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V/ACATIONインタビュー(2015アーカイブ)

まえがき

今回公開するV/ACATIONのインタビューは約1年前、2015年末のTAPEリリースのタイミングでバンドのいくつかの思惑と共に行ったもの。事情もあって日の目を見ることなく眠っていた記事だが、最近になってメンバーと呑む内に、これもせっかくならひとつのアーカイブとして公開したいと思い立ち、今回に至ります。アーカイブとは”重要記録を保存・活用し、未来に伝達することをいう”という意味もあるので、彼らにとってのV/ACATIONというバンドやこの音源に込めた思いを知るという意味でも是非読んでいただきたいです。それではどうぞ。

※20161118初公開→20161126再up

東京のアンダーグラウンドシーンにおけるニューエイジハードコアパンクの旗手として特異な存在感を放つ V/ACATION。近年シーンを賑わせているMILK、odd eyes、ロンリーなど日本各地の仲間達が影響を口にし、メンバーが透明雑誌の日本招致やLessThanTVの運営、PUNK ZINE’GOVERNMENT ISSUE’に大きく関わるなど、図らずも東京のアンダーグラウンドシーンの橋渡し的役割も担うことで、その音だけでなく行動でも確かな支持を集めてきた彼ら。今作は、前ベースGS脱退後、ギターにTonguesの板橋、ベースにTHIRTY JOYのNBを迎えた今年4月からの体制をスピーディーにとらえ絶妙にパッケージされたもの。 ツインギターによって厚みを増し、より音楽的自由度を深めながらも、音像はシンプルでストレートなハードコアへと印象を変えた。その中でも緻密でストレンジなマツモトのギターや、ドタバタとクセになるリズムを鳴らすオノデラのドラムの魅力は更に新しい風を受けながら加速し、「"Vacant or Action"、空っぽなのか、行動するか、どちらか。」というテーマのもとに僕らを問う言葉の数々は、ハタノによって凄まじいテンションと緊張感で全方位に叫ばれる。自身のハードコアスタンスを見つめ直しながらもぶっちぎりに力強いのに良い意味でどこか軽やかでもあるのはなんなのだろう。それはきっとBIG BOYS,BLACK FLAGなどの80sハードコアやU.GMAN,BREAKfASTなどの偉大なるバンドを経由してリリースされた前作「with vacation」から5年経ち、この時代で彼らが手にした「V/ACATIONらしさ」という感覚と意思の強さからくるのかもしれない。多くの言葉を形容しなくても創世記からの「ハードコアパンク」を今この時代で最も体現しているバンドと断言できる。

今回その渾身の8曲入カセットEP(限定300本、同内容CD-R付き)発売に合わせて、惜しいことにベースのNBが脱退。今作の内容はもちろん前作以降の楽曲の変化や、バンド内の体制の変化など、今の充実期を迎えているV/ACATIONについて、そのDIYなTAPE制作作業に参加しつつハタノ、マツモト、NBの3人に話を聞いた。同じところに根を張りながらも相反する魅力を放つバンドの顔であるハタノと楽曲を手掛けるマツモトの関係性にも注目です。

まずは5年ぶりのリリース、ライブで聴いていた曲がこうしてやっと音源になって単純に嬉しいです。おめでとうございます。今回知っている限りでは結構急なリリースだったと思うんですけど。

ハ:ありがとうございます!2010年の1st.以降、リリースに関しては実はファンジン2冊CD2枚で出したいねっていう構想が元々あって、それは今回のタイトルvacant or actionにかけてからっぽか行動するかっていう意味を利用したアイデア。1枚は自分たちだけで完成させる「vacant盤」。もう一つはいろんな人にも参加してもらう「action盤」。それをZINEと一緒に出したいねって言うアイデアは前々から話してた。ただ、今回ベースのNBが自分のバンドthirty joyや諸々の都合でバンドを抜けるってことになって、それを実現させるには時間がかかるからどうしようかって考えてた。今のこの5人での音源は残したいなーって気持ちはぼんやりとずっと持ってたんだけどね。でも、抜けるからっていつかまたこうして同じようにやれるかなっていう気持ちもあった。でもちょうど友人の(ex-DASHBOARD)朝くんの結婚式でDIEGOの健くんに会ったときにそんな話をしていたら「そのいつかって実際にないから。そのメンバーでやれているものを形にできるならその最高の形を絶対に残すべきだ」って開口一番に言われて。その言葉がすごく刺さった。だからその日のうちに居合わせたメンバーで話し合ってすぐにレコーディングしようってことになって、急いで録ってくれる人を探して2週間後には1stと同じコセさんっていう方にお願いしてレコーディングだったっていう(笑)。

前メンバーのベース、GSさんが抜けたのが2015年の2月でしたっけ?

