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悪人の宗教 第一巻

書影_悪人の宗教_第一巻

二世紀のときを隔て ゴーゴリが中断したあの事業を再開する

 ある日うっかり、致知孝夫は、御茶ノ水橋の上から身投げをしようとする男を助けてしまった。そのいきがかり上、失った五十万円の金は、娘・久子の身代であったし、どうにか回収せねば仕方ない。彼は、かねてから計画していた宗教法人設立事業を始動させる。それは死人の〈アカウント〉を利用して、大学の出版助成金を着服する詐術であったが、地下室の信者たちは「そもそも宗教ってどうやって作るの?」という具合だったから、これは前途多難にして遼遠である。教義、儀式、信者、礼拝の場所? そんなもの〈噓か本当か〉なんて問題じゃあない。こっちは生きるか死ぬかなんだ。

 すべての貧乏人と、虐げられた人たちへ愛を込めて。長い喜劇の序幕。

※2021.5.21 本書は、紙版のみで販売いたします。フリマで見つけたらお買い求めください。

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