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孤高のアナログモノシンセ pioneerdj toraiz as-1

なんだかんだで電子楽器マニアが好きなもの、それはアナログモノシンセです。
FM音源やCASIOのデジタル名機の音も好きですし、モジュラーシンセも好きです。でもやっぱりたまにウニョウニョしてて、短音しか出ない物悲しさを感じて単体で遊べるアナログモノシンセを触りたくなりますね。

そんなわけで、こっそりmngしてしまいました。
pioneerdj toraiz as-1

既に優良なレビューしてる方も多いこのシンセで、新しい視点ではなかなか書けないかもしれませんがレビューしてるみたいと思います。


pioneerdjからtoraizシリーズとして、2017年に突然発売されたアナログモノシンセです。発売当初から気になっていたのですが、ようやく入手することができました。
このシンセですが、シンセとしては王道中の王道のアナログモノシンセなんですが、発売されたメーカーとか、佇まいが非常に変わっていますね。
どうもdjがdj中にピョンピョンマシーンみたいな飛び道具とかリードやベースを弾くことも意図して、シンプルなuiで作られたようです(残念ながらそこには全然刺さってなさそうですが、、、)

良いところ

  • 値段の割には異常に質感とデザインが良いです。重さもいい感じです。

    • 往年のアナログモノシンセをそのまま縮小したようです。ベースシンセという感じもします。金属が多用されていて、ずっしり重いです。側面のパネルもカッコよくて質感が良いですね(toraiz squidもこれくらい質感良かったらもっと良かったかも)
      ただ、あまりにも男臭いデザインなので女性はあまり使わない、というか視野にすら入らないかも、なんてふと思っていしまいました。ただ、昨今はあえてデザインのジェンダー性をあえて区別する必要もなくなりつつある気もするので、簡単操作のせいで案外女性でも使ったらハマるかもですね。

    • 電源ボタンが高級機っぽい立派なプッシュスイッチ(最近のローランドのaira系とか電源スイッチがしょぼいので…)

    • オーディオ端子も金メッキです。

  • 実質、シーケンシャルサーキット機 prophet-6のモノシンセ版とも言われているらしい。

  • dave smith氏のサイン。

  • ツマミの質感とトルク感が異常に良い。滑らかかつ適度にオイリーな感じでスルッと回ります。説明が難しいですが、、、このツマミ結構高いんじゃないかなと思います。pioneerdjの他の機材で使われているツマミなんですかね・

  • 必要十分なツマミとタッチスライダー 左側のタッチスライダーが楽しいです。

    • タッチスライダーにパラメーターも簡単に割り当てできます。

    • ツマミが少ないとはいえ、厳選されているので、十分楽しめます。DecayとReleaseが一体化していますが、それもありですね。

  • 深いパラメーターも超簡単操作。

    • シンセのパラメータがわかる人なら、実はものすごく簡単に触ることができます。操作体系と階層が実はびっくりするほどシンプルで、全パラメータを大量のパラメータもツマミ2つでいじることができます。(shiftキー使うとパラメーター選択をグループごとにスキップできます)

    • あまりにシンプルすぎて電子レンジとか給湯器並みに簡単操作のuiです。悪いとこにも書きますが、パラメータを細かく設定するのが面倒臭いのはしょうがないかも。

  • 異常に音がいい なんというか、上品でかつ太い音という気がします 特に、低域の音はたまにものすごく太くて、かつフィルターが艶やかな音色が多いです。

    • プリセット音だけで楽しめます。

    • 余談ですが高音域はウインドシンセのEWI4000の音にもなんとなく似てる気がします(あっちはもう少し音が細いですが)

    • プリセットにドイツのあの男臭いユニットみたいなシーケンスとか、みんなが愛する3人組で聞けそうな音とか、バスドラ連打したくなるシーケンスとか入ってますね。

  • 内蔵エフェクターが充実していて、エフェクターの音が非常に良いです。

    • 内蔵エフェクターは2台入ってますが、1台目と2台目で使えるエフェクトが異なります。

  • 搭載されている音階のスケールがすごい。微分音などのオルタネイトチューニング搭載。確か同時期に発売されたmonologueもチューニングにこだわりのあるモノシンセでしたね。あと、DJの人やプロの人はチューニングにこだわる人も多いのかもしれません。