ハ:そうだね、仕事とか家庭の事情でバンドをやることが難しくなって。

心境的にはどうだったんですか?バンドが動けなくなる可能性もあったと思うんですけど。

マ:まぁ何年も前からそういう問題はあったんだけど、今回は真摯に受け止められたってだけかな。友達には変わりないし、仕方ない気持ち。

ハ:(GS最後の)名古屋のライブはNB含め大勢で東京から向かって。それが終わって落ち着いた後に、ちょうどここでマツモトとオノデラと3人で集まったんだよね。これからどうする?って。結構長い時間酒呑みながら。V/ACATIONってそもそも音楽だけが先行するバンドじゃないから、一番仲良いやつを誘おうぜって話になったときに全員一致ですぐに名前挙がったのがいたちゃんとNB。その場で電話したら2人とも即答でOKしてくれた。2人ともベースもギターも弾けるからどうするかって問題はあったんだけど、そんなことよりとりあえず一緒にやりたいからスタジオ入ろうぜって流れになったんだけよ。その後新体制でライブしたのが4月に行われたシンクロニシティだからほとんど止まってないね、いい話じゃない?(笑)本当に、ありがたいことです。


旧体制でのライブ

誘われた本人としてはどんな心境だったの?

N:そうですね。とりあえず新宿でパート決めから始まるっていう・・・

マ:ははは(笑)、パート決めから始めるってよく考えるとおもしろいな。

抜けたパートに対して新たに2人加入したわけだもんね。そこはどうやって決めたの?

マ:いたちゃん「NBがベースの方がいいと思うんだよね。どう?」NB「じゃあいったんそれでやってみますか」みたいな流れだったと思うよ。

ハ:個人的にははじめはいたちゃんがベースの方がいいなって思ってたよ。スタイルの違いの問題なんだけどね。彼はOPACっていうバンドでベースをやっててすごくかっこよかったから。僕の中ではリズム遊びの人っていうイメージで。NBがオンタイムのストレートなハードコアの印象があるからそういうカッティングをギターでしてくれたら今までにない音になるんじゃないかなって内心思ってた。でも2人のやりとりを信じていざスタジオに入ってみたら、「これバッチリだね」ってマツモトと2人で手応えを感じてた!

なるほど。実際に新体制の初ライブを観てもすごくおもしろいなーって感じたし、メンバーや周りの友人の反応を見てもこれは今バンドが良い状態なんだろうなって個人的には思ってました。

マ:(今回のメンバー脱退が)その調子が良い矢先だからね!

一同:(笑)

まぁまぁ(笑)。でもそのタイミングで最高の形をこうやって音源に残せたからいいじゃないですか。

マ:まぁね。でもほんとレコーディングは楽しかったし、録るまでの期間が短かったのも結果的に良かったなーって思ってるよ。やるしかないから集中して今の感覚のままみんなで取り組めた気がする。

ドラムのオノデラさんも新体制になったタイミングでまさかの名古屋に転勤、メンバーが離れてるから曲を覚えて練習してきて、当日合わせながらレコーディングしたものもあるっていう話でしたね。

マ:そうだね、曲によってはそんなこともあって。

ハ:ドラムの転勤もほんとに新体制1発目の直前に決まって。今回のNBの脱退に関してもそうなんだけど、どっちの時もバンドとして士気がそこまで落ちなかったのがよかった。「それでも今から行くんだ!」っていうメンバーの気持ちがあったし途切れなかったから、気持ちの面でもすごく健康でいれたよ。

NBももっと話聞かせてよ(笑)。V/ACATIONに入ってみて率直にどうだったの?メンバーは昔からの先輩でもあるし、ずっと近くで見てきたバンドでもあると思うんだけど。

N:マツモトさんは大学時代から同じサークルで観てきた仲だし、V/ACATION自体も昔から観ていたから、曲作りとかライブに関してもあんまり迷ったりわからなかったりっていうのははじめからなかったですね。

