわかりませんでした)

より一層、情を滲ませてきたシーモア

2回見たときに、一番印象が異なったのが松也さんのシーモア。
1回目の時は、グアドの長として。そして胸に秘めた野心を悟られまいと、顔に出る情を押し隠していたかのようなイメージでした。
2回目の時は、野心は押し隠しつつ、その表情にはスピラを思う老師としての顔を見せ、何といえばいいのだろう……シーモアという役に、より一層、血が通ったかのようなイメージでした。
過去の回想シーンも、2回目見た時の方がより素敵でいらっしゃる……!
ジスカルに対する絶望と憎しみをより深く感じさせ、その父子の思いのすれ違う様に拳を握りしめる思いに駆られました。

バハムートの祈り子はより愛らしく

丑之助くんの祈り子、1回目はまさに神秘的な存在だったのですが、2回目は神秘的でありながらとってもかわいくなってて終始「わぁぁぁぁあ……!」と胸をときめかせていました。
私はバハムートの祈り子に対しても(ティーダほどじゃないけど)言い尽くせないほどの情を抱えているんだ……
千穐楽では、可愛くて、神秘的で、それでいてどこか儚い。夢を見ることに疲れてしまった小さな祈り子がいて、姿を見せるたびに胸の奥をそっと締め付けていきました。

最後に「ありがとう」と言ったのは……

エボン=ジュを倒し、祈り子たちが見ていた「夢」の存在であるティーダが消える、仲間たちとの別れの瞬間。
もう触れることは叶わない腕で、背から抱きしめるティーダに向かってユウナが言った「ありがとう」の言葉。
これが本来のFFⅩの展開であり、1回目の観劇での演出。
千穐楽では、この「ありがとう」の言葉がティーダのセリフになっていました。
展開的には、ティーダに消えて欲しくないと願い、自身に思いを寄せてくれたユウナに対する言葉とも取れますが……
なんとなく、この言葉は千穐楽で、無事に「FFⅩの歌舞伎」を終えられたことに対する、菊之助さん自身のお言葉だったのかなぁ、というような気もします。そうだったらいいなのお話で真意はわかりませんが。
ただその「ありがとう」は観客である自分の方が言いたいんだよなぁ……!!

2回の観劇、何より大きな違いだったのは観客の「拍手」

役者の皆様、演出など、2回の観劇で気づいた違いは多々あれど、何より大きな違いだったのは、皆様の拍手!
1回目の時より明らかに人数が多かった、というのもありますし、中には同じように2回目以降の観劇の方もいらっしゃったのではないでしょうか。
要所要所での拍手は大きく、自分もたくさん拍手させていただきました。
歌舞伎で面白いなぁ、と思ったのが「拍手していいタイミングがいっぱいある」ところ。ツケや長唄以外にも、観客である自分たちが拍手で舞台を賑やかすことができる、というのはとても新鮮で、楽しい体験でした。

ここ大好き ~千穐楽のEDでユウナに手を伸ばしたティーダ~

初回の観劇時もそうだったかもしれない……ちょっと忘れてしまったのですが、千穐楽でのエンディング。ユウナが「いなくなってしまった人たちのこと。時々でいいから、思い出してください」と言ったのちに幕が上がり、一同が並ぶ場面。
この時にとても優しい表情で、米吉さんユウナに手を伸ばす菊之助さんティーダに、ぼろぼろ泣いてしまいました。
ゲーム本編では、永遠の別れに終わってしまったティーダとユウナ。その2人の、夢のような「再会」を思わせるその演出が、私にとっては何よりも嬉しかった。
FFⅩ歌舞伎が終わってしまう、最後の日に。とても素敵な夢が「真実」になったかのような演出に、ゲームでの祈り子たちの言葉を思い出しながら拍手を送らせていただきました。

思い返すたびに「よかった」しか出てこない

気付けば10,000字近くに及んでいた感想記事。
細かい「好き」なところを上げてるとキリがないのですが、本当に、今回のFFⅩ歌舞伎は観に行くことができて幸せでした。
この先の人生で、今回の舞台を現地に見に行った、という記憶は自分の中で大切な宝物になるだろうな、と思います。

まったく触れてこなかった「歌舞伎」を少しでも知ることができたことで、歌舞伎に対するハードルや堅苦しさがだいぶ低くなったこともあり、今度は他の歌舞伎も拝見してみたいです。
というか、すでに気になるものもいくつかあるので、何とか予定を調整して観に行きたい。

この年(※30半ば)になって、こんなにも意欲的に未知の分野に飛び込んでいける機会なんてほとんどないので、この感覚は大事にしていきたいものです。
「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ」は、今まで歌舞伎を見たことなかった人もターゲットにされていたそうですが、そういった意味では本当、大成功ではないかと思われます
企画・構成の尾上菊之助さんをはじめ、制作や演出に関わったすべての方々に、少しでもこの「素敵なきっかけをありがとうございます」という感謝の気持ちが伝わってくれたら、いち観客として嬉しい限りでございます。

……さて、無事に感想まとめ上げたので、次は公式サイトへちゃんと感想アンケート書きに行きましょうかね!


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