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”Dot Dash ”開催記念 falls×CARNIVAL×SUMMERMAN座談会

DOGS ON ACIDのJAPANツアー@吉祥寺WARPのライブ中に今回のfalls、CARNIVAL、SUMMERMANの3バンドによる合同企画が発表された。fallsのvo.山本将がfalls結成後間もない頃にカズキ氏(pinprick punishment/wearable sucks)に教えてもらい衝撃を受けた曲WIREの「DOT DASH」。

MONUMENTやPYLONなど数々のバンドがカバーし、自身も同様にカバーするこの名曲を冠したイベントだ。並んだメンツを見ると今の吉祥寺シーンを体現するかのような企画だが、これをただの”楽しい日”だけでは終わらせたくないと主催者たちは言う。今回その意図を少しでも知ってもらえたらということで、各バンドの中心人物を迎えて座談会を行った。普段の吉祥寺の仲間たちとゆるく和気あいあいと語りながらも、気がついたら何も残ってなかったということにならないような、「今ここにある確かな盛り上がりを自分たちの手できちんと見せていきたい」という思いの溢れる話に耳を傾けてみてほしい。

本編は気楽に読んでいただきたいくらい気を張らないおふざけも満載です。本編と重なる話にはなりますが、まずはその前に主催者のひとりである山本将からはじめに送られてきたメールを一部抜粋したものを一読ください。

ここ最近、もちろん色んなライブに出させてもらったり、色んなバンドが出てきていて「おもしれーなー!!」と思う反面、大局的に見ると「つまんない感じになってきてるなー」とも思ってまして、 「つまんねーつまんねー」って言ってるくらいなら自ら動いてみるか!! と思い立ち、どういう形でアクションを起こしたら良いか考えて(割と)、一緒に動いて欲しいと声を掛けさせてもらったのがSUMMERMANとCARNIVALという存在。と言うのも、レコード屋、ライブハウス、個人の方がアクションを起こすのがホントにここ最近増えたと思うし、実際楽しいイベントもものすごく多い。but それはバンドの発信していく力が弱まっていることも表している気もしている。単純にその日だけの「レコ発」だって楽しいんだけどやっぱりそれだけじゃどこか寂しいし、単純に自分がバンド主催でやっているイベントが好きなんだよね。「あのイベント出てー!」って昔自分が言ってた様なイベントみたいにめっちゃ面白そうな事をやっていきたいというか、これから吉祥寺だったりシーンだったり、バンドが盛り上がっていくための要素を1つ作りたい。そう考えた時に、自分らは活動している拠点である吉祥寺WARPレペゼン感をちゃんと出していきたい。「吉祥寺から来ました」という言葉に嘘がないようにするためにも、この企画を始めようと思うに至りました。マジメ過ぎた(笑)?

参加メンバーは先日の代官山UNIT&SALOONにて行われたBIG DISHで大トリの大役を務め、飛ぶ鳥を落とす勢いで見た者の心を鷲掴みにする吉祥寺のヒーローfallsから、山本将

泣きまくり歌いまくりのギターをはじめ、巧みなアレンジとメンバーのセンスで見た者の心も体も揺らしまくりのアツすぎるインストバンドCARNIVALから、かとぺ氏

ができたらその喜びがそのまま詰まったようなライブをし、青臭いままどこまでも駆け出すような興奮と衝動が溢れるあざとさのかけらもない等身大のグットメロディーを鳴らすSUMMEMANから、たけこし

以上3名と、今回の取材場所であるお宅の家主ナカザワ(SUMMERMAN/いい曲を書く)、前(falls/ナイスコメンテーター)アキヤ氏(CARNIVAL)、石井氏(CARNIVAL専属PA)などのガヤ勢、司会・構成はよこちんでお送りします。

まず、なんで今回この3バンドで企画をやろうと思ったのかを聞かせてほしいんですけど。言いだしっぺは誰なんですか?

将:おれだね。元々SUMMERMANと合同企画をやろうっていう話は去年の夏くらいからずっとあったんだよ。具体的になりそうなくらいで一回頓挫しちゃったんだけど、おれら2バンドだけでやるよりも他にももっとこういうバンドもいるよって知らせたかったからCARNIVALと一緒にやりたいなって思った。彼らはやっていることの毛色も、絡んでいるバンドもまた少し違うからおもしろくなると思ったんだよね。

か:そうだね、寒い時期に話し合いをした記憶があるから今年の頭くらいかな。少しづつ決めて形にしていこうってことにまとまったよね。

(ガサガサとなかなかポテチをうまく開けられず縦に開ける個人プレイに走る山本将。「パーティー開けじゃないんだ?」「将くんって一人っ子?」「いや3兄弟(笑)」)

誘われたときは率直にどう思ったんですか?

か:誘われた名目としては吉祥寺を盛り上げようっていうことだった。俺たちインディーズバンドがきちんとライブハウスやその周りを盛り上げて、ひと昔前のアツかった時代を復活させたいっていう思いは共感できたから、純粋におもしろいなって。

将:バンド自体がそういうことを発信していくっていうことがやっぱりおれは好きだし、実際に今そういう風に動けているバンドが少ないなと思ったんだよ。「一回企画やりました!はい、おつかれさまでした!次はレコ発です!」みたいなものもいいんだけど、大きな発信はそこからは行われていないなっていう実感が自分の中でずっとあって。

