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私の就職活動の話【4】完全停止

完全停止とは具体的にどうなったのか。

まず、言葉が出なくなった。

母に自分の気持ちを話そうとしても言葉が思い浮かばない。喉に何かがつっかえたように苦しくて、音にできない。

それじゃあせめてLINEでとも思ったけれど、そこでも文章を紡ぐことが出来ない。返信をするのも面倒。

そのうち人と話すのも面倒になって、口数がどんどん減っていった。

毎日毎日ぐるぐる考えては涙が出て、眠れなくて、生活習慣は完全に破綻し、食欲はなくなった。1日1食のみ食べる生活が続き、2日で2kgくらい落ちて、その後戻らなかった。

友達との連絡も取りたくないし、1人でいたかった。

母の連絡にも一切返事をしなくなっていた。

しかし、選考は続いていた。
それを放棄する勇気はなかった。
でも、勿論上手くいかない。

自分とは何なのか?
企業は何を求めているのか?

優等生的な答えを持つ自分。
でも相手が求めるものはもっと違う答え?

迷走して、一貫性を保てなくなり、勿論結果を出すことは出来なかった。

全ての選考を終えた時点で、祖母の一周忌があり帰省した。

母が車で迎えにきたが一切目を合わせられなかった。言葉も出なかった。母はいつものごとく明るく励まそうとしてきた。それは鬱陶しくて私の苛立ちを増幅させた。

自宅のエレベーターに乗ると、母が耐えきれなくなったかのように「そんなよそよそしく帰ってこなくて良いんだよ!」と言った。

どういう意味だろう。
分からなかったけど涙が出て止まらなくなった。

家に入ると、リビングに父が居るようだった。
いつもより明るい声で「おかえり!」と聞こえるが、小さな声でただいま、と言うと、直接洗面所に行き、手を洗った。

その後も、リビングには行かずにトイレに行った。一人きりの空間に入ると落ち着いたが涙が止まらなかった。

その間に父は自室へと移動していて、私はそのまま父の顔を見ることなくリビングを突っ切って、自分の部屋に入った。

ベッドの上で、言葉にならない思いをノートに書き殴っていた。
母がやってきて、私の肩を抱いて「おかえり!!」と言った。
私はまた涙が止まらなくて、でもどうしようもなくて、言葉は相変わらず出てこなかった。

母はかなり傷付いていた。

それがわかると申し訳なかったけど、母が私が多くの企業から見送り通知を受けたことにショックを受けていると思うと腹立たしかった。

そんな表面的なことじゃない。

これまでの自分の選択を悔いている。
これまでの自分の人生を悔いている。
そして今の選択が未来の、後悔に繋がることを恐れている。
自分自身を見失っている。

信じられないほど気まずい時間を過ごした。親戚と会わなければならない一周忌は苦痛でしかなく、私は祖母が居てくれたらなんて言葉をかけてくれるのだろうと思うとまた涙が止まらなかった。

他人といるのが辛いと思った私は、帰省した翌日すぐに帰宅することを決めた。

つづく

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