マ:実際今までV/ACATIONを一番観てる人だしね、NBが。

ハ:ライブでもボーカルをとってくれることもあるしね。そうそう、V/ACATIONってドラムがドカドカ追い詰めるイメージで、リズムが合わせづらいと思う(笑)、独特のリズムで譜面通りじゃないから、そのV/ACATIONのノリをわかってないとたぶん弾けないはず。だからいたちゃんも含めこの2人が入ってくれたことは気持ち的な部分でも演奏面でもほんとうにしっくりきたなー。

じゃあバンドが前に進んでいくなかで2人の加入はだいぶ加速させることになったと。

ハ:うん!ほんともうかなりバンドとして調子は上がった!スタジオに入るのもより楽しくなって。

マ:ほんとそう。メンバーが抜けたり転勤で離れて活動することになっても、この体制になってからネガティブな感覚は不思議とない。

今日は欠席ですけど、いたちゃん自身は加入してからどんな感じなんですかね?

ハ:わりと淡々とやってるかな?

N:毎回「もっとよくなりそうだね」的なことは言っているんで手応えみたいなものは感じてると思いますね。

実際に新体制のライブを観て、みんなが気になった点の一つはいたちゃんがどんなギターを弾くのかな?っていう点もあったと思うんですよ。周りから話を聞いている限りでは。個人的にもTonguesは何度かライブを観に行ったことがある程度だったから詳しく知らないなりに注目していて。

ハ:最初はマツモトのギターは、2本になったらどんなものでも合わないかもしれないなって思ってたけど、いたちゃんとやってみてすごく良い感触だった。でもバンドの外、観てくれている人や友達からしたら「ギター最高だったね」っていう意見と「(マツモトと板橋のギターの音圧が大きく、音が被るため)いたちゃんって、なにしてんの?」って意見もあるのかも。個人的な意見だけど、彼はフリーキーなギターを弾くんだよ。だけど、現状は「ここはマツモトのギターを活かしたい」、「ここはベースに沿って弾きたい」とか彼なりにバンドに寄り添ってくれてると思う。

マ:今までいたちゃんがやってきたバンドでの彼のギターの感じと今V/ACATIONで必要な役割って全然違うと思うから、これまでを知っている人がライブを観たら面食らう部分はあると思うんだよね。うちらの曲は単純にリフ先行で尺が短いからフリーキーなフレーズはなかなか乗せられない。でもその中でも既存の曲とかに対してもアレンジはちょくちょく変えてきていて、何も言わずに自分ならこうするっていう姿勢がこっちにも伝わってきてすごく刺激になってた、今回。これはNBにも言えることなんだけどね。

確かに。さっきのバンドが加速していくイメージっていうのがまさにそうで。

マ:お?そうくるならおれもやっちゃうよ?ってね、ははは(笑)。

ハ:白状するとGSが抜けた時に、バンドを辞めようかっていう考えはゼロじゃなかった。でもこの5人になってから改めて音楽っておもしろいなPUNKっておもしろいなって思った!前回リリースした時から5年間、今から考えると停滞していたわけじゃないけど、もっとやれたんじゃないかっていう気持ちになるくらい、バンドが楽しくて前に進んでいく感じで、加入してくれた2人のモチベーションと才能によるところが大きい。ほんっとにセンスあるんですよ!この2人が!

一同:(笑)

まじでヤバイよ!僕とマツモトは割と(オンタイムじゃなくて)自分のリズムで突っ走っちゃうんだけど、NBはハードコアクラシックのマナーをちゃんと経てる人。勢いもあって。すげぇ人ってすげぇんだなって一緒にやるようになって思ったからね。もう辞めちゃうから本人前にして大絶賛しちゃうけど(笑)。

めちゃくちゃ褒められてるけどそこんとこどうなの?