  • decksaverがある。(pioneerdj商品ってdecksaverがほぼ全機種用意されてるんですよね。toraizは他の電子楽器より台数出てなさそうなんですが。クラブユースを想定してるのかもしれません)

  • 多分この楽器でしか得られない音と、何かがある。

イマイチなところ

  • ツマミやスライダーが少ない まあこれは当初のコンセプトからわざとシンプルにしようというコンセプトがあったようなので仕方がないですが。

    • ポルタメントとかエフェクトのエディットつまみはあっても良かったかな。

    • エフェクターのステップ数をスライダーに割り当てられたりすると楽しかったかもしれません(シーケンサーのパラメーターはスライダーに割り当てできなかった気がします)

  • 重くて大きい 最近のシンセにしては大きくて重いです。でもその分質感が良いですね。

  • 外部入力もcvgateもない男らしい接続端子。
    ステレオ出力とmidi in outとtrigくらいしかありません。
    sync端子(trig端子)もついていますが、なんと標準phoneです。
    シンセのパラメータを知らないとフルにエディットするのは難しいかも。
    (iPadのエディターもあるみたいですが…)

  • iPad用のエディターが4000円くらいするらしい

  • エディットするパラメータをいじるつまみと液晶が近すぎて、手で隠れて液晶が見えずらい時がある。

  • 内蔵エフェクトにリバーブがない
    単体のリバーブとかかけたらかなり良い音しそうですね。

  • シーケンサーがシンプルすぎて、特筆するものがない。

  • 普通といえば普通のシンセで、変わった機能や変わったインターフェースがない。そういう意味ではRolandのse-02は違った意味でまた特殊なシンセですね…このAS-1は、シンセとしては王道中の王道のアナログモノシンセなんですが、ツマミをバッサリ削ったせいで佇まいがなんか変なシンセですね。

  • 色々な意味でシンプルで、音色に対する物理面積が大きい機材なので、何かあったら手放して後悔しそう(以前、RolandのTB-3を手放してしまったのですが、あれは手放してはいけない機材でした)

音色の細かい設定はPARAMツマミでパラメーターを選んでVALUEで設定するだけです。

他の方のレビューなど

開発者の方のインタビューがありました。

みくばんPさんやくりっぱーさん、YOSHIOPCさんなど、様々な方がすでにレビューをされております。私の適当なレビューよりも参考になると思うので見てみてください。

みくばんPさん

くりっぱーさん

Pioneer DJ TORAIZ AS 1 パイオニア 操作方法 その1~基礎操作編~|初心者でもわかる 解説 - YouTube

Pioneer DJ TORAIZ AS 1 パイオニア 操作方法 その2 ~基礎操作編②~|初心者でもわかる 解説 - YouTube

YOSHIOPCさん


TORAIZ AS-1 Soundcheck (all preset)#1 DaveSmithとPioneerDJの共同開発したアナログシンセサイザーの音色 - YouTube

まとめ

物凄く真面目に作られているアナログモノシンセです。新品定価も6万くらいとそんなに高くないシンセですが、全体の質感が異常に良くて、10万くらいしてもおかしくないオーラがあります。
あえて、ツマミとかスライダーをばっさり削ったのがこの機種の個性と謎の風格を醸し出している気がします。

インフレで円安の2023年に発売してたら8万くらいで売り出してそうです。まだ新品で入手出来る店もあるようですが、すでにメーカー在庫切れのようです。いつ無くなるかわからないのと、こういう機材はあまり出ない気がするので欲しい人は早めに買っておいたほうが良いと思います。

このシンセは箱で爆音で鳴らしたいですね。
dave smith氏が開発に関わった機材もこれが最後という説もあるようです。
後継機も、実はひそかに開発とかしているのかな…いやあ厳しいかもですね…


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