noteでキャプテン翼の小学生編が無料公開をしているので、当然の権利として一気にまとめ読みしたわけだけれども。

唐突に頭の中でブワッと思い出されたことがあって、頼むから彼について語らせてほしい。

そう、ふらのFCのキャプテンであり、全日本ジュニアユースのボランチこと松山光のことだ。

キャプテン翼という物語の中で最も推すべきキャラは松山君であり、わかってる人は彼の活躍を見るたびにこう思うだろう。

「うむ、さすが松山だ。わかってる」

天才達が無茶苦茶なシュートやらドリブルやら反則技を駆使していく中、ボランチという割と地味なポジションで無茶な必殺技を持っているというわけでもなく、本人としても自分は天才ではないと自負している松山君。

しかし、翼君のいない場合の全日本のキャプテンは彼である。岬君でも日向君でも三杉君でもなく、松山君である。

松山君は必殺シュートがガンガン出てくる中学生編においても、しっかりと必殺シュートを提げてくる。その名もイーグルショット。

イーグルショットは超低空のグラウンドすれすれのところを這ってゴールへと向かっていくロングシュートなのだが、その威力は当然のことながら新田の隼シュートより強い（多分）。しかし、他の前衛勢のシュートが無茶苦茶すぎてあまり出番はない地味さも松山君らしいところがある。

ちなみに、テクモ版の名作ゲーム、キャプテン翼3においては、「どこから撃っても威力が落ちない（通常、シュートは敵ゴールから遠いほど減衰するのだが、イーグルショットは減衰しない）」ため、最強シュートの一角に数えられているほどだ。

松山君はいわゆる「努力の人」で、北海道のふらのの地で雪まみれになりながらサッカーの練習を続けていたことから足腰が強く、天才プレイヤー相手でもボールキープにおいては互角に張り合うし、「全員サッカー」を信条としていることから、ゲームメイクにおいては全キャラ中屈指のレベルと言っても過言ではない。

努力の人なので、やはり根性論で引っ張るところもあるのだが、石崎君のような自己犠牲えぐい無茶なものではなく、冷静に物事を判断して攻守を切り分ける、「根性の使い方」を知っている男が松山君なのである。

また、人を殺す気でシュート撃つような奴や顔面でブロックだけで日本代表になったとか、合体してシュート撃つとか、中学生の試合でガチ目に命賭けるような連中が揃っている中において、松山君はかなりの常識人であり、至極真っ当な感覚の持ち主でもある。キャプテン翼における良心と言ってもいい。

例えば、ジュニアユース編において、怪我から復帰した翼が満を持して全ん日本に合流しようとした時、唯一反対したのが松山君である。

松山君はまずはチームのために貢献した努力と時間が評価されるべきであり、いくら怪我が治った天才だとしても、なんの貢献もないまま、いきなりスタメンになるのは流石にあかんやろ　と釘を刺してくるのだが、これも漫画的にアレかもしれないが、至極真っ当な意見だとも思う。
事実、最も長期間全日本に貢献しているのが松山君であり、メンバーの離脱劇がある中でも松山君だけは外れない。
強豪と戦うたびに手を怪我して戦線離脱するどこぞのキーパーも見習ってほしい。

そして松山君の人柄も相当レベルが高い。
スポーツマンシップに則った爽やかさ。ゲームが終わればノーサイド。そしてチームメンバーのことを思いやる気持ち。どれを取ってもPERFECT HUMANであり、作品中最初にわかりやすく恋が成就するのは松山君である（実際は三杉君の方が先っぽいのだが、いつの間にか成就してたのでノーカウントとする）。

要するに、この松山光という男、めちゃくちゃいい奴なのである。
人間的に出来ており、翼君、日向君、岬君のようなスターキャラがいなくとも、彼がちゃんと全日本を守ってくれてるし、彼だけは彼理由によるトラブルによって試合から離脱することがない。

一度だけ、彼女が交通事故にあった時は試合を投げ捨ててお見舞いで離脱していたが、彼から発するPERFECT HUMANパワーでなんとかなり、彼女を看病もして試合にも出て勝利に貢献するとかいう全部盛りを達成したのが松山君なのである。

いかがだろうか。キャプテン翼という派手なサッカー漫画において、決してスターダムにのし上がれるような選手ではないが、彼がいるのといないのとでは、全日本のサッカーはもちろん、作品全体が締まりが違うし、ただの天才たちの饗宴になりがちな物語の中においても、「顔面ブロックじゃない方の根性でもなんとかなる」と思わせてくれる爽やかな魅力を持った選手であることがわかるだろうと思う。

現在松山君はコンサドーレ札幌で、海外進出を考えながら着実にキャリアを積み重ねている。相変わらず「まだアピールする立場」という地味な立ち位置だが、「国内でしっかり頑張っている選手」というのはそれはそれでいいものだ。
とはいえ、全体的に、劇中でも何かと優遇されているキャラでもあるので、いつかいいチームに入れてもらえるといいなぁと陰ながら応援してみたりもするのであった。

みんな、これからも松山君を注目していこうな！