N:嬉しい限りです(笑)。V/ACATIONをずっと観てきたからこそ自分の中でのイメージというか回答が出来上がってたんで、それがあったからこそすんなり自分なりの理想の音を求めてやれたっていう部分はありますね。

ハ:きっとNBの頭の中で鳴ってるV/ACATIONの音を補完してくれたイメージなのかな。

N:そうですね。単純になぞってコピーするのは嫌だったんで、自己解釈でやってみました。

マ:前のメンバーが抜けるタイミングでうまく動けなくなることがわかってて、もういいかなって思ったことはおれにもあった。でもそのタイミングでELMOのまーくんとか周りの友達が「そんな簡単にバンド辞めて友達とかに示しつくの?」って言われて、「そんなん関係ねーよ」って思う部分もなかったわけじゃないんだけど、今考えると今回は理解ある近しいメンバーと新たにこうやってバンドを続けられた。良い選択したなーってほんと感謝してるね。

ハ:うん、ほんとV/ACATIONって支えてくれる人が多いバンドだなって実感することが多い。なんだろ、自分たちってクルー感みたいなものは実は苦手で、今回、前作とは違って誰も呼ばずに自分たちだけで集中してアルバムを作った。ただ、そんな中でもDIEGOの健くんがこうやって気合を入れてくれて、ELMOのまーくんが檄を飛ばしてくれたのもそうだし、メテオナイトでトリを任せてもらえたり、周りのみんなが盛り上げてくれるのがほんとありがたい。自分たちはサウンド面で、ゴリゴリのハードコアの人から呼ばれることは少ないし、自信満々だけど自信ないみたいなところはどこかであるからさ(笑)。ほんとに盛り上げてもらってます。


インタビュー当時の編成でのライブ

そうやって刺激をくれる先輩たちや同世代の存在ってやっぱり大きいですね。そんななかで前作をリリースしてからV/ACATIONに影響を受けたって公言しているような若いバンドもけっこう増えましたよね。(インタビュー中もたまたま部屋で流していた)ロンリーとかMILK、odd eyesとか。

ハ:恐れ多いです。嬉しいしありがたい。名古屋とか京都とかでライブすると盛り上がってくれて。

今挙げたようなバンドが、シーンって言葉を使うとなんですけど注目を集めていて。彼らがバンド活動をする上で「V/ACATIONが大好きだ」っていうことを変に馴れ合うのではなくて自然に態度で示していることがすごくいいなーって思うわけですよ。

ハ:そこまで褒められてる?(笑)そうやって名前を出してくれるのを今はすごく嬉しい。ただただありがとうございますっていう気持ち 。いま名前挙げてくれたバンド全部かっこいい!

マ:うん、ほんとかっこいい。

V/ACATIONが彼らになにかをこういうもんだよっていうのを過剰に与えてたわけじゃなくて、勝手に見て勝手に感化されて、それが時間を経てお互いにバンド同士それを確かめ合っているってことが素晴らしい。

ハ:そうだったとして、まさか自分のつくったものが他人に影響を与えるなんて、思ったことなかった。

マ:そうだね。

ハ:だれかの気持ちを鼓舞する音楽をやろうって、思ってはじめてないから。お客さんが閑散としてて目の前で一人だけ暴れてるライブってアツイよねって話してたくらい (笑)。

前にステゴロ(音楽前夜社主催のバンド版Back to Back。V/ACATIONも参加)が行われた時にNBと感想を話していたんですけど、「あれは企画自体に考えがあって切り口も特殊なので一言で言い表せないけど、自分は特に盛り上がってない普段のライブ、それこそハードコアのそれなんか観たときに自分で勝手にその意思とか気迫とか姿勢を感じて持ち帰るのも個人的には好きだ」って聞いて、すごくおもしろい意見だしわかるなーって部分があったんです。そういうイズムみたいなものがV/ACATIONに影響を受けた人たち、さっき挙げたようなバンドにそれぞれちゃんと浸透しているのがいいなって感じたんですよね。

ハ:今もずっとそんなことは無いと思いますが、少しでもそういったことになっていれば光栄です。オレは逆に、前にあがったようなバンドやVOGOSからガッツをもらいました。

マ:バンド活動に関しては彼らもおれらも全く同じ立場だからね。まぁ敬語使われるくらいなもんで(笑)。MILK松原くんと「最近何聴いてんの~」っていう関係だもんね。

ハ:むしろこっちがリスペクトしているくらい。NBがやってるTHIRTY JOYもそう。単純にかっこいい!

