見出し画像

YETTO & カンノアキオ「good driver -Summer Damn'23-」を野暮ったいくらい言葉を尽くして説明⑤

前回記事はこちら。

YETTO & カンノアキオ「good driver -Summer Damn'23-」という楽曲で私は64小節ラップしていて、このnoteではそれを16小節ごとに区切って歌詞解説しています。今回は49~64小節箇所。つまりラストですね。これまでご覧いただきありがとうございました。では歌詞を見てみましょう。

ケッて思うことばっか しょっちゅう
オートロック開けぬ 客増える
7回目のベルも 鳴らさないで
置いて帰る オートマチックに
キックする木々を ハッとする人々
スネが痛む俺は good fuck’n driver
狂ったように走る 甲州街道
憧れた人見かけ 本当に泣く
繰り返される商業 積み重ね
配達件数7000超え
世田谷超え 目黒を超え
品川超え 戻れ杉並へ
64小節は246
どこまでも続く ライカ東名高速
今日も馬鹿力でチャリを漕ぐ
あの人の笑い声 聞きたいな~

配達業をしていて明らかに最近増えてきたのは、「ロクでもない客が増えたな~」という実感です。3件配達だからそこそこ時間かかるのに「まだですか?」と急かす奴、配達の説明文がちぐはぐな奴(「着いたら電話してください」の文言があったので電話をかけたら「は?」って言う奴とか)、オートロックに全然出ない奴。店、客、配達員のそれぞれに当てはまると思うんですけど、もうコミュニケーションなんて取りたくないんですよね。全員が全員どうでもいい。わかる~。小汚い奴が家まで、なんかよくわかんない飯を持ってくるわけですからね。喋りたくも連絡もしたくないっすよね。なので適当にそこら辺に置いて帰ります。流石に「7回目のベル」を鳴らすことまではしないですが(これは「うまいサンプリングできたな~」と自画自賛)、エントランスのオートロックを3~4回鳴らしても出てこないは全然あるんですよね。で、そんな奴は当然電話しても出てくれないので「どうしよっかなぁ…」と思っていたら外からそいつが歩いてきて「あ、もう着いたんですか?」だって。うわっ。池尻のマンションのあいつの住所書いてやろうかな。これまた流石に「木々を蹴り飛ばして周りの人々にハッとさせられる」みたいな経験はないですが、まぁ、そんなキレた気持ちを抱えて配達しているのは確かです。スネが痛むというよりは、長時間配達で身体全身は毎日痛いですね、はい…。

甲州街道は配達の根城みたいな感じなのでよく走っているのですが、芸能人をよく見かけます。とくに、あの憧れた人を見かけたときは「先日のNUMBER GIRL解散ライブは前から15番目の席で見させていただきました。ありがとうございました。」と心でお辞儀しました。「繰り返される商業を積み重ね」たご褒美です。ちなみにその人は、ほかの地域でも計3回ほど見かけているので、そのたびに心がホクホクするのと同時に「めちゃくちゃ見かけすぎじゃね?」と変な引き運にゾッとしたりもします。まぁ、東京で配達してるときのラッキーですね。

この歌詞を書くタイミングくらいで、2018年からやっているこのデリバリーも累計7000配達を超えたんですよね。「うわぁ…」と思ったので入れ込みました。嫌な歴史が溜まっていく。「世田谷超え 目黒を超え 品川超え 戻れ杉並へ」という歌詞は「流石に遠くへ行きすぎじゃない?」と思われるかもですが、そこまで飛んでしまう”流れ”の日っていうのもあるんですよね。いくら鳴っても配達先が「5キロ先」とかの表示の日ってあるんですよ。そのときは腹括ってどこまでも遠くへ行きます。で、品川超えて大田区へ表示されたときに「嫌だ!もう行きたくない!帰る!」と思って自宅のある杉並まで約10キロかけて帰るとか。全然しょっちゅうありますよ。ヤバい、書いてて本当辛くなってきた。で、この歌詞は私が大好きなスチャダラパー「リーグオブレジェンド feat. DEV-LARGE & CQ」のANIさんの歌詞「時空を超え 垣根を越え 三十路を越え 集まる声」の引用ですが、まぁ、これは伝わらないわな。


「64小節は246 どこまでも続くライカ東名高速」
は、三茶を起点に三宿~池尻のほうを走ったり、反対に上馬~駒沢のほうを走ったりするときに「これ、どこまで続くんだろう…」と246の上の東名高速を眺めながら歌詞にしたいと思った部分ですね。ぼんやりしちゃったときに自分の本音とか本質が表れると言いますか。同じ道路が上にも下にもあるって、なんか意味がわからなかったんですよね。で、そんな意味なきことを考える暇があったら「今日も馬鹿力でチャリを漕ぐ あの人の笑い声が聞きたいな」と配達業務をこなしながら、radikoのタイムフリーで『月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』を聞いて、労働組合「ウーバーイーツユニオン」で委員長を務める渡辺くんの笑い声を思い出したりしましょう。という64小節でした。

5回に分けてYETTO & カンノアキオ「good driver -Summer Damn'23-」の主に私の歌詞部分を説明・解説いたしました。改めて、これまでお読みいただきありがとうございました。64小節のラップを約1万字かけて説明するバカバカしさもなんだか楽しかったですね。引用元とか配達業をやるときの思いだとか様々書き殴りました。夏の暑さも一旦は引いて、これからは冬の寒さが到来するなかでの配達です。さて、報酬はあがるのか。客のリテラシーはあがってくれるのか。配達員が「この仕事、やってて良かった!」と思えるのか。これからもこの仕事をしながら注視していきたいと思います。それでは私はこれから出前館の登録をしようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?