渟熨斗姫命の謎②(金神社)

渟熨斗姫命の謎①では、神社の伝承や記紀からの

記述から、以下の事が推察できました。

・渟熨斗姫命は政略結婚で五十瓊敷入彦命に嫁いだ。
・夫である五十瓊敷入彦命が殺された後、美濃国で過ごした。
・その際自分の財産は八坂入彦命に搾取され、町の発展に使われた。
・美濃国で亡くなってから後、「金大神」として金神社に祀られた。
・祀ったのは物部臣賀夫良命(もののべのおみかぶらのみこと)。

金神社

五十瓊敷入彦命は伊奈波神社に

渟熨斗姫命は金神社に

息子の市隼雄命は橿森神社に

主祭神として祀られました。



しかし、腑に落ちないことがあります。



金神社の本殿の屋根ですが、

金神社本殿屋根

「男千木」で「鰹木が5本」です。

千木が男千木ということは、祀られている主祭神は男性です。

しかも鰹木が奇数の場合、これも男性神を祀る形態です。

明らかに違っています。

しかし、神社が「主祭神は渟熨斗姫命である」と明言

していますが、間違いなのでしょうか?


考察ポイントは2つ!

①金石を奥州から持ってきた、金神社で渟熨斗姫命と一緒に祀られている
  「五十瓊敷入彦命」を金大神とした。

②祀ったのは物部臣賀夫良命であることから、物部神社として
  物部氏の祖である「宇麻志麻遅命」を金大神とした。


手水舎

私は①が正解に近いのでは、と思っています。

渟熨斗姫命の謎①でも触れましたが、祀られたのは

後のことだと伝承されています。

文章をそのまま読めば、こう解釈できます。


金石を大量に奥州から運んできて殺された五十瓊敷入彦命は

伊奈波神社に祀られていますが、金大神と呼ばれていた。

朝廷から派遣された物部臣賀夫良命(かぶらのみこと)は

この地に金神社を建てた。

金大神として五十瓊敷入彦命と渟熨斗姫命比売を

(ひょっとして息子の市隼雄命も)金神社に祀った。

伊奈波神社があることや、地域のために財産を搾取された

渟熨斗姫命を憐れんだ地域住民が主祭神として考えるように

なった。

と考えます。

そうすれば、もともと金大神として五十瓊敷入彦命を祀っていたことも

あることから、男千木となったんだと思います。



最後に、

金神社は多くの方が参拝に訪れますが、

神社の裏手にはほどんど足を踏み入れません。

金神社の後ろにはいくつもの摂社・末社があります。

金神社の裏

まず、手前には物部臣賀夫良命(かぶらのみこと)が祀られています。

賀夫良城(かぶらのみことのはか)


賀夫良


その中でも金神社本殿のちょうど真裏にあるのが、「物部神社」でした。

関係はないでしょうけど、考察②で宇麻志麻遅命が主祭神と考えた理由が

これでした。


左が玉姫神社で右が物部神社 本殿のちょうど裏にあります。

「金」=「鉄」

伊奈波神社も金神社も橿森神社も物部氏が関わっている神社です。

ついでに美濃国一之宮の「南宮大社」も鉄が関わっていますが、

あそこも物部系ですね。




  


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