か:今回一緒に企画をするみんなのそういうところはすごく同調できたし、絶対面白いことができるはずって思ってた。

た:あと、ガチすぎずあくまでもラフな感じの空気を保ったままそれを実現できそうだなって今回の企画の話が進むにつれて思ってましたね。

この3バンドやその周りのバンドが吉祥寺WARPを中心にやっている普段のライブの空気感・雰囲気を改めてもっとみんなに知ってもらいたいっていう部分があるんですかね。

か:そうですね。当日も緊張感とラフさが入り混じっているくらいの感じが出せたらいいと思う。

た:そうなってくるとやっぱり「 LITTLE LEAGUE」(吉祥寺warpとtoosmell recordsの共同企画)を思い浮かべちゃいますよね。

将:まさにそう!そこなんだよね。おれたち3バンドの中であのイベントの存在が大きすぎるところはある。出会ってから初めてみんな一緒に出演したっていうこともあるけど、あの日の空気感が忘れられなかった。だからこそ1回自分たちの手でそれを焼き直してからやりたいって思った。

か:CARNIVALではコンセプトがあって、自分たちで企画をやるときは絶対年上のバンドも呼ぶし、「絶対負けねー!」って盾突くし、爪痕も残してやるっていう気持ちで挑んでいるんだけど、今回はそれと真逆で「いや、これ絶対おもしろいから!」っていうものを提示したい。

ア:また別のベクトルですよね。

か:そう。ずっと戦い続けるだけではなくて、一緒に戦う仲間を増やして一緒に上がっていくっていうこともいいなって、将くんに今回の話を聞かされて素直に賛同できたんですよ。

将:おれもそう思うよ。その方がわかりやすくお客さんにも伝わる部分もあると思ったしね。

さっき話に挙がったバンドやライブハウスがアツかった時代っていう話。その中で思いつく企画やイベントってそれぞれどんなものがあります?

将:おれは手前味噌で申し訳ないんだけど、PASTA FASTAっていうバンドもやってて、昔やってた「ENJOY SCHOOL RIOT」(Wiennersの前身バンドSCHOOL YOUTHとPASTA FASTAの前身バンドRAISE A RIOTの時代から始まった合同企画。記憶が確かなら2011年の暮れまで続いていたはず)は本当に楽しかった。自分はやってた側だけど。

一同:(笑)

将:でも楽しかったよな?石井?

石:うん。あれは楽しかった。

将:本当に楽しかったんだよ。今やるのも違うっていうわけではないけど、WiennersはWiennersの動きもあるし、PASTA FASTAはそこまで動いてないからそこはいつかまたやれたらいいなって思うくらいなんだけど。単純にあの企画に集まるような人とか「出たいです!」って言ってくる人とかみんながおもしろいやつばっかだったし、そういう雰囲気とあり方が、狙ったわけじゃないんだけどすごくいいなーって当時から思ってた。

か:バンドマンに憧れられるイベントってやっぱりかっこいいよね。絶対ではないかもしれないけどかっこいい。現実的にお客さんも来てくれるし。

将:他には今で言うとLOSTAGEの「生活」はバンド企画のものとしてこれまで継続されていて特別なものだし、かっこいいいなって思うね。あとはsenseless records企画の「local communication」とか。意志がすごくはっきりしていて、洋介さんとか土屋さんがおもしろいなって思ったバンドを八王子のRinkyの8stに呼ぶっていうことを続けてきたシンプルだけどすごく意味のあるいい企画だと思う。まぁこれはバンド発信のものではないんだけど。



か:うんうん。おれは元々北海道にいたから(現在もまた東京を離れ北海道に住んでいる)、SLANG、BALANCEとかのハードコア・ジャパコア勢の企画がとにかく濃くておもしろかった。みんな身を削るようにライブをやっているのがとにかくかっこいいんですよ。わかるでしょ?そういう感覚も。

将:うん、かとうくんは話聞いてる限りほんとそこで育ってるよね。

か:やっぱり北海道のハードコアとエモの文化がそのままおれの血になってますもん。

た:自分はそう考えると昔から馴染みのあるようなイベントで思い当たるものはなくて、最近のことになっちゃうんですけど。今の動きで言うとGEZANのセミファイナルジャンキーはおもしろいなって思いますね。独特の雰囲気とアツさがある。これもバンド主催じゃないんですけど、less than TVの「METEO NIGHT」もそう思います。毎回次のそのイベントを楽しみにできるっていうかその日だけの熱気が毎回感じられるから。


将:あ~それはわかるわ。自分たちに声がかかった時は思わずガッツポーズしちゃったもんな。そういう遊びに行くにしても楽しみにできて、いざバンドとして考えたら「絶対出てみたいな」って思える企画だよね。

将:おまえなんかないの?

ア:おれはあれですね、xxx

将:うん・・・なんか趣旨と違うな

か:アキヤはほんとおれらには考えつかないところ攻めてくるよね。だからおもしろいんだけど。

一同:(笑)

ア:(その後も真剣に語るが割愛)

将:はい、ありがとうございました~。

ア:これ2億%使われない流れじゃないっすか(泣)!

将:だろうな。でもそういうとこ嫌いじゃないからこのあともぶっ込んできてくれ。・・・ところで石井は?

石:えっ(笑)?

か:企画の話一切絡んでないけどね(笑)。でも石井ちゃんはいちばんCARNIVALのこと考えてくれてるからな~。

将:そして結局何も言わないっていうね(笑)。脱線しまくりだな~。その間のたけこしくんの不安そうな顔ったらないね。

一同:(笑)

か:今回の企画の話を進めていた頃を今思い出してたんですけど、赤石さんにこのことを話したら「おもしろそうじゃん」って言ってくれたのも大きかったかな。たぶん本人は覚えてないとは思うけどあの人の話術の力っていうかそういうものにも背中押されたなぁ。

将:3バンドの共通項って吉祥寺もwarpはもちろんだけど、toosmellの存在は大きい。toosmellからカセットテープ(ライブ盤)を同時にリリースしたっていうところだもんな。

た:まさしくそうですね。

か:カセット全部聴いたけどどれもよかったもんな。

将&た:まじでカーニバルにはやられたな~!

将:っていうかあれは石井の功績?

石:あれはおれっすね!

一同:(笑)

将:こんなに音って変わるのかってサウンドメイキングにびびったよ!!

