ジョニ・ペイン (アシスタントブリュワー at Kato Sake Works / ミュージシャン)[Interview in Brooklyn vol.10]
ニューヨークに日本酒の醸造所は二つしかないそうだ。
ひとつは、サンセットパークにある、ブルックリンKURA。
もうひとつは、ブッシュウィックのKATO SAKE WORKSで、私たちはオーナーのカトウ夫妻と仲良くさせていただいている。2020年3月、小さな醸造所の小さなカウンターバーで、まさにそこで醸造された日本酒を頂きながらテイスティングルームのオープン祝ったのだが、その数日後に、ニューヨーク市はロックダウン(都市封鎖) になってしまった。その後も酒造りはもちろん続け、店頭販売やレストランの卸を中心に忙しくなり、醸造所のヘルプが欲しいと考えていた時に現れたのが 、ジョニだそう。
私たちがジョニに出会った時、なんとなく「音楽をやっていた。」とは聞いたけれど、過去の作品を聴いて驚いた。酒造りは、音楽を本格的にやっていた中での完全な”キャリア変更”だったのだ。
こんなに素敵な音楽を作っていたなら是非、ハニーズチューズデーでプレイして欲しいとオファーさせて頂いた。
ジョニ・ペイン、7月13日のニューヨークデビュー at Honey's Tuesday vol.47 にあたり、彼女の「酒造と音楽」について、話を聞いた。
ジョニ・ペインです。色々な場所に住みなが育ちましたが、NYに来る前はLAに住んでました。NYにはパンデミックの真っ最中、8、9ヶ月前に、酒を醸造するために来ました。
LAでは、8、9年間ほど音楽を追求していました。音楽のインスピレーションを得ようと、違うビールの醸造所や農場などへ働きに行ってたのですが、その間に、発酵の過程に、ものすごくハマったんです。音楽は作り続けていますが、追求するのはやめて、醸造を追求しはじめました。
本当はフランスにワインを作りに行く予定だったのですが、パンデミックで全てが閉まってしまいました。アメリカで日本酒を作っている人がいる事を知り、リサーチを始めたら、その醸造の過程が気にいってしまって。
幸い、KATO SAKE WORKS のしのぶさん(オーナー兼ブリュワー)と出会うことができて、9月からここで働いています。
KATO SAKE WORKSについて、少し紹介していただけますか?
もちろん(笑)。 私は KATO SAKE WORKS のアシスタントブリュワーで、しのぶさんが、オーナー兼ヘッドブリュワーです。彼はここ、ブッシュウィックで小さな日本酒の醸造所を始めました。ブルックリンでは、KURAに続いて2番目にオープンした醸造所です。ブルックリンというか、日本酒の醸造所はニューヨーク州に2軒しかないですね。
私は彼から全て教わっています。こんな小さなブッシュウィックの醸造所で酒造りができるのは素晴らしい事です。伝統的な工程も使いますが、ブッシュウィックならではの、例えばキャッツキル地域の水を使ったりなど、古典的な日本と、現代的なブルックリンが、良い組み合わせとなっているんです。
KATO SAKE WORKSで働く前に、日本酒造りの経験はありましたか?
ビールの醸造の経験はありましたが、日本酒の醸造はここで学びました。ビールと酒の醸造は重なる点も多くありますが、私はとりあえず、出来るだけの事を独学して、ここに来て、しのぶさんに醸造を手伝わせて欲しいと頼みました。しのぶさんもその時アシスタントを探していたので、ラッキーでだったのです。アメリカには日本酒造りをしているところなんて、殆どないのに。
音楽や作曲活動は、どのように始めたのでしょうか?
高校の時に、作曲をはじめました。ビジュアルアートを勉強していて、絵の描き方を勉強していました。ペインティングの勉強を始めたのですが、私の創造のアウトレットではなかったんです。表現の過程を学習している時に、自分を表現する違うものが必要だと感じ、別の表現の形として、音楽を作り始めました。その後大学で、たまたま音楽プロデューサーになり得る友人たちが出来て、一緒に音楽を創り始めました。私の音楽は、チルウェイブ、R&Bみたいな感じでしたが、NYにに引っ越して来てからは、私だけで、バリトン・ウクレレで弾いています。なので、もっと削ぎ落とした感じ、古典的な、ジャズ、チルウェイブのようなスタイルです。
好きなミュージシャンは?
私が好きな声で言うと、多分ジュリー・ロンドン。私が歌い続けてきたような曲と同じようなジャンルなので、、、今のところはそんな感じかな、、、常にいろいろと変わります。
NYとLAでは音楽シーンの違いは感じますか?
ニューヨークの音楽シーンは、パンデミック以来やっと再開されたところですが、とても楽しいです。パンデミックの最中でも、あちこちで色々やっていたように思います。LAは、よりプロデュースされたショーが多いですよね。歩いる間にたまたま音楽を聞いて、そこに入って行くなんて事は殆どありません。ニューヨークはもっと、アンダーグラウンドの創造性がある感じがして楽しい、、、というのが少なくとも、私が今のところ肌で感じていることです。(パンデミックの影響を受けていてまだ開いていないベニューも多いですが)夏の間に色々な場所が開いていくのが待ち遠しいです。
NYでお気に入りの場所は?
今の所デシベルです、もちろん! ”酒バー”で、アンダーグラウンドで、、、アンダーグラウンドシーンという意味だけじゃなくって、本当にアンダーグラウンド(地下)にあるでしょ、最高。(笑)
私がニューヨークで初めてハングアウトした場所の一つで、Yoko Nips(インタビュアー)もいて。引っ越して来てすぐ、私の誕生日を祝った場所のだけど、すごく楽しかった!働いている人もとても良いし、好きな場所です。
今後に向けてプランしていることはありますか?
面白いのは、私は音楽を長い間追求していたけれど、今は方向を変え、日本酒を追求しているのですが、より音楽を作るインスピレーションを感じています。だから、今取り掛かっているものをレコーディング出来たらと思っています。きちんと”プロデュースされたもの”でなく、もっとシンガーソングライターのようなレイドバックな感じで。あと、やっとNYがオープンし始めたので、もっとライブショーをやってみたいですね。
7月13日の ハニーズチューズデー では、何をプレイするのでしょうか。
私は、バリトン・ウクレレを演奏します。これは普通のウクレレと似ていますが、キーが少し低いです。ギターの上の4弦と同じです。アコースティックだったりエレクトロニックだったりですが、私自身と楽器だけ、ですね。カバー曲も少し演奏しますが、ほとんど自身の曲を演奏する予定です。
インタビュー by Yoko Nips
文・翻訳 by 4533 studio (Yoko Nips & Twisty)
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