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正統派のフリした変態アナログモノシンセ Roland SE-02

アナログモノシンセっていいですよね。
シンプルな波形をベースに、切ない音から激しいベースまで千差万別。
先日AS-1の記事を書き、AS-1をいじりながらつくづく思ったものです。

うちにあるアナログモノシンセで、Roland boutiqueのSE-02というのがあります。これがまためちゃくちゃ面白いシンセでして、AS-1と全然キャラクターが違う変態的なシンセでなかなか面白いのでレビューしてみます。


人間もそうかもしれませんが、変態が最初から変態になろうとしてたのでなく、気がつくと変態化してしまったシンセという感じがしますね。

Roland SE-02とは

小型化した規格で古い機材をリバイバルしようという、Rolandのシンセサイザーシリーズ Roland boutiqueの一機種として2017年に発売されました。

boutiqueの他機種はRolandの古の機種のリバイバル商品が基本なんですが、現時点でこの機種のみ海外の他のメーカーとコラボした機種になっています。また現在のRolandでは珍しい純粋なアナログシンセです。
studio electronicsが得意とする、minimoogリイシューの機種をそのままboutiqueにした小型化したようなシンセです。
他のboutiqueはUSB電源ですが、この機種だけ大きな専用電源なのが本格的ですね。USBでオーディオを流したりmidiをUSB一本で流せるairalinkにも対応しています。

studio electronics社とは

80年代から活動をしているシンセメーカーです。90年代にminimoogをラックマウント化したse1というシンセを作って話題になりました。今でもラックマウントシンセやモジュラーシンセ、楽しいシンセをたくさん作ってるみたいですが、最近は日本にはモジュラーシンセ以外あまり入ってきてない印象があります。

SE-02の専用ブレイクアウトボックスなんて発売してました
(ああ、、日本で昔たまに見かけたような)

良いところ

  • シーケンサーが実はすごい

    • この機種、音も面白いですが、実はシーケンサーがかなり面白いです。簡単操作で進行方向を変えたりステップ数の変更ができます。

    • 所謂パラメータロック的なこともできます。

    • この簡単操作というのが、最初は難しいものの、気がつくと指先で好きにシーケンスを扱えるようになります。まあとにかく簡単で面白いステップシーケンサーです。モジュラーシンセ的というか
      よく見るとシーケンサー操作が全部パネルに記載されてるため、直感的に扱えます。

  • cvgateで他機種もコントロールできます

  • 3vcoで音が太い

    • 3vcoの本格シンセなので音が太いです

    • アナログシンセのせいか、どことなく濁った太い音がします(ちなみにtoraiz as-1より野生的な音が出ますね)

  • 豊富なつまみと操作子のおかげで相当細かく音作りができる

    • この大きさでほぼ全部の操作がツマミになっているフルアナログシンセで操作がしやすいです(後述の理由により難しい面もありますが)

  • ディレイが味わい深い

    • デジタルディレイですが、アナログディレイみたいな音が出ます。これからもまた独特の質感持った音ですね。

    • ディレイもツマミでコントロールできます。

    • かなりえげつない発振音がでます

  • ミキサー部のフィードバックつまみででかなりアグレッシブな音が出る

    • フィードバックつまみがついていて、これを開けていくと太くてカッコいい音が出ます。オーバードライブみたいなもんですかね。

  • 専用鍵盤をつけるとカッコ良い。minimoogみたいなカッコ良いデザインになります。取り付けも簡単です。

  • なんとUSB-AUDIOやairalinkにも対応
    このままdawに高音質で音を送ることもできますね
    アナログシンセでUSB-AUDIO積んでる機種って実は珍しいような。

  • スピーカー付きで気楽に音が試せます。

イマイチな点

  • 音源部の操作や概念が実は難しい

    • 元々のminimoog譲りなのかもしれませんが、実は音作りが難しいです。スイッチも略語が多用されているため、何のスイッチだかよく分からない事が多いです。

    • エンベロープも2台あるのですが、想定した動作にならないことがたまにあります。

    • 3つあるオシレーターの同士でsyncなど相互作用をかけることができるんですが、異常に自由度が高く、概念がなかなか難しいです。

    • シーケンサーは楽なんですが、音源部は上記のようになかなか難しく、説明書読みながらでないと操作を忘れてしまうところがたまにあります。

  • 小さすぎて操作性が悪い

    • 全体的に非常に小さく、ツマミもスイッチも1cmに満たない超小型のものが採用されていて、びっしり詰まってます。手指が大きかったり大柄の人には厳しいかもです。

    • ツマミもちょっと脆そうなので壊れそうで心配です

    • ボタンスイッチが、余裕のある感じのスイッチで回りに動くのが面白いです。他にあまりない作りかも

  • 入出力がミニプラグ

    • 入出力がミニプラグで裏側にまとめられているため、接続が面倒な時がたまにあります

  • 専用ブレイクアウトボックスが入手困難

    • 上記にリンクを貼ったのですが、以前SE-02専用ブレイクアウトボックスが発売されていました。入出力にフォーンが追加されたり、大型のノブが追加されたりかなり強化されてるようです。ただ、Roland扱いでなくstudio electronic発売でいつの間にか販売終了してしまいました。日本で入手する機会がほとんどないまま、終売してしまったみたいです。

  • 専用鍵盤にモジュレーションホイールとピッチベンドホイールがない

    • この機種はroland boutiqueの専用鍵盤をつけることができます。
      これはこの機種の仕様というより、roland boutiqueの仕様なんですが、せっかくの鍵盤なのにホイールとベンドがなく単なる25鍵の鍵盤です。
      初期のRoland boutiqueは鍵盤ではなく、音源側にホイールに相当するリボンプレートやモジュレーションを持つ仕様のため、このような仕様になってるみたいです。せっかくの鍵盤なのにもったいないですね。

FEEDBUCKつまみが激しくていいです
楽しいシーケンサーセクション スイッチを中間にするとシーケンサーコントロールができます prmでパラメータロック的なことができます。
pioneer dj TORAIZ AS-1との大きさ比較 同じアナログモノシンセで、大きさが同じくらいながら性格とキャラクターが大きく違います
3vcoのオシレーターセクション

他の方のレビューなど

有益な解説記事やブログがありましたので張っておきます。

まとめ

非常に面白いシンセサイザーです。小さすぎたり、難解な操作性のせいで人を選ぶ可能性がありますが、たまにメルカリ等で安く売ってますので、欲しい人は手に入れるといいのではないでしょうか。
この機種もTORAIZ AS-1のように、コロナ禍にも負けず、ずっと定価も変わらず売っています。定価以上の価値を感じる機種だと思います。
小さいですがものすごく高機能なシンセサイザーです。
なんといってもシーケンサーがかなり面白いので楽しいです。激しいディレイもかなりヤバいです。




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