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キャロットクラブの過去4世代における「走る傾向」を徹底分析

約24,000人いると推定されるキャロット会員の皆さん、こんにちは。

2018年からキャロットクラブで一口馬主をやっている村上アシシと申します。今年でキャロット祭は6回目の参戦です。

キャロット民にとって一年間で最も盛り上がる時期が遂に始まりましたが、前のめりになっていきなり募集馬選びを始めている人、いませんか?

募集馬検討に入る前に、まずは過去の振り返りを行うのがビジネスの鉄則です。

仕事の現場でも皆さん、PDCAサイクルを回していますよね。ならば趣味の一口馬主ライフにおいても、「Plan」する前に過去の反省点を「Check」し、基本方針を見直す「Action」を取りましょう。

ということで、過去4世代(2018年から2021年までのキャロット募集馬)を対象にして、各馬のデータ属性ごとに現時点の戦績をクロス集計してみました。

すると、このデータの切り口だと勝ち上がり率が跳ね上がるとか、逆にこの組み合わせは全然走らないとか、様々な示唆を得ることができました。各データごとに紹介していきます。

※キャロットクラブの許可を得た上で情報発信をしています。

データ解析の前提条件

本題に入る前に、まずはデータの前提条件を整理しておきます。

  • 2018年募集(2017年生まれの現6歳世代)から2021年募集(2020年生まれの現3歳世代)までの計326頭をターゲットにして分析

  • 毎年数頭募集される地方所属馬は分析対象外とします。

  • 募集中もしくは募集後に取り下げになった馬も対象外です(仮に翌年に再募集されたとしても対象外)。

  • 翌年追加募集になった馬も対象外です。

  • 各馬の成績は2023年8月8日時点のものとなります。

では早速、データ解析結果を見ていきましょう。

【東西別】関西所属馬の方が走る

東西別成績

直近4年間では、関東163頭、関西163頭とキレイに2等分されました。その中で、関東の勝ち上がり率は44.8%、関西の勝ち上がり率は57.7%となり、差分は12.9%となりました。

特に「3勝以上率」は関東12.9%、関西25.2%とほぼダブルスコアになっている点は着目すべきだと思います。

昔からよく「西高東低」と言われますが、この差は何故発生するのでしょうか?

天栄としがらきの施設の違いから来るものなのか、キャロットクラブが関西により「走る馬」を意図的に預託しているのか、推察するのも一口馬主の醍醐味と言えます。

【性別】牡馬の方が走る

性別成績

JRA全般でも言えることですが、キャロット内の牡馬の勝ち上がり率は56.7%、牝馬の勝ち上がり率は46.2%となり、牡馬の方が牝馬よりも10.5%勝ち上がり率が高くなりました。

アワブラッドとして将来の産駒がキャロットクラブで募集される条件に「3勝」がボーダーラインになるという記事を先日読みました(記事はこちら)。

牝馬の3勝以上率は直近4年間で13.6%となります。意外と牝馬の3勝以上率は低いなと感じたのは僕だけでしょうか?

【母優先有無】母優先有の方が走る

母優先有無別成績

キャロットクラブの特徴であるアワブラッド制度。直近4年間では母優先無が162頭、母優先有が164頭とほぼ半々の募集となっています。

母優先有の勝ち上がり率は57.9%、母優先無の勝ち上がり率は44.4%で、母優先有の方が13.5%高い数値を叩き出しています。

この理由としては、

  • 母優先有の方が良血馬が揃っているから

  • キャロット血統の育成ノウハウが確立しているから

  • アワブラ血統馬を優先的に腕の良い調教師に預託しているから

等々、様々な仮説が立てられますが、皆さんはどう推測しますか?

「東西×性別×母優先」の8通りでクロス集計すると凄い結果が出た

東西別 性別 母優先有無 成績

ここまで分析した「東西別」「性別」「母優先有無別」の2×2×2=8パターンで成績をクロス集計してみると、興味深い結果が出ました。

まず関東の牝馬は母馬優先有で勝ち上がり率39.1%、母馬優先無で勝ち上がり率31.6%と4割を切っています。特に関東牝馬の母馬優先無の3勝以上率が5.3%と低迷しています。

関西の牝馬における3勝以上率は、牝馬平均の13.6%より約1.5倍の値になるので、アワブラッドを狙うなら関西牝馬を狙うと打率が上がるかもしれません。

関東牡馬の母馬優先有の勝ち上がり率は驚異の69.8%。関西牡馬の母馬優先有の成績も優秀ですが、特筆すべきは3勝以上率が39.5%にも達する点。ここは狙い目と言えるでしょう。

