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他に変わりの効かず、素晴らしすぎる elektron Analog Heat +FX 他にステレオインアウトを持つアナログエフェクター

みんな大好き、北欧のelektronのラインナップでAnalog Heatシリーズというものがあります。

アナログのOverDriveやディストーションを elektron流に味付けしたやつですね。digitaktなんかと同じ頑丈な弁当箱筐体に入っています。
アナログフィルターやイコライザーもツマミでいじれて、LFOなんかも入っています。

初代、mkiiと進化してきたのですが、2023年の5月に空間系とかも積んで+FXとして進化しました。

2017年に発売された初代のレビューはこちらです。デジタルエフェクターが少ない以外は今とあまり変わりませんね。

マスターにかける空間系も欲しく、さらにマスターに汚し系を多少かけるとどうなるのかと、前から気になっていて、所有してしまったのでレポートしようと思います。

マスターにステレオで入れて、ステレオで出力できるアナログのオーバードライブやフィルターとかの汚し系エフェクターって殆どないんですよね。さらにヘッドフォン端子がついているエフェクターというのも少ないです。アナログに拘らなければ他にも色々あるんですが...
音聞いて思うに、やはりアナログで回路構成されている機材って何か音が非常に良い気がするんですよね。この機材もそうなんですが、まあ気分の問題もありますが。

マシンライブの最終段に使おうとする場合、この種の機材はステレオインアウトとヘッドフォン端子は必須な気がします。
色々な機材を見ていると、analog heatはLFOのモジュレーションやエンベロープがかなり強く、古今東西のアナログフィルターを積んだ単体エフェクターとかかなり研究している様に思えます。

で、いつもみたいに機材の詳細解説しようと思ったのですが、とてつもなく操作性の良い機材ですね....
わざわざ操作の解説することもなく、説明書すら読まずにスラスラ使えました。この簡単操作はすごいです。digitoneも持ってるのですが、この弁当箱elektronの操作性のわかりやすさはすごいですね。

わかりずらいところ

  • LFOやエンベロープのモジュレーション先を選択するところで、yesキーを押さないと確定できずに戻ってしまいます。

  • この機材をクロックマスターとして使って、テンポを指定したい場合はFXボタンとmodボタンを同時に押します。

  • フィルターのonoffがどうもアナログ回路部分ともう1箇所(fxでも使うyesとnoの同時押し)あるみたいで、多少わかりにくいかもしれません。

良いところ

  • 凄まじく操作性が良い。この機材、階層がほとんどありません。必要不可欠なツマミが適度な量で適度な場所に配置されてます。多少エンコーダーを回す必要はありますが、歯車マークの詳細設定するところとFXを選ぶところくらいでしょうか。

  • イラストのUIでエフェクターの効果が非常にわかりやすく、楽しい。これは今まであまり見たことのない感じでしたがか、まあとにかくわかりやすいです。LFOとかもわかりやすいですね。

  • LFOでなんでもモジュレーションできる。内部のあらゆるパラメータにモジュレーションできます。定番のフィルターとか最高ですね。そして操作性も最高です。

  • エンベロープもかなり細かく設定できます。正確にはオーディオ信号をエンベロープでエフェクトの掛具合とかを調整してるのでしょうか。まだ試し切れていますが、コンプにかけたりすることもできそうです。

  • 音が凄まじく良い。良い感じにしっくりまとまります。アナログのフィルターも汚し系も最高ですね。

  • 全体の音が実にフワッと良い感じにまとまります。コンプとかアナログの汚し回路の組み合わせが絶妙だと思うんですが、このメーカーのチューニングはうまいですね。

  • 汚しすぎない汚し系が入ってる。古いアナログミキサーなどを想定した様な、薄い汚しを質感をかけるアナログの汚し系が入ってます。ギターを想定してるエフェクターなんかだと潰れすぎてしまうことがあるんですよね。
    この機材はマシンライブの最終段にかけることも想定していそうです。

  • コンプレッサーも付いていて音圧調整も可能

  • 順番の入れ替えもできる。流石にDSPパワー次第で複数台とかそういうことはできません。

  • +FX部分がめちゃくちゃ充実してます。リバーブやディレイに加え、ビット落としやstrymon DECOのようなビット落としまで実装されていて音が良い。ただし空間系は...