か:石井ちゃんを信頼して全て任せてるもんね。DOGS ON ACIDのあの日は出番も真ん中でぶっ潰すつもりで気合入りまくってたし。将くんに「かとうくん体の調子が悪い時の方がライブの調子いいよね」ってよく言われるけどあの日もどうやら風邪ひいてたらしく、あの後寝込んでるからねおれ(笑)。

将:これからも調子下げてって「それでもやんなきゃいけねぇ!」って状況に毎回追い込んで爆発させた方がいいよ。

か:そんなに毎回精神的に追い詰められたらおれバンドできなくなるよ(笑)。

将:とりあえずDot Dashの日だけでも、それ頼むよ(笑)。

一同:(笑)

いまちょうどお互いのバンドの話が出てきたんで聞いてみたいんですけど、それぞれ自分たち以外のバンドについてどういう印象ですか?この仲間となら一緒に企画やりたいと思った理由というか。

おれたちはどれだけ汚くてもエモかったらいいっていうくらい、マスロックではなくエモだっていう意識。だからこそ、fallsとSUMMERMANと分かり合える部分があってこうして繋がっているんだと思う。【CARNIVAL】

将:おれはCARNIVALはかとうくんが始めたバンドだって元々聞いてて、その時点ではじめから気を許してた。ギターも上手いしセンスもあるし、もうひとりのギターのザック(undersign)に関してははじめは未知だったし、なによりベースのタク(ex. Sur)に関しては「かっけーバンドやってるな!」って衝撃だったし、アキヤ(disordermade)に関しては思ったよりいいな・・・って思った。

一同:(笑)

ア:想像よりちょい上くらいっすか(笑)。

将:でもね、アキヤのドラムはCARNIVALにとって重要だと勝手におれは思ってるけどね。上手いわけではないけど音がでかくてそのせいですごく土臭いんだよね。そこがないと意味がない。人としてはおもしろくないと思うけどドラムはすごく魅力的。だからメンバーにしたのはすごく正解だよね。元々それぞれ別のバンドでwarpに出てた人たちで組んだわけでしょ?

か:そうっすね。ザックだけおれの弟子みたいな存在であいつには北海道で10代の頃からギターを教えてた関係なんですけどね。ずっと東京に来いって声かけ続けて、上京したタイミングでundersignに加入して、おれがCARNIVAL組んだ時にもう1本ギターが欲しいから後から加入することに。

将:ザックは顔もプレイもぶれなくて好き。職人気質。

か:あれもすごく考えてるらしくて、おれが激しい動きやプレイをするから本人は対極的でいたいと思っているんだって。弾いてることはおれよりも手数が多かったりするからそこで勝負しているんだろうな。

将:ツインギターだけどどうしてもかとうくんが目立つからあまり注目されないよね。たぶんおれがベース弾いてるから注目してるところもあるんだろうけど。

た:前に話した時に、かとぺさんはメロのギターが好きでザックさんはメロじゃない部分で・・・

将:つまりINORANか!

た:・・・ですかね、おれもメロのことばっか考えちゃうからそういう意見もあるんだなって思いましたね。

か:歌がないからどうしてもメロを前に打ち出す必要が出てくるじゃん。ENEMIES然りGhost & Vodkaもあれでもきちんとメロがあってこそのインストとして成立してるから。2人ともINORANだったらダメなんだよ。


将:かとうくんのギタープレイもINORAN寄りのSUGIZO感あるもんね。

か:おれSUGIZO好きなんですよね~。

さっきから「うんうん」言ってるけどそこの若い2人はなんのことかわかってないでしょ?

たけしこ&ナカザワ:はい、わかってないっす(笑)

将:LUNA SEAのギターだよ!

た:あ、そうなんですね。

将:まじか(世代の差を感じている)。INORANはまじでアルペジオしか弾かねーの。あとバッキング。それに対してSUGIZOはなんでも弾いちゃうやつなんだよ。すげーの。

将:CARNIVALはあれだけ激しいのに歌もないのに口ずさめる感覚なのはギターが歌ってるからなんだろうな。あとはリズムが良い意味で普通でかつダイナミックでノレる。この感覚は他のインストバンドでは出会ったことないものなんだよね。CARNIVALの若いフォロワーでも出てきたらこれから出会うのかもしれないけど。

か:最近warpでライブやってる1inamillionってバンドが最近出てきたけどね。めっちゃかっこいい。でもすごくいいバンドだけどそこに負けたら話にならないからね。

将:今度マスフェスも出るらしいし、CARNIVALともまた少し違っててもっとやろうとしてることはテクい感じだよね。

ライブはもちろん、音源を聴いていてもそこは感じますね。ところでたけこしくんの発言が少ないけど、そこにバンド間のパワーバランスをめっちゃ感じる(笑)。

一同:(笑)

た:そんなことないって言いたいけどLINEでの会議でもこんな感じですね(笑)。クラフトロックフェスでのCARNIVALのライブはバンドにとってもきっと大きなことだったと思うんですけど、自分もそのライブが最高すぎて自分の中でもCARNIVALが特別な存在に一気に変わったんですよね。

どれくらい特別?

ナ:それすごくいい質問だと思います!(うんうんと横で首を振り、どうにか会話に入ってこようとする家主)

た:えー、そう言われると困りますね(笑)

(アキヤに向かって唐突に無茶ぶり)どれくらい特別ですか?

ア:・・・すーーごいっす!

一同:自分のバンドだろ(笑)!

ア:ちょっと恥ずかしいこと言うんですけど、自分にとってのCARNIVALは僕を成長させてくれた存在ですね。

一同:(黙って頷く)

将:まぁ、そうだろうなお前から見たお前のバンドだからな。その答えでもしょうがない。

か:そのことにみんなが納得しているっていうのもどうかと思うぞ(笑)。

ライブを初めて観たときはほんとにこれはUSインディーだなって思ったし、それをこんな身近で味わえるなんてすごいなって思ってしまった。~「おれはもう、まずどうあがいてもPASTA FASTAを知っている人がfallsをはじめに聴くことになるってわかってたからそこのハードルは当時ものすごくあった」【falls】

た:fallsはめちゃくちゃ言いたいことありますよ!

