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【マインド風呂ネスとDMNと脳の創造性】

とにかく銭湯が好きで週に2回は行くのですが、行く度に10分間の瞑想を最低2回しています。最新の脳科学と瞑想と創造性について書きました。

集中瞑想
まず身体を使って瞑想に入りやすい身体環境を作ります。サウナとかお風呂でもいいです一度体温や心拍を上昇させます。サウナだと、脈拍は150位まで上昇します。それから水風呂に入って、一気に冷まして脈拍を低下させ”ととのえる”場所で外気浴をします。そこで脈を100回カウントします。脈拍がゆっくりしてくのに意識を集中します。段々と心拍が正常に戻っていき、体温も下がっていく身体の状況に集中して、他の事を考えない様にします。これから行う瞑想の入り口として身体に意識を向けるわけです。

次に目を閉じた状態で瞼の裏側の暗闇を凝視します。そこには最初、さっき見えていた光の残像とかが残っていますが、次第にもやもやした中に雲みたいな映像や、抽象的な画像が見えてくるはずです。
さて、ここで一つ気がつくのはこの暗闇は眼球の視覚が生きている状態で瞼の裏側を見ている状態だということです。
この状態で試してもらいたのが、瞼の裏側の闇の中に例えばコーヒーカップを思い浮かべてください。思うだけでなく、その形状を瞼の裏側に浮かび上がらせてください。この状態ではコーヒーカップをまぶたの裏側に具体的な形として見ることはとても難しいはずです。これは暗闇と言えど眼球という視覚で見ているからで、それは視界の延長なので目が開いていれば空間に映像が投影されたARのような世界なので、当然自分の後ろ側も見ることができません。この状態で想念で見ようとしても見えない事を覚えておいてください。

観察瞑想
ここまでが、心拍や周りの音だけに集中したりする集中瞑想というそうです。そこから次の段階に入ります。
瞼の裏に見えてくるものを、見ようと思うのではなく勝手に見えてくる映像を観察します。違う想念、例えば、あれやらなきゃ、、とかあの人がああ言ってたとか、そういう雑念がはいってきたら、あっ、今他のこと考えてる。いやいや、観察!観察!と思ってただ闇を見つめます。

この段階から観察瞑想というレベルに入ります。この時、大切なのはただボーッと眺めることです。外的要因ではなく、見えてくるものに視覚を任せます。その状態から脳がDMN(デフォルトモードネットワーク)の状態になっているのではないかと想定されます。

https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/220

これは脳のアイドリング状態といって、車で言えばエンジンはかかっているが走っていない時の状態です。この時、脳の活動が自分の思考や感情に囚われることを停止していく状態です。そうなることで脳内の視覚、聴覚、運動、前頭前野など、複数の領域が関与して、自分の意思や意向に左右されず脳が放置され自由な状態に近くなっていきます。つまりこの図でいう客観的な判断や評価を行うエグゼクティブ・コントロール・ネットワークが弱くなっている状態です。
この状態は蓄えられた情報が勝手に結びつきやすくなり、新しいアイデアが生まれる状況といわれています。実は、アイドリングしている状態にもかかわらず、この時、脳自体が総エネルギーの60~80%を使っている状態だそうです。つまり、自分の意思とは関係なく脳が自律的に活動している状態のようです。

ここからが面白いんですが、集中瞑想に入るときにコーヒーカップが見えなかったとおもいます。ところが、この状態になると何かの造形が見えるようになります。ただし、コーヒーカップを見ようと思う思考を停止しているのでコーヒーカップ、つまり、自分が思うものは見えない代わりに何かが勝手に見え始めます。その勝手に見えている状態を続けていると自分は起きているのに白昼夢の様に映像が展開しはじめることがあります。

おそらくですが、自分の意思とは関係なく脳の中で無作為に映像や記憶が勝手に「結びついて」いきます。いわゆる、空想や妄想、幻覚といった現実に左右されず、記憶の断片が結びついている状態です。自分の体験で言えば、マジックマッシュルームで幻覚を見ている時の体験にも似ています。起きているのに空間に光の渦が見えたり、牛と話ができたり。。
下の図はマジックマッシュルームの有効成分「シロシビン」を注射された被験者15人の脳をfMRIスキャンにかけた図です。「正常な状態の脳」では、離れているネットワーク同士の結びつきが少ない(左)、秩序だった相関関係が成立しているがマジックマッシュルームの有効成分を投与された被験者の脳のネットワークは突如として、一見でたらめに連結しあう(右)そうです。

https://wired.jp/2014/11/06/magic-mushroom-brain/

その白昼夢のような状態に10分程度で入れるのは、ごくたまにですが、その状態で何度かユニークなアイデアが浮かんでくることがありました。これがいわゆる「新結合」でアイデアの”ひらめき”が生成される瞬間ではないかと思います。
でも、もう一度、それが”見たい”と思うとそこにはなかなか辿り着けません。。。

それが日常的なアイデアを生み出す能力にどれだけ関与しているかはわかりませんが、フレドリック・ヘレーン著「スゥエーデン式アイデアブック」では、ボーっとしている時に”ひらめく”といわれています。
”ひらめき”が生まれる創造性の4B
・Bathroom (入浴中、トイレ)
・Bus (移動中)
・Bed (寝室、睡眠中)
・Bar (お酒を飲んでいるとき)

古代ギリシャの数学者・物理学者アルキメデスが「アルキメデスの原理」を思いついたのも、入浴中(Bathroom)だったり、エジソンは発明の課題が解決できない時、鉄球を手に持ったまま昼寝(Bed)をする習慣があって、うたた寝をしそうになった時、鉄球が手から落ちて目が覚めた瞬間にひらめいたとつたえられていますが、これも研究結果があって、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によると、入睡段階(ノンレム睡眠ステージ1)の半覚醒状態に目を覚ますと、創造なアイデアが浮かびやすくなるという報告もあります。
https://www.nature.com/articles/s41598-023-31361-w

マインド風呂ネスが、どれだけ創造性に有効かは分かりませんし、まだ自分も実験中なのでなんともいえませんが、理論上、覚醒と半覚醒という状態においては近いような気もします


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