「東西別」「性別」「母馬優先有無」を個別に見ていくと、10~13%程度の差分に収まりますが、これらの切り口を掛け合わせると勝ち上がり率が30%台に落ち込んだり、70%に迫る勢いで上昇したり、差分が広がる分析結果となりました。

あくまで全体傾向の話なので、今年の募集馬検討にどの程度参考にするかは自己責任で判断してください。

【牧場別】ノーザンファームが圧倒的

牧場別成績

提供牧場は全体の約88%がノーザンファームとなっており、その他の牧場からは直近4年間では重賞勝ち馬が出ていません。

第2勢力である白老ファームは目立った成績を挙げておらず、第3勢力以降は年に1頭程度の提供となっていて、全体傾向を知るにはサンプル数が少ない状態となっています。

※2023年8月26日追記
2018年募集馬の一覧において一部牧場の転記ミスがありました。ヴェラアズール(GⅠ勝ち馬)が本来白老ファーム生産なのに、ノーザンファームと転記されていたことにより、「白老ファームは目立った成績を挙げていない」と誤った解説となってしまいました。訂正させて頂きます。

【産齢別】9~10歳の重賞勝ち率が特出

産齢別成績

母馬が産駒を生んだ歳=産齢別で成績を集計してみると、9~10歳のレンジで重賞勝ち率が13%台に乗ってきました。3~4番仔あたりが最も「脂が乗る」時期と言えるかもしれません。

ただし、11~14歳の勝ち上がり率が全体平均値よりも低くなっており、15~16歳で勝ち上がり率が再び平均を超える「M字曲線」を描いている点が特徴と言えます。

高齢とも言える15~16歳で、産駒成績が再び向上する理由を推測してみます。

繁殖牝馬の競争が激しいノーザンファームにおいて(産駒成績が悪いとセールに出されてしまう)、高齢になっても生き残っている繁殖牝馬は兄姉の産駒成績が良く、繁殖能力がほぼ証明されている馬、と言えるのではないでしょうか?(あくまで筆者の仮説です)

【馬体重別】440kg以上が成績が良い

募集時馬体重別成績

募集時の馬体重を見てみると、440kg台から全体平均よりも高い勝ち上がり率になっています。逆に439kg以下だと勝ち上がり率が40%台に低迷しており、ある程度馬体重は重い方が打率が高くなる傾向にあります。

480kg台の重賞勝ち率が20%と跳ね上がっていますが、母数が15頭と少なめなので、異常値と捉えても差し支えないと思います。

【生年月別】3月生まれの成績が良い

生年月別成績

生年月別で見ると、3月産まれの馬が最も成績が良いです。4月、5月と遅生まれになればなるほど、成績が下がるかと思いきや、4月産まれよりも5月産まれの方が勝ち上がり率が高くなっています。

遅生まれだとクラシックに間に合わない可能性は高まるかと思いますが、勝ち上がり率に対してはダイレクトに影響を与えない、と解釈することもできます。

【人気別】高人気と低人気で走る傾向にそこまで差はない

募集時人気別成績

募集時の人気を以下の4カテゴリーに分類しました。

  • 一般申込で当選(既存会員内で申込数が埋まらない)

  • 一般申込で抽選(最優先申込で当選)

  • ×0最優先で抽選(一般申込で落選、×1,2最優先で当選)

  • ×1,2最優先で抽選(一般申込、×0最優先で落選)

分析した結果、人気があればあるほど勝ち上がり率は緩やかに上昇する結果になりました。

ただし、他のクロス集計結果と比較すると、そこまで差が広がっておらず(最低人気と最高人気の枠で差分は10.4%)、募集時の人気はそこまで絶対的な指標とは言えないかもしれません。

とはいえ、「×1,2最優先で抽選」枠の3勝以上率=36.0%、「×0最優先で抽選」枠の重賞勝ち率=13.3%は着目すべき点とも言えます。

次回は「種牡馬別」「厩舎別」「価格帯別」で分析

一旦ここで分析コラム前半戦を終了します。

後半戦では「種牡馬別」「厩舎別」「価格帯別」の切り口で「走る傾向」を読み解いていこうと思います。

後半コラム(↓)も是非お読みください!


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