今度はかなり語りたがりだね(笑)

か:あまりにもスラスラ出てきたらCARNIVALにあんまり言うことなかったみたいじゃんね。一緒に企画するのやめよっかな~(笑)。

た:いやいやそんなつもりはなかったんですけどね。fallsはバンドをやり始めたところが同じ場所だったっていうのが自分にとっては特別な感じなんで、つい(笑)。SUMMERMANだったら自分と丸ちゃんが、fallsだったら将さんと前さんが同じ場所で働いていて、「いつか対バンできたらいいね」って語っていた時期もあったんです。ましてやDOGS ON ACIDと一緒にやることになるなんて・・・。そういう自分たちが思い描いていた夢みたいなものを一緒になぞっていくっていうことは本当にアツいできごとだなっていう感覚はあります。もちろん、音楽としては最高だなって思いますし。

例えばfallsにあって自分たちにはないところってどんなところだと感じてる?

将:ナカザワ、ここチャンスだぞ。

ナ:憧れている音楽に寄せる力と、バンド内でのお互いのメンバーの楽器・作りたい音に対しての理解度が素晴らしいと思います!!(意気揚々と早口で喋る家主)

将:曲の作り方ってこと?

ナ:それぞれ元々好きなものは違うのに誰が曲を持ってきても作りたい曲に合わせてのドラムとかそういうのがわかっていて完成が早いっていうか、セッションみたいな感じで曲を作る歌ありきのエモバンドってあんまり知らないなって。

将:そうかな?セッションで作ったことなんてないよね?

前:ないですね。

ナ:すいません今の全部カットでお願いします・・・。(意気消沈する家主)

言いたいことはわかるよ(笑)。それぞれ好みも違うけど3人で合わせれば共通項であるエモを基軸としたfallsらしい曲になるのが結果としてスムーズだってことでしょ?

将:各々が出してきたものが混じり合って「いいじゃん」ってなるおれらの中でのゴールみたいなものは見えているし共有できてるつもりだよ。そういうことかな。

か:おれはライブを初めて観たときはほんとにこれはUSインディーだなって思ったし、それをこんな身近で味わえるなんてすごいなって思ってしまったもん。

将:それがやりたくてやりたくて始めたバンドだからね。

た:アルジャーノン、Snowing、MariettaとかMONUMENT。あのラインの本物感のある超かっこいい音なのがすごいっす。

ナ:「Dead」の歌入りの5弦が鳴る瞬間とかね・・・(ボソッとつぶやく家主)

た:初めて「in the way back」を聴かせてもらった時はほんとうに興奮しましたもん!

将:いや、初めては全然だったよ。おれ覚えてるもん。

おや、むりやり美談を捏造したか(笑)?

た:違います違います(笑)!そんなことないですって!!

将:「昨日出来たんだよ」って自分の中ではやっと納得できるモノが完成してたけこしくんに聴かせたら「ふんふん・・・渋いですね」って言われたの覚えてるし!「嘘だろ?めっちゃキャッチーじゃん!!」っておれは思ったのに。感覚の違いなら仕方ないかと思ってるうちに気づいたら1番好きな曲ってい言うようになってたもんね。

た:そうでしたっけ・・・。

か:おれはdemoを赤石さんから聴かせてもらって完全にやられてたけど、ライブを観たらさらに1.5倍くらいかっこよかった。将くんはやっぱりPASTA FASTAのイメージがあったから「こんなこともできるんだ」って正直驚いたね。

将:おれはもう、まずどうあがいてもPASTA FASTAを知っている人がfallsをはじめに聴くことになるってわかってたからそこのハードルは当時ものすごくあった。下手なものは聴かせられないっていうね。はじめから一緒だった前くんには余計なプレッシャーみたいなものを背負わせてしまったなと思って、悪いなっていう気持ちだったんだけど、逆に前くんの負けず嫌いな性格も上手く作用して逆にいいモチベーションに繋がったと今では思ってるよ。

か:ほんといいバンドですよ、fallsは。一緒に集まると何より楽しいしね。こういう言い方は浅く聞こえちゃうけど。

将:でも肝心なことって結局そういうとこじゃない?楽しいかどうか。・・・で、石井はどう思う?

石:fallsは完璧だと思います。

将:無口な石井から浅はかで1番嬉しいこと言ってもらえたわ(笑)。ありがとうございます。

ギターとかボーカルは練習すれば必ず上手くなるものだけど、雰囲気だけは練習しても出るものじゃないからこれは唯一無二だなって思ってしまった。自分たちには無いものを持っている。【SUMMERMAN】

将:さっきたけこしくんが言ってたこととたいして変わらないんだけど、こんなに歳が離れている奴らと一緒に企画をやろうぜとか対バンするだけで盛り上がったりするような関係になるなんてまず想像してなかったことが今起きているんだなっていうのが実感。「今度、前に話してたようなバンド始めることにしました」って言われて、SUMMERMANっていうバンド名になったって聞いた時は正直爆笑したけど「そんな名前誰が考えたんだよ!完璧じゃねーか!」っても同時に思ったね。

た:その後、「その名前ほんとにやめた方がよくない?」って将さんから言われましたけどね(笑)。

将:まぁ反対の声は多かったけどね、「こうなったら絶対その名前にするしかない!」ってそれからは推し続けた。たけこしくんは今も別にギター上手くはないけど当時はそれこそほんと下手くそで、そんなこれまでのストーリーもありつつ、ERAの初ライブを観たらあまりにも想像とはかけ離れたイイ曲を目の前で見せられて、正直ちょっと泣いた。

か:おれは、そこまで深い関係ではなかったとは思うんだけど「青春」を聴いた瞬間、「クソ坊主たちがわちゃわちゃとクソ青臭いことやってるわー!」って感じたね。ああいう雰囲気は狙っても絶対出せないものだから。

将:そうだね、おれらやCARNIVALには無いし、不可能な部分だね。

か:ギターとかボーカルは練習すれば必ず上手くなるものだけど、雰囲気だけは練習しても出るものじゃないからね。USインディーの流れを組んでいる音とボーカルが加わって、これは唯一無二だなって思ってしまった。だからSUMMERMANのこと悪く言ったことないんだよね。自分たちには無いものを持っているから。

た:うぉぉ・・・嬉しいですね・・・!

将:悪いところ見つけるのが難しいもんね。

か:「ライブ下手だったね」とかそういう時はもちろんあるけど、それも研ぎ澄まされてきてるから何も言えなくなってきてるね。このままだとただ先輩風吹かせるだけになっちゃう・・・(笑)

一同:(笑)

か:いつまでたっても青臭さは持ってて欲しいね。

将:それと負けん気精神ね。スタートの時点で既にいるバンドを標的にしてちゃんと戦えるようにライブをしていると思うし、ナカザワとかと話してると「ほんとお前たちはおマセだなー!」って思うこともあるくらい貪欲に考えてるからなぁ。おれたちの若い時なんてもっと年上や先輩に対しては畜生っていう感情とか不満ばっかり持ってたからそこが違うね。

か:あ、そこはおれは未だに年上のバンドに対してはこん畜生精神しか抱いてないよ。fallsには違う感覚だけど。

将:あ、おれも洋介さん(malegoat)とかにはそんなこと思ってないですよ?ちゃんと言っとかないと(笑)。

将:SUMMERMANは曲のリズムも普通だし、傍から見たら特別なことことやってるわけじゃないんだけど、その青臭さと曲の人懐っこい感じとか、意識して出そうと思っても出せない魅力があるから他の人が意外とやってないことをやれていると思うんだよ。そうでもなければこんな年下のバンドと合同企画やろうなんて思わないからね、うん。

ナ:・・・今のところトリミングして個人的に送ってもらっていいですか?(小声でささやく家主)

え?どういうこと?

ナ:いや、辛い時とか聞き直したら元気出そうなんで。丸ちゃんにも聞かせてあげたいし。

一同:(笑)

めんどくさいから絶対嫌です(キッパリと)。えっと、前くんもやっぱりSUMMERMANには特別な思いはあったりする?

前:そうですね、職場が同じだった関係でSUMMERMANは近くにいながらもライブの日に自分も抜けることが厳しくてなかなか観れなかったんですよ。だから初めて観たときはぼろぼろ泣いちゃいましたね。将さんやGOMさん、その他の周りのみんなもバンドマンで自分はその頃はただのリスナーの一人でしかなかった。だから唯一SUMMERMANが自分と同じフラットな関係性だったけど自分よりも先にバンドとしてスタートを切った。そういう意味で同志でもあり勝手にライバルだと思ってるんですよ。

将:これもよこちんくんのインタビューにも書いてあるけど、その時期はSUMMERMANに先越されて前くんは焦るし、周りからは早くやれ早くやれって煽られるしで、納得する曲ができるまでやらねーって言ってんだから無性にイラついてたけどね、おれ(笑)。もはや最終的には、「うるせー」って言葉すら出なくなった。

一同:(笑)

それに対してたけこしくんはどう思ってるの?

た:自分も正直ライバル心っていうものはあって、特に最近ライブが一緒になることも多いから、負けないぞっていう気持ちは確実に常に持ってますね。

将:この3バンドはたぶん各々そういう気持ちで互いに張れる部分があるんだよ。

か:fallsとSUMMERMANがライバル視してる中に傍から見たらおれらが入っていいのかって思うかもしれないけど、自分的には全然関係なくて、単純に嬉しいし、なんならその2つをぶっ壊してやろうかなって勢いで負けずにトップを取ろうと思ってるよ(笑)。要はやるかやらないかだからさ。まぁ1番はなにより楽しいことができるだろうなって思いがあることなんだけど。

将:内心の部分はたぶん3バンドとも同じだろうなっていうのがおれの中では前からわかっていて、その上で絶対楽しい一日を作ることができるってことも思えたから、こいつらだなって決めたんだよね。

前:一緒にやることも多いけど、持ってる繋がりが3バンドともそれぞれ違いますしね。CARNIVALはクラフトロックで対バンしたような繋がりがあるし、SUMMERMANで言えばbachoとかHUSKING BEEとも対バン経験があるわけで。

か:ハスキンと一緒にやってるのを観た時おれは血出るくらい噛んでましたからね。「クソ!」って。

将:我々は世代ですからね。

ア:でもあの日のライブめちゃくちゃよかったんですよね~。

将:あれ?観に行ったの?

ア:おれ観に行きました!!

将:珍し~(笑)!

一同:珍し~(笑)!

か:SUMMERMANがやってる状況にもfallsがやってる状況にも、悔しいっていう感情はやっぱりおれはどこかにあるからね。

前:悔しいって思えるのはいいことだと思うんですよね。それがないとやっぱりこの世界おもしろくない。

か:おれね、それこそ今まで年下には悔しいとか思わなかったから、勝手にやってろよっていう感じだったのに・・・。

た:上にはこん畜生精神で下には勝手にやってろってさっきから発言が怖すぎますよ、かとぺさん(笑)!