N:ありがとうございます。

マ:友達のバンドがほんとかっこいい。たまたまなんだけど。周りがほんとおもしろいことやってて「おれ運よかったな~」って思うときは多いよ。自分も頑張ろうって思える。

ハ:PASTAFASTA、ELMO、SHUT YOUR MOUTH、OFFICE VOIDS...etc.すごいよね。

マ:あとはやっぱりLessThanTVに出会えたことも大きいよね。そこから加速した。Sun Beam Sunの企画でGOD'S GUTSも出てて、谷口さんにライブを観てかっこいいって言ってもらえたことから始まって・・・

ハ:そうやって大きく状況が変わっていったのが前作。今回は自主でのリリース。時間が経ったので、前作でできなかったことを自主で挑戦っていう気持ちになった。

具体的に前作でできなかったことっていうと?

ハ:前にできなかった、言葉と技術と考え方が5年経って追いついた感覚。自分もマツモトもオノデンも、大人になって、いるものいらないものが取捨選択できるようになった。その中でいるものに関してはきちんと愛を注げるようになった。自分たちの考えが整理できたってことかな。そこにいたちゃんとNBっていう仲間が加わったことでその純度が上がった。それを今回の音源に詰め込めたと思ってるよ。

マ:前作と違ってTAPEってことに関しては、単純にリリースまでが早いからっていう理由なんだけど、現行の海外のハードコアバンドもTAPEでのリリースも多いし、なによりアナログ物として単純に残したかったっていうところはあるかな。

ハ:単純にTAPEっていいなって思う。今回のTAPEの内容も後日ストリーミングで公開する予定なので、TAPEは欲しい人が手にしてくれたら嬉しいです。

カセットテープでのリリースは国内でもインディーシーンを中心に流行しつつありますよね。理由やその盛り上がりへの賛否はいろいろあるとは思うけど、個人的には単純にTAPE好きですね、モノとして。

ハ:いいよね。制作時に話したことで、年をとって少しずつバンドはやりづらい環境になってきてる。土日に仕事が入ることもあれば結婚や家庭のこと、複数バンドをやっている・・・単純に気持ちが付いていかない瞬間だってある。そういういろんな外的要因がある中で話しているのは「もしかしたらこれが最後の音源かもしれないね」って。だから今回特に気合いは入ってたよ。昔からそういう感覚はあったけど特に最近は覚悟がしっかり出てきた。一本一本のライブは喰いに行くつもりでやれている実感があるしね。NBどう?

N:常々そう思ってますね。やるならぶっこむしかない。

加入に関してはさっき聞いたけど、音源が完成してみての感想はどうかな?

N:GSさんがいる頃からライブでは新曲は披露し続けてたのを観ていたのと、今回のTAPEの元となったDEMO(とあるオムニバスに参加予定だった仮音源)の件も実はあったので、その名残を残したまま名古屋の夜にGSさんが去って宙ぶらりんになっていたその曲たちをこうして自分も参加して形に残せたのは個人的に嬉しいですね。「あの曲かっこいいのになんでまだ音源になってないんだよ」っていう近くで観てたからこその消化不良感が拭えました(笑)。

ハ:そうか。やっぱりそういう点では今回はマツモトが軽やかになったのも大きいのかなって思う。

「軽やか」と言うと?

ハ:僕自身はバンド活動に関して「どんどんやっちゃおう、ひとまず決めてから、じゃあここからどう動こうか?」っていうやり方をとる部分があるんだけど、マツモトは例えば「今そのタイミングじゃないよね」っていうバンド全体の意思決定の役割で、こだわりを持っているタイプだから。そういう部分でも今回はオノデンを含めて、みんな自信を持って音源を出せるって思えた。「出すなら今しかないぜ」っていう感覚だった。

マ:もどかしい思いをさせてたNBからもメンバーとして恩恵を受けて、DIEGOの健さんが背中を押してくれて。やっと最高の形でみんなに「聴いてよ」って言えるものができた。

なるほど。これまで音源制作に至る話をいろいろと聞いてきましたが、メンバーの入れ替わりや友人の後押し、バンドの状態と多くの要因がうまいこと繋がって出すべくして完成したとも言えると思います。その中でさっきも話に挙がっていたバンドを続けるには簡単ではなくなってきた今、「ライブがしたいから音源を作るのか、納得のいく音源を作りたいからバンドをやるのか」みたいに人によってバンドをすることへの感覚って様々だと思うんですが、それぞれそこに関してはどう思ってますか?

