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シネマ観ましょうかお茶飲みましょか  いっそ小田急で逃げましょか

昭和4年に封切りされた映画の主題歌「東京行進曲」佐藤千夜子さんが歌った歌。小学生の時分に、祖母が料理しながら洗濯しながら昭和の流行歌の鼻歌をよく聞きました。この歌もよく聞いた歌のひとつです。

広い東京恋ゆえ狭い 粋な浅草忍び逢い…

恐慌、戦争、決して明るくない暮らし向き、そのような世の中にあえて一石を投じた忍び合いの恋と駆け落ちの歌。何かと窮屈な時代を風刺する意味もあったようです。

そのような歌の4番目に出てきた歌詞が

シネマ観ましょうか お茶飲みましょうか いっそ小田急で逃げましょか 変わる新宿 あの武蔵野の 月もデパートの屋根に出る

そんな時代を走っていた小田急電車に再会する事が出来ました。昭和2年開業時に活躍したモハ1形です。一旦、熊本電鉄に譲渡されるも、小田急に里帰りを果たし、昭和58年春に新百合ヶ丘駅多摩線ホームにて復元された姿が公開されました。当時小学生だった私は、本当に驚きました。祖母が鼻歌を歌っていた歌の中の電車が目の前に現れる訳ですからね。

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家で使っているハーフ版のカメラを「あんまりフイルム使わないでね」と言われながらも、何とか持ち出して撮った写真です。

その後、昭和62年の多摩線小田急多摩センター駅ホームで公開された時も会いに行きました。以来、ずっと会う機会もなく34年の歳月が流れました。そして今春、ようやく小田急ロマンスカーミュージアム開館とともに再開を果たす事ができました。

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34年ぶりの再会、本当に感無量でした。細かいことを申せば色々要望は尽きないものですが、その事は一旦横に置きまして、再会の機会を創ってくださった小田急電鉄に感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、館内をあちこち観て回りました。話せばキリがないので最後にこの画像を撮るに至り感じたことをお伝えします。

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しばらくロマンスカーのそばにいました。ひっきりなしに、この空間に色んな世代の人が訪れてきます。最初は、綺麗にロマンスカーのみを撮ろうとタイミングを伺っていました。待てども待てどもその時はなかなか来ません。でも、そんな時間を過ごす中で、ふと気付いた事がありました。ロマンスカーと対面しながら皆さんそれぞれの時を重ね合わせているご様子なのです。過去、今この時、一人一人が織りなす物語、同じ空間に居合わせながらそれぞれ違う時空に旅している感じなのです。その空気がなんとも言えず素敵でした。そして、私も自由に自分の時空を広げて参りました。懐かしいという感情は、単なる「昔は良かった。」だけではなく、過去と未来を繋ぐために必要な感情なのだなと感じました。過去と現在は繋がっている、その繋がりを辿ることで、自分の今立っている場所に新たな発見があるかもしれません。それが、未来を繋ぐきっかけになるのではないかなと改めて強く感じました。素敵な未来に向けてガチャンと切り替わるポイントの音、聞こえますように。


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