将:おれも新曲とか聴かせられると、口では「いいね」とか言っちゃってるけど内心「やべぇやべぇやべぇ」って感じてる。素直に自分たちも頑張らないとマズイなって刺激を受けてるからね。

か:だからこそ切磋琢磨していくわけじゃないけど、そういう刺激し合えるベクトルが同じでよかったと思うし、今回この3バンド以外にゲストで出てもらう2バンドもそのベクトルで決めたところもあるよね。

仲間とか友達は当たり前に大切。その中で「絶対潰してやる」っていうのは「お前らはゲストだからな。勝負に来いよ」っていう気持ち。それを経てもっとバンドとして強くなった姿を見たいし、おれたちだって負けない。

今回話を聞いているこの3バンド以外の残り2つのバンドについても聞かせて欲しいですね。なんでSleeplessとMORETHANなのかっていう理由も。

将:そうだね、単純にゲストをどうしようか超悩んでたんだけどちょうどその時期辺りからとにかくSleeplessがいいライブをしていたのが決定打かな。単に盛り上がるからSleeplessを呼ぶっていうことでもないし、それを抜きにしても抵抗がなかったわけじゃないけど、彼らは年齢は同世代ではないけどバンドとしては同じくらいから動き出した同世代だと思っているから1発目はそこを呼んで一緒にこの吉祥寺を盛り上げたいっていう考えはあった。そこからもSleeplessだけっていうのもどうなんだろう?って考えて考えて最終的に出てきたのがMORETHANだった。MORETHANはおれたちの中では外せない存在だしね。

か:MORETHANは付き合いも結構長くて、はじめはSZKNの企画で3マンをしたんですよ。その時にやたら馴れ馴れしい奴がいて、おれがみんなに「かとぺ」って呼ばれてるのを知ってMORETHANのサトシが「おれさとぺ」って言ってきて、「なんだこいつ(笑)。お前最高じゃねーか」ってすぐに意気投合。音源を聴かせてもらったらとにかく素晴らしくて、そこからは率先して周りに普及活動の日々ですよ。

将:おれは最初は警戒してたからな~。音楽とかじゃなくて、遠くから良い評判が少しづつ迫って近づいてきてたからね。こっちに来んじゃねーよって(笑)。おれらはアルジャーノンからスタートして始めたバンドで、向こうはタイトルファイトみたいなバンドらしいぞと。それもこれだけバンドやってきて誰か知ってる奴が始めたとかではなくて、全く知らない奴らがそんなことやってるぞと。「おいおいこの野郎やってやんぞ」くらいに思ってて、いざ共演してみたら「最っ高!!」っていうのが今まで続いてます、はい(笑)。馴れ馴れしいだけじゃなくて野心もあるのがあいつらの凄いところ。

か:音作りひとつ取ってもすごく悩むポテンシャルも凄いし。

た:いつどこで観てもライブの水準が高い。悪いライブを観たことがない。

将:声が良くて歌も演奏も上手いし曲も良いなんてずりーな。

Sleeplessに関してはやっぱり歳も近いSUMMERMANが1番意識してるのかな?

た:そうですね。同世代でかっこいいバンドが出てきたっていう話が周りから聞こえてきて、さっきの話と同じで警戒心みたいなものが強かったんですよ。そんなある日とうとう将さんが「おれがもしSleeplessと同世代だったら意識するね」って言ってきてから気になる存在になって、ライブを観たら「めっちゃいいじゃん」って。でもその最初の「めっちゃいいじゃん」がそこからどんどん右肩上がりで上昇してるんですよ、彼らのライブ。観たことある人は現状がどうなってるかわかると思うんですけど。

将:たおくん(chiio/ほろほろ)とたまちゃん(PELICAN FANCLUB/ほろほろ)って奴らと帰りが同じ方向なんだけど、帰り道に「最近warpにいいバンドが出てるんですよ!」って聞かされたのが「いらないものはなんだ~」ってSleeplessの1st.Demoだったんだよね。当時一部では「BALZACみたいだ!」ってすごい例えもされてたんだけどね(笑)。

一同:(笑)

将:ライブを観たら今ではみんなご存知の全員が歌ってる感じのあの暑苦しいやつで最高だったね。

なるほど。じゃあこの2バンドであれば今回の企画にも申し分ないし、見えているものもきっと一緒だって思ったわけですね。

か:そこに関して言うとおれだけ少し意見が違ったんだよね。Sleeplessに対して。

ほう。どういうところでですか?

将:Sleeplessを呼ぼうって話になった時ににかとうくんだけ「うーん」ってなったもんね。

か:絶対かっこいいのはわかってるんですけど・・・なんて言えばいいか難しいな・・・単純に潰そうと思ってます!

将:ははは、要は本気で来いよってことでしょ?

か:先輩後輩関係なく、ああいうバンドこそ向かってこないとダメだと思ってて、仲間とか友達は当たり前に大切だからこういう企画もしているんだけど、「おれたちが最強だ」っていう姿勢みたいなものをお前たちはどこでも出せるのか?って問いたい。今のやり方を見ているとそれとはまだ少し違うんじゃないのかなっておれは勝手に思ってるからぶつかって来いよって思います。絶対潰してやるっていうのは「お前らはゲストだからな。勝負に来いよ」っていう気持ちです。それを経てもっとバンドとして強くなったSleeplessを見たいからね。言い方はかっこ悪いけど次世代のbachoみたいな存在になりうるバンドでしょ?

将:本人たちも公言してる通りそこは狙ってる部分は少なからずあると思うからね。まぁこういう風にかとうくんがアツくなって意見が出てくるところに今回の企画が意味のあるものになってるんだなって思えるよね。おれたちは優しすぎる方だからな~。

か:いや、おれも優しいっすから!

一同:(笑)

た:いやいやどこがですか(笑)。かとぺさん今のところ、上には「こん畜生」、下には「勝手にやってろ」、同世代には「馴れ馴れしいな」って言ってますからね。

将:正直も考えもんだな(笑)。もうジャパコアの人じゃん。

か:ほんとだ(笑)! 文字に起こしたらヤバイ人にしか見えないね! どうしよ~。

ア:かとうさんには愛があるからだいじょうぶっす。

将:だとよ(笑)

怖くないよ~

吉祥寺から「も」起きている今の盛り上がり。こういうものって油断してると絶対無くなっていくのがわかってるからこそ、今回はその盛り上がりを無くさないために自分たちが作るイベントっていう形でしっかりと上げていきたい。


ここまでずっとお互いの印象とかゲストで呼んだバンドについて聞いてきたんですが、この企画は今後も続けていくっていうことで次回以降こんなバンドを呼んでみたいなっていうものや、実際にまだ呼べないにしてもずっと先の理想の話、単にそういうもの関係なく最近気になっているバンドでもいいですし。そこを教えて欲しいです。

将:なるほどね~いいね、そういう話。ちょっといろいろ考えちゃうな~。

前:おれはスウェーデンのI Love Your Lifestyleですね。今いちばん旬だと思ってるし、早いうちに呼ばないといきなりバンドが消えたりしちゃいそうだし。

将:エモバンドの短命さはこないだのDOGS ON ACIDで身を持って体感してるからね。ほんとに共演できたのもギリギリだったし、本当に実現したら最高だと思うよ。

前:あとはYr Poetry(from Johnny Foreigner)と共演して、一緒だったBen(Key/VJ/Artwork)といつか絶対Dot Dashで再会しようってメールで話してるし、「Dot Dashのフライヤーは俺に描かせてくれ!」って言うくらいだからそれも実現したらそれこそ夢ですね。

将:Johnny Foreignerのあのお化けのイラストか!あれがクージーにもなったらやばいね!

今回入場者特典として配られるフライヤーデザインのクージー

た:おれは色々ありすぎるんですけど、GEZAN、KONCOS、malegoat、TURNCOAT、LOSTAGE、bacho、comeback my daughters、ロンリー・・・あ!大事なところでmynameis!!

将:malegoatは確実にいつか自分たちの企画に出てもらいたい。おれたちはやっぱりそこなんだよな。どの日本のバンドよりも聴いてきたし。

か:将くんもやっぱりそこなんですね。

将:おれはmalegoatと一緒に墓に入れるぜ。

か:おれもアコギのソロの名義は「Osmosis」って曲名から拝借してるくらいなんで。

た:わ、そうだったんですね。

将:さっきからあれこれ考えてるけど、気になっているバンドって言われるとなかなか難しいね。解釈も色々あるから。

か:おれはDischarming manですね。この3バンドと一緒にやれたら全員色も違うしおもしろいことが起きると思う。

将:もしGOMがいたら「おれはtoe!」って真っ先に言うだろうけどね。何を差し置いてもあいつはそう言う。・・・ん~けっこう自分の中で展望があるんだよ、Dot Dashに関して。例えば好き嫌い関係なく挑戦的なバンドだって呼んでみたいし、そこから何かが変わるかも知れないっていう考えもあるからね。もちろん好きなバンドも呼びたいけど仲良しとか憧れのバンドを意図もなく単に呼びたいわけでもない。

将:あっ!気になっていると言えば、打算的って思われるかもしれないし馴れ馴れしく思われるかもしれないけどNOT WONKだね。あれはもう気にならざるを得ないよ。名前もとにかくいろんなところで見るし「若いから舐められたくない」って思ってると思うし、そう見られることだって本人たちは別に望んでないとは思うんだけどね。実際おれもそういう風に見てないんだけど。シンプルにバンドとしてめっちゃ気になってます。fallsやCARNIVALは今のところ触れ合える機会もないからね。おれの自意識過剰なんだとは思うんだけど、なんとなく互いに牽制しあっている気がしなくもない・・・思い違いかな(笑)?純粋に一緒にやってみたい。

た:おれはNOT WONK好きでメンバーとも話すことはあるんですけど、前に話した時は吉祥寺周辺ともやってみたいっていうようなことは言ってましたけどね。

将:よし、まずは1回目を成功させて是非声かけさせてもらおう!

か:そしたらぶっ潰すつもりで挑むしかないな~。

将:だから文字にするとただの怖い人になってるからやめて(笑)!

か:いけないいけない(笑)。だって映像はチェックしてるけど、すげーかっこよかったからさ。

将:夢って考えるとLEMURIA呼びたいよね。

か:あ~おれは解散さえ決まってなければENEMIESと一緒にこの企画でやりたかった~!

ナ:DOWSINGも!(目をキラキラさせて話す家主)

将:そうなるととんでもない話になってくるけど、そういう夢みたいな話も現実に起こせるようにしていく為の第一歩が今回の企画だよね。そういう場所を作っていく為の基盤作り。

か:おれたちで言えばMutiny on the Bounty とも一緒にやれているわけだし、みんなもそれぞれ大好きな海外のバンドと共演してる。いろんな人のおかげっていう面はもちろんあるけど、そうやって少しづつ交流を持って自分たちのバンドも高めて、自分たちの手でかっこいい憧れのバンドとDot Dashで対等に4マンできたら最高だよ。

将:ほんとそうなっていきたいね。・・・ところで石井はどう?