N:うーん、そうですね。やっぱり1番の要因は周りの友達がかっこいいってことが大きいですね。なにより自分の好きなことでもあるし。バンドとして友達と関わりながらお互い何かを造りあげて発信していく環境や生活サイクルが自分にとって心地いいんですよね。自分もそれに応えたいって思うし、もちろんライブも音源を作るのも好きですけど、なにより周りの友達とのそういう関わりがバンドを続ける理由かも知れないです。

ハ:スケボーとバンドどっちが楽しい?(最近NBは時間さえあれば週末にスケボーパークに通いつめている)

N:どっちもですね(笑)。どっちも欠かせないっす。

ハ:いいね(笑)。

マ:なんのためにバンドしてるのかって考えると、バンドで自己表現したいためではないなぁーって思う。じゃあなんでやってるのかっていうと単純にバンド自体が楽しいっていうことに加えて、結局スタジオやライブ終わりに飲みに行くのが楽しいんだよね。V/ACATIONってほぼ100%そのまま飲みに行くし、恥ずかしいけど恋の話もするしくだらない話もするわけよ。

恋の話が一番に挙がってますけど(笑)。

マ:するよー(笑)!恋の話も、生活の話も。おれらの歳でそういう時間を持てるのって最高だと思うよ。もちろんガンガン曲作ってガンガンライブできるならすごく楽しいだろうし、それに越したことはないけど、今回5年ぶりにはなったけどこうやって図らずとも良い状態でタイミング良くリリースが出来たのも正解だと思ってるからね。

ハ:うん、ほんとそう思うね。友達はでかい。バンドで考えると、V/ACATIONを絶対的にやりたいって思うんだけど、LessThanTVやSUPER DUMBもそうだけど、すべてのことは人と出会えるから。これは昔からずっと言い続けてて変わってない部分。しかもすごく音楽に精通している人がメンバーにひとりでもいると、その出会いの速度も加速するけど、うちの場合はマツモト、いたちゃん、NB、オノデンみんなそんなイメージ。作曲もほぼマツモトが手がけているし、アレンジもほとんど口出ししない。僕は歌詞を考えるのとライブをどうするか。100%の信頼を置いてるんで任せてる。

今回の音源を聴いて、近年一部で盛り上がりを見せているパワーバイオレンス等の流れとはまた違った、シンプルにハードコアな曲が揃っているかなぁと素人ながら感じました。音の感じもうまくまとまっていて聴きごたえがある。前作ともまた違った味わいがあると思ったんですが、そこはどうでしょう?

マ:曲に関しては前回のアルバムって幅を広げたいなって思っていろんなパターンを詰め込んだ音源で、今回は自分の思うハードコアパンクってこれだよって提示したものになったかな。さっき挙げたような友達のバンドの影響もでかいし、最近の海外のハードコアもたくさん聴いてかっこいいなって思った中で自分たちV/ACATIONとしてどうやるべきかって考えたときに、こういうハードコアをやりたいって素直に出たもの。

ハ:5年で何曲くらい作ったかな?

マ:曲の欠片みたいなものも合わせて20曲くらい?

ハ:そっか。その中で2人が入って改めてこれでやっていこうってしっくりきたのがこの8曲って感じかな。

N:そうですね、ライブでやってるのがリリース以降の曲でだいたい12、3曲なので。

マ:ちょっと前に作った曲で全然雰囲気の違う曲も実はあるんだけど、今しっくりくるのはこの曲たち。今のメンバーになってからは改めてハードコアってものを意識してるし、「V/ACATIONってどんなバンドですか?」って聞かれたらおれは「ハードコアバンドです!」って答えるし、今回は更にそれを推し進めた感覚。

ハ:そうだね!

それは十分感じられる音源になっていると思います。ではもうひとつ欠かせない軸として歌詞についても聞いていきたいんですが。1曲目はピーター・トッシュのカバー「Equal Rights」。

ハ:そうっすね。歌詞はカバーです。曲はもちろんオリジナルで。

「欲しいのは平和じゃない。平等な権利だ」っていう部分が繰り返し歌われてますね。

ハ:ピーター・トッシュ先輩の言葉の中から「底辺から見上げる景色とそうじゃない景色となんの違いがあるんだ?」っていう部分を意図的に抜き取った。最近はSUPER DUMBをやっている影響もあるんだけどレベルミュージックとしてのレゲエがしっくりきてる。いろんな選択肢がある中で自分が言葉を借りるなら感覚的にしっくりきたのがピーター・トