【カンノ動向】2023年12月26日~2024年1月1日

12月26日(火)~28日(木)
この数日は権力について考える日々だった。まずはナイツ塙さん。M-1終了後に塙さんのやったことを知る。何やってんだよ。めちゃくちゃがっかり。僕はナイツ好きなんだからさ。かなり最悪の気持ち。爆笑の太田さんは「たかがお笑いなんだから」的なことをラジオで言ってたらしいけど、そんなの勝者の高みの見物の意見だからな。このドッキリをされた側は気の毒だよ。これで次審査員降りなかったら本当に最悪。本当、お笑いの世界は嫌いだなと思っていたら、週刊文春に松本人志に関するとんでもないスクープ。もちろんこれが本当かどうか、どういう道筋を辿るのかは分からない。というか静観する他ない。ただ、お笑い芸人のこのような女性観はよく聞く話ではある。2023年はレギュレーションがすっかり変わった年になった。そのラストを飾る記事であるのは間違いないだろう。

私が音楽業界においてそれを感じたのはカナブーンのニュース。彼らと私はほぼ同い年。これは私の実感として「バンドマン=女遊び」の世界である、という認識を持った最後の世代な気がするんです。それは「芸人=女遊び」の認識もそうだし、めちゃくちゃ昭和の価値観だけど「飲む・打つ・買う」にロマンを持ってしまう最後の世代というか。「モテたい」からバンドを始めるのは可愛いものかもしれないけど、そのまま行き着くとこうなってしまう。

欲望を原動力に表現活動をすることに異論はないが、そこに客観性を持つか持てないかで分かれてしまう。早くに売れたカナブーンはそれが持てなかった。なぜなら前時代的レギュレーションのまま、変化するレギュレーションについて行けなかったから。変な話ですが私は「今、売れてなくて良かった〜」って思いました。毎日変わる常識について行けるか行けないか。油断した人から消えていく。

人は悲しいもので、自身の権力性や加害性に無自覚なことが多い。その姿をたくさん見た2023年になった。それは映画界、ジャニーズ、宝塚、音楽、お笑い、政治。至る所で起きた。で、当の本人たちは「貧乏くじ引かされた」と思うのでしょう。だって途端にルールが変わっちゃっただけだから。

12月29日(金)
ここ数日はリスケさせることが続き、された側として「その日をどう過ごせばいいか分からなくなる」という日が続く。しかたないんだけど、「しかたない」を自分にこのまま言い聞かせ続けたらいつか爆発するだろうなと思った。2023年は本当にカスみたいな1年だったなという実感なんだけど、その一つに「所詮は他人」をいろんな場面で痛感したからだろう。自分に起こることは全然軽いものだけど、例えばハラスメントの報道やそれに関するSNSの反応、そういう空気感なのをまだ分かってない自分の周りの関係者の振る舞い。「自分さえ良ければ、良し」の快楽って相当強いものだから「しかたない」のかもしれないけど、さてそれを乗り越えないととんでもないことになるぞ~。

暗い気持ちの年末だったからか、暗い曲・アルバムが身に沁みる。急に井上陽水を聴き出したのは『white』というアルバムが素晴らしかったから。陽水が大麻で捕まった後に初めて出たアルバムで、フォークを忍ばせシティ感を漂わせつつ全体的に薄暗く陰気な印象のアルバムで素晴らしい。

陽水のこのアルバムを聴くと個人的には『ZAZEN BOYSⅢ』を思い出す。このアルバムが一番「冷凍都市」を実感する。初めてシンセを導入したアルバムでロッキン感は少し後退し、薄気味悪い都市感がうようよ漂っている。「WATER FRONT」はそれを特に実感できる。「TOMBO GAME」の歌とギターによる輪唱がキープされ、リズム隊が躍動しまくる構造とかどうやって思いついてるんだろう。


12月30日(土)
日中は家事。きのこをたくさん入れたハッシュドビーフを作ったり、洗濯物畳んだり、コートにボタンを付けたり。十何年ぶりにお裁縫やったけど全くうまくいかない。玉止め難しすぎる。指が太すぎる。不器用すぎる。でも達成感は半端ない。

夜は友人宅へ遊びに。いつのまにか大晦日になってた。楽しかったです。ご馳走様でした。その移動中に見たマキタスポーツ×米粒写経のトークがすごく良かった。本人たちは楽しそうにおしゃべりしてるだけだけど、「虫のように生きる」は今の時代重要かもしれない。流行や潮目が変わる世界の中で、どれだけぶつぶつ何かを言い続けられるか。誰かのためにでもない。下手したら自分のためにでもない。でもなんか「ぶつぶつ言い続ける」ということ。売れるとか世間とか空気を読むとかではなく、ぶつぶつ言ってる業があるかどうかだなと思った。今の表現は。


12月31日(日)
夕方まで寝て、紅白付けながら文字起こし作業。その後、ライブハウス・下北沢THREEへ向かいカウントダウンイベント。移動中にラジオで紅白を聴取。ラジオ紅白、めちゃくちゃちょうどいい。けん玉って視覚情報がキツいのだと思った。耳だけだと全然ドキドキしないで済む。国民的コンテンツはラジオがすごくちょうど良いのかもしれない。スポーツが嫌いな私でも箱根駅伝や野球はラジオは全然大丈夫、むしろ楽しめる。もしかしたらM-1もラジオがいいかもしれない。ラジオを通してテレビを感じるという訳のわからなさ。2024年以降やってみようかしら。

1月1日(月)
自分の出番をチャチャっと終えて年越し。下北沢THREEと下北沢BASEMENTBARを行き来しながら(ライブハウスが2軒、併設されているのです!)音楽を聴く。とあるネットニュースでたまたま知ったハシリコミーズを見れた。最高にかっこよかった!爆速で売れて欲しい。早く「見たことあるよ」って自慢したい。才能のある若い子はすごい。嬉しくなっちゃった。

3時頃帰宅して、そこから朝まで引き続き文字起こし作業。眠気との戦い。で、所用で昼過ぎまで外出。帰宅後も文字起こし作業をして、ある程度終わらせる。そのまま寝不足で実家へ。電車で1時間くらい。夕方16時過ぎくらいでしたか。おせち食って笑点見てたら、緊急放送に切り替わる。2024年、最初の日にこうならなくてもいいじゃないか。私は実家で飯食いながら笑点が見たかっただけなんだよ。今年は絶対去年より良くしたい思いがあるのに。地球に出鼻を挫かれるとやりきれない気持ちになる。年末年始にやりきれない思いで過ごしてどうするっていうんだ。日帰りで帰宅。

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