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YouTube動画のシナリオを無断で別物に書き換えられたのでライターを辞めた話


7月に一年以上続けていたYouTubeチャンネル、トラブルバスターズのシナリオライターを辞めました。
理由はチャンネル運営側に対して、これ以上仕事を続けたくないという思いを抱いたからです。
元々トラバスは何度か入れ替わりはありつつも、ライター3名、添削担当者2名体制でシナリオ作成をしていました。
(この他にチャンネル運営のメインとなるスタッフさんや動画作成班なども居るため正式な運営の人数は把握していませんが、今回辞めた件には無関係なので割愛します)


以前の添削担当者(仮にYさんとNさんとします)の頃は目立った問題もなく、いつも円滑に楽しくシナリオ作成のやり取りをしていました。
しかし今年の5月に、なんの事前連絡もなく突然2人揃って同時に辞めてしまいました。

その後特に挨拶もなく新しい担当者(仮にRさんとします)に代わったのですが、Rさんが担当になり今までのトラバスとは大きく変わってしまいました。
まずトラバスの方向性として、全体にギャグを沢山ちりばめテンポのいい明るく楽しい内容にするという決まりがあります。

また、それぞれのキャラに合わせた決め台詞、持ちギャグを必ず入れるという決まりもあります。(ヒカリのどんだけー!アカシのなんて日だ!など)
これまでのYさん、Nさん担当の頃は、決められた方向性通りギャグを沢山入れた楽しい内容のシナリオで作成し、大きな変更や修正もなくスムーズに添削のやり取りを行っていました。
しかしRさんに代わった途端、添削の指示が以前と大きく変わりました。
具体的にはストーリーのあちこちにギャグを入れるな(ギャグを盛り込む内容はチャンネルで決まっている方向性です)

キャラクターの持ちギャグや決め台詞も消すように(こちらもチャンネルで決められたものです)
など、トラバスのチャンネルが決めた方向性とまるで異なる修正依頼です。
また、ライターはプロットという大まかなストーリーの起承転結を元にしてシナリオを書くのですが、このプロットに書かれている内容通りに書いた内容まで修正しなければいけませんでした。
(プロットでは「○○のようにしてください」の指示なのにその部分を消すようにという修正指示が来る)

こちらは修正指示通りに直さなければ納品できないため、どれだけおかしい指示でも従うしかありません。
それによって今までとはまるで違う、視聴者が笑って楽しめるようなシナリオではない内容にせざるを得ない状況となりました。

このようなシナリオの方向性になると、当然チャンネル運営者からは「シナリオに笑いどころがない。決められたギャグシーンが入っていない」とシナリオライターが注意を受けてしまいます。
そう言われても、こちらは添削担当者であるRさんから「ギャグを消すように」と指示されたため言われた通りに書くしかありません。

つまり、シナリオからギャグが消えたのは「新しい添削担当者であるRさんによる指示」なのですが、チャンネル運営者からの注意に対してRさんは「私がそのような方向性にするように指示をしました」と一言も報告せず、ライターである私に責任を転嫁するような対応を取りました。

この時点でRさんに対する不信感はあったのですが、その後も不信感が募るような対応が度々起こりました。

例えば一度納品したシナリオに加筆修正依頼が来たためその指示通りに内容を書き直したのですが、出来上がった動画を見ると私が書いたものとは違う内容に書き換えられている。というものです。

完成したシナリオが添削者に加筆修正され動画になる、ということ自体はYさん、Nさんが担当の時代にもありました。
しかしそれは


■内容的に不自然な点を自然な流れになるように修正。
■元々シナリオに練り込まれているギャグ要素を膨らませ、中だるみしがちな部分にギャグを加えよりテンポを良くする。

など、元のシナリオを活かしつつより良い内容にブラッシュアップする手直しでした。そのため、Yさん、Nさんが行った加筆修正に不満を抱いたことはありません。

しかしRさんの場合、

■「○○という描写を加えてください」→指示通りに加筆修正→指示があったのにその部分を丸ごとカット。
■元のシナリオにあったセリフやストーリーの流れとは全くの別物になるレベルでの修正。(それによってストーリーがちぐはぐに感じる仕上がりになっている)
■間違った情報、言葉を使うので視聴者が違和感を抱く。


などというものでした。

トラバスの決まりで文体は「だ。である。調」となっているのですが、変更された部分だけ「です。ます。調」になっているので全体の調和が取れずその部分だけが浮いてしまっている仕上がりになっていた事もあります。

そして私のシナリオに加筆修正された場合、Yさん、Nさんの頃は「この部分にこのような描写を加えました」と報告がありましたが、Rさんの場合そういった報告、説明もありません。
自分から修正指示を出しその通りに修正したのに、納品後全く別のストーリーに書き換えられている。
それに関する事後報告も無し。
ますます不信感が高まってしまいます。これ以外にも色々あるので簡単にまとめます。

■キャラクターの性格やトラブルバスターの描写が乱暴になりこれまでの視聴者が笑える内容というより不快なものに変わる。

■なんの事前連絡もなく突然キャラクターの性格を変更。何故そうするのか、急に方向転換をすることで視聴者や再生数にどう影響するのかという説明も無し。

■シナリオに反映されている描写なのに「その内容に関する記載がない」とのフィードバック。(シナリオをきちんと見ていない)

やり取りの中でこういった事があまりに多かったため、担当者がRさんに代わって以降執筆と担当者との連絡に大きなストレスを感じ、元々持っていた不整脈が更に悪化してしまいました。
これは「トラバスの仕事が嫌になった」のではなく、「Rさんと関わるのが嫌になった」です。

人間どうしても相性があるので、ここで辞めるのが私一人であればたまたま相性が悪かっただけだと思います。
しかし、担当者がRさんに代わったタイミングで、私以外のライター二人も立て続けに辞めています。
更にそのあと入った新しいライターも、あっという間に辞めてしまいました。
二ヶ月で四人のライターが一気に辞めたとなると、流石にライター側ではなくRさんに問題があるとしか思えません。
これまでも何度かライターの入れ替わりはありましたが、これほど短期間で何人も辞めることはありませんでした。

そもそも何故以前の担当者であったYさん、Nさんが辞めてしまったのか。
もしかすると、個人的な事情があったのかもしれません。しかし二人同時にまったく同じタイミングで辞めるのは考えにくいです。
恐らく辞めたのではなく辞めさせられたのではないかと思いますが、それに関しては内部事情を知らないので断言できません。

そして何故ライターが次々と辞めてしまうような担当者に変えたのか。
極論ですがYouTubeは再生数が稼げればいいので、担当者に問題があっても動画がウケればそれでいいと思います。
しかしRさんに代わってから、再生数も視聴維持率(最後まで動画が再生される率)もガクッと下がっています。

チャンネル内の動画を人気順に並べると、どれも担当者がYさん、Nさん時代のものばかりです。(上位のほとんどが半年~一年前に投稿されたもの)

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一方最新の動画ですが、明らかに人気が下がっています。(新しい順に並べ替えると再生数が10万回に満たないもの、一年前の10分の1程度がほとんど)

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コメントでも「前の方が面白かった」と書かれる事があり、そういった不満が寄せられるのはRさんにシナリオを大きく書き換えられた動画でした。

担当者を代えることでテコ入れし、動画の人気を伸ばすのなら戦略として納得できます。
しかし担当者が代わって、ライターは次々と辞め、再生数も減り、視聴者からも前の方が面白かったと言われると、何故担当者の変更をしたのかが全く理解できません。
とはいえいくら運営側に疑問や不満があっても、私の立場からどうこう言って環境を変えてもらうこともできないので、こうなるともう自分が辞める以外選択肢がなくなってしまいます。
体調面もかなりきつく、正直Rさんとやり取りを交わすだけで吐き気や不整脈を起こすようになりました。

トラバスのシナリオを書く仕事自体はとても楽しく、私としても長く続けたかったものです。
しかし運営にRさんが居てYさん、Nさんが戻ってこない環境で仕事を続けるのはあまりにも負担が大きかったため、辞めるしかない結果となりました。

もし運営者に相談したとしても、一度辞めてしまったYさん、Nさんに戻ってきて貰うのは現実的ではありません。
YouTube動画製作関連の仕事が増えている中、このような経験をするフリーランスは少なからず居るでしょう。
こういった経験を公表するのが解決に繋がるわけではありませんが、一年以上トラバスの動画を楽しんでくださった視聴者の皆様に少しでも事情が伝われば幸いです。

2024/2 追記
「著作者人格権」について世間で話題になっているため少しだけ追記、記事のタイトルを変更いたしました。
またこの記事を書いたのは2021年9月ですが、2024年になった現時点で辞める前に執筆したシナリオ料、合計して10万円以上はいまだに未払いです。
報酬は支払われていませんが納品済みのシナリオを使った動画は制作、公開されています。
給与未払いの場合遅延損害金が発生するそうですが、それも含めて先方に支払う意思があるのかはわかりません。


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