  • メイン入力のレベル調整がやりやすい。
    専用のメニューがあって、外部入力のレベルメーターを見れるメニューがあります。LMHとあり、音が割れないように簡単に調整できます。

  • dawとの親和性が高い。私は使ってませんが、elektronのoverbridgeって物凄く使いやすいみたいですね。プラグインとしても利用できるみたいです。

  • 荷物が軽くなる。エフェクター数台分(7台分くらい?)がワンパッケージなので軽くなりますね。あとモジュレーションがわかりやすいのか、モジュラーシンセらしさもあります。

  • よく見るとCVやフットペダルでも制御できるようです。

  • ヘッドフォンアウトがついている。これも意外と重要なポイントで、前述のようにこの種の機材でヘッドフォンアウトがついてる機材って実は少ないです。

LFO波形をいじっているところ。その他エフェクターも図示してくれるので実にわかりやすいです
非常にわかりやすいマスターレベルです。

イマイチなところ

  • 高い。

    本当に良いと思える物凄く素晴らしい機材ですが、かなり高いので罪悪感とか日本円の弱さとか老後の人生とか今までの生き様とか色々なことを感じてしまいます。単なる外部エフェクターといえば外部エフェクターなので。噂によるとこの辺りのelektronのエフェクターシリーズは、マニアック過ぎてあまり売れてないと聞いたことがあります。
    どなたかが言ってましたが、この値段だと入出力増やしてルーティングを強化しても良かったかもしれません。

  • 熱くなる。アナログ回路が本当に詰め込まれてるのか、稼働中かなり熱くなります。

  • ACアダプターのケーブルがしょぼい。なんとなく他の機材と比べてケーブルとかしょぼい気がするので持ち運びとか気を使った方が良さそうです。

  • 空間系が弱い。ディレイとリバーブ、コーラスはついていますが、ほとんど選択肢がなく、それぞれ一種類しかついていません。シマーリバーブとかフェイザー、フランジャーとか、マルチタップディレイもありません。この辺りはデジタルなので、数年後にアップデートで強化されるかもしれませんね。もしかしたらLFOやエンベロープで自分たちで色々作れっていう機材なのかもしれません。

  • 同じくらいの値段のmkiiが出てからFXが比較的すぐに出ました。余りに機能強化されているので、mkiiを直前に買ってしまった人は泣いてしまいそうです。

  • ヘッドフォンアウトの独立ボリュームがない。最終段でモニターする時少し不便ですね。もしかしたらsp-404mkiiみたいに裏側のメニューで隠れているのかと思ったらないみたいです。

  • 日本語説明書がありません(2023年12月現在)

  • なんと裏側に放熱用のスリットがたくさん開いています。なんか昔のオーディオ機器みたいですね。側面に空いているのは見たことありますが、底面に空いている機材は初めて見ました。ホコリとか気をつけましょう。

左がanalog heatの背面、+FX 右がdigitoneの背面です。

まとめ

まあとにかくとても良い機材です。値段が高い以外にはあまり文句をつけるところも少ない機材です。音も本当に良いですしね。

ただ、uiやプロダクトの完成度が高すぎて、日本メーカーにも頑張って欲しいと思うところです。DSPや回路の性能自体は日本製の方が数倍良さそうなんですが、uiの使いづらさとか色々なものでかなり損してる気がします。色々な北欧製品を見ていると、元々のdiy文化とか思想とか製品作りのコンセプトが根本から違う気がいたします。

あと、この機材は空間系の弱さ(種類の少なさ)が課題です。ちょっと割高なのは否めないので、最近安くなっている先代やmkiiに、別途空間系のstrymonとかROLANDの高品質なステレオペダルとか入れても良さそうです。外出先で使おうとするとちょいと荷物が増えるのが難点ですが。

実は初代やmkIIも今となっては一見使い所が分かりずらい様に思えますが、アナログフィルターとオーバードライブ各種とLFOがついてるというところはあまり変わりがなく、汚し系にステレオインアウトがついている機種は実はめちゃくちゃ貴重で、初代もmkIIも実はかなり素晴らしいと今になって気がつきます。中古で安く売ってたら興味ある人は買って損しないかもしれません。

ステレオインアウトで汚せる機種やanalog heatと比較される機種など

この機種を買う時に比較されがちな機材をアナログ中心にまとめてみました。
マスターに入れると楽しそうなアナログエフェクターで、ステレオインアウトがついてるものが前提になっています。
意外とありそうで結構少なく、マニアックな機材が多いです。