石:呼ぶっていうよりDot Dashごと海外に行きましょう。

将:それ実現したら最高。でもこうやってよこちんくんにつっこまれてみてわかったけど、急に言われても気になっているものってすんなりとは出てこないもんだな。ほんとに自分が目の前ばっかり見ている部分があるんだなーって少し実感したところもある。

それは少なからず誰にでもあることですよね。もちろん広い視野で常に見渡せていることに越したことはないですけど、自分たちの置かれている状況や目の前さえ見えていないバンドも多いと思うし。こないだもKONCOSのライブでタイチさんが言ってたように、みんなが気づいてないだけでアンダーグラウンドなライブシーンにはおもしろいことがたくさん起きているし起こしている人がいるのにそれに気づいてない人が多すぎるって。

将:うん、自分たちでそういう場所を作ってそういうものを上げていくっていうことは大事だなって思ってるよ。

そして、どこか他の誰かが今日みたいな「気になってるバンドとかイベントってある?」っていう会話の中で「Dot Dash」っていう名前が挙がってきたら嬉しいですよね。

た:いや~そうなったらそれはもうほんとに嬉しい限りですね。

か:Dot Dashだけじゃなく、例えばこの企画がきっかけで「fallsやSUMMERMANが憧れです。一緒にやりたいです!」っていう発言をどこかで見かけただけでもめちゃくちゃ意味のあることだし、自分のことのように嬉しく思うよ。ライバルだけどひとつのものを作りあげようとしている同志だからね。

そうやって吉祥寺っていう土地で、個人でもライブハウスでもなくバンドっていう自分たちの形でまずは目の前のことから盛り上げて行きたいっていうのが今回この3バンドで合同企画を立ち上げた本意なんだと思います。最後に改めてそれぞれの言葉で意気込みじゃないけど、思いを話してもらえたら。

た:なんか今おもしろいことがいろんなところで起こっていると思うんですよ。自分たちの近いところでも十三月の甲虫、KONCOSの周り、ELMOやShut Your Mouth周辺のハードコアシーンとか。その中でDot DashにはDot Dashのかっこよさや楽しい部分があると思ってるんで、そこを来てくれた人たちに感じてもらえたら次に繋がるんじゃないかなって思ってます。

か:難しいな。みんな吉祥寺に居すぎるところはあるじゃん?おれらって(笑)。スタジオもライブもレコード屋も。だからこそまずはこの場所に還元したいっていう気持ちも大きい。そこでひとつの野望を自分たちの手で達成して、そこに新しい同志が集まったら最高だし、それを観てくれた人たちにも絶対何か感じて帰ってもらえると思う。それが先人たちがやってきたことだしね。おれらは吉祥寺でガッツリやってここから盛り上げていくぞって、それだけです。

将:今あえて”エモリバイバル”っていう言い方をすると、それはまだ確実に盛り上がっていて、それが吉祥寺から「も」起きているっていうことはずっと大事だと思ってたこと。こういうものって油断してると絶対無くなっていくのがわかってるからこそ、今回はその盛り上がりを無くさないために自分たちが作るイベントっていう形で上げていきたい。吉祥寺っていう土地で看板イベントというか、なんかわからないけどいろんなところから人が集まってきてやけに楽しい充実した気分で帰るっていうシーンのような独特の空気・空間そのものが今の自分たちの前には少なすぎて何も感じられないから、いちから作り上げたい。それを実践できたら「こういうことが起きているんだよ」ってまだ知らない人に知って欲しい。その為におれたちは発信していくので・・・つまり、ひとつよろしくお願いします!そんな感じです(笑)。

ガヤのみなさんはどうですか?

前:イベントっていうものはいつか終わるものなので、それが終わらないでほしいっていう思いはあります。ただ惰性で続けるものでもないし、自分の思いとしては、自分がフロアにいてステージで仲間のバンドがとにかくかっこいいライブをしているのをずっと観ていたいんですよ。それが無くなったら終わりだと思っているので一緒に企画をやる以上はとにかく興奮させてくれって思ってます。その為には敵視だってするし、もっと来いよってさえ思う。それが大事ですね。

将:前くんのいつもの話だね。音源のDIGに対しての精神と同じだけど。前くんらしくて納得だわ。

前:興奮することが無いとおれ生きてるの嫌です。

ア:吉祥寺は自分が別にやっているバンドも含め、ずっとお世話になっている街だから、今はこの3バンドで吉祥寺を舞台にしっかりと盛り上げられるようになって、いずれはこのイベントが他の土地でもそこで待っている人が楽しみにして待っててくれるようなモノになったら最高だなって思うし、そうしたいですね。

将:少しはまともなこと言ったからそこを使ってやってね。・・・で、最後に石井はどう?

石:(顔を隠しながらも)「吉祥寺から世界へ!」ですかね。

一同:(鈍い反応で)・・・イェ~イ!!

最後は完全なる茶番劇ですがこんな感じで終わりましょうか(笑)。ありがとうございました!

2016.11月 ナカザワ宅にて

あとがき

吉祥寺周辺を中心にUSインディーやエモに近い音のバンドがたくさん盛り上がっているのはライブハウスに通っている人や熱心に音源を買っている人なご存知の方も多いと思います。文中にもあった通り、吉祥寺「も」盛り上がっているし、他の土地、他のジャンル(ジャンル分けの概念は野暮だけど)でももちろんそれは起こっていて、これはその中のひとつの動きに過ぎません。実際若手のバンドマンに「よこちんさんはエモの人なんですか?」って聞かれたこともあるのだけど、どっちかっていうとエモも、好きな人と比べたら全然詳しくないし、「単にライブを観て音源を買ってめちゃくちゃいいな楽しいなって思うバンドが最近は吉祥寺でやっているバンドに多い」ただそれだけです。彼らが本質的にやりたいのはなにも流行りを作り出そうとか仲間内だけでワイワイやっていこうとかそういうこととは全く違うと思うんですよ。ただ、一緒に対バンしていちお客さんとして観たときに周りのバンドも相当かっこいいし、やたらと興奮させられる。普段はあくせくとみんなと同じように働きながら、ただ純粋に楽しいから日々大変な中でもしっかりとバンドというものを続けている。どうせだったらその時間も、行く先ももっと面白い人が集まって、想像を超えた出来事がたくさん起きたら最高じゃん。そういうことだと勝手に思ってます。違かったらごめんなさい。だからこそ、それを自分たちの手でやりたいねっていう決意は、友達としてそして一人のお客さんとして純粋に嬉しい。だから必ず続けていってほしいし、それが今までより少しだけ多くの人を巻き込んでいって欲しいと思います。当日がある種の事件の始まりみたいな日になる事を願って。

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