モノラルイン、ステレオアウトという機材は多いんですが、、、きっとギター前提なんでしょうね。またelektronでもanalog driveというギター用のモノラルインモノラルアウトのエフェクターを出してきましたが、ひっそりと消えていきました。

ギターの歪み系はきっと激戦区なんだとおもいます....全国の楽器屋に行くとモジュラーシンセどこでないくらいの数が置いてあります。日本国内に実存するモジュラーシンセの10000倍くらい在庫がありそうです。中古もたくさんありますし、そんなに売れるものなのでしょうか。

有名なShermanのfilterbankも書こうかと思いましたが、あれはモノラルでした。
エレハモとJOMOXは比較的安価ですが、他は新品だと7万-9万円と結構な予算が必要になるので、結局analog heatが選択肢になってきます。どうもこのあたりの機種は流通量も少なく、メルカリなんかだとすぐ消えていき、ヤフオクでもそこそこ高値で落札される傾向があるみたいです。

マシンライブの最終段にかける機材ってニッチながらも、デジタルまで入れるとこれ以外にも色々あるので別記事にまとめたいと思います。 

ミキサーや機材によってはレベルが上手く合わなくて繋げられなかったり、ノイズだらけで実用にならない、、なんてこともあるかもしれません。その辺りの相性は実際に繋いでみて試してみてください。

electro harmonics Operation Overlord

この種のペダル型のアナログオーバードライブで、ステレオ入出力のできる機種って本当に少なく、この機種くらいしか見つかりませんでした。ギターにかけるのが基本で、それ以外の需要は少なく商品化されずらいみたいです。youtubeで音を聞くと少々汚れすぎる気配を感じます。

よくあるギター用のペダルマルチで、アナログエフェクターを積んでる機種もたまにあるのですが、入力が皆モノラル前提でシンセとかはあまり考慮されてない様です。それだけに、analog heat系列はかなり貴重な機種に思えます。(ただ、他のメーカーからでもニッチすぎて売上難しいかもですね)

electro harmonics platform

ステレオで入出力可能なコンプレッサーです。
オーバードライブもついてて色々音作りできそうですし、マスターにかけても面白そうです。これもなかなか貴重な機種だったりします。

Erica Synth Acidbox III

Erica Synthからもアナログ回路によるオーバードライブとフィルターを搭載した機材が出ています。ステレオインアウトがついていて、LFOも搭載しています。スイッチも楽しそうでなかなか良さげなんですが、ヘッドフォンアウトがないのが難点ですね。あと商品名通りacidな音に特化してそうなので、analog heat系みたいにフワッとかけるのは向いていないかもしれません。

ERICA SYNTHS ZEN DELAY

同じくErica Synthからステレオインアウトの真空管付きアナログディレイが出ています。いい音しそうですね。実際に評判も良いみたいです。

JOMOX T-Resonator II

LFOやアナログフィルターを中心にエフェクターを色々積んだマシンです。よく見ると5万円くらいなので安く見えます(十分高いですが)
アナログフィルターx2 デジタルエフェクターx2となかなか豪華で面白そうです。
ただ使いこなしはなかなか難しいとは聞きますね。機材市で以前はたまに見かけてました。
ユーロラック版もあります。エフェクターが結構入ってて実はいいかもですね。
入手困難かもしれません。

oto machnes boum

メーカーはたまに聞きますが、あまり聞いたことのない機種です。
内部をアナログで構成してて、コンプレッサーとディストーションを搭載しているようです。サイドチェーン入力がありますね。
説明にディレイとありますが、ディレイは入っておりません。

本題とは少し外れますが、、、
せっかくなのでディレイとリバーブも紹介しておきます。
どれも9万円くらいの定価となかなかのお値段ですが、面白そうです。

ディレイはこちらですね。
80年代のラックマウントディレイの12bitの質感を再現したということで、音も期待が持てますね。

リバーブもあります。
このリバーブも80年代初頭のリバーブの音をあえてハードウェアで再現したということなので楽しそうです。

benidub PHASE [12-STAGE ステレオフェイザー]

アナログでステレオ入出力の可能なフェイザーで、ライブの最終段につけることも想定されている様です。
最近フェイザーって流行ってる様で、モジュラーシンセのモジュールでもたまに出てきますね。なかなか良い感じの音がしますね。正直かなり気になる機材ではあります。
benidubも他のエフェクターも良さそうなんですが、ステレオインアウト持っているのはこの機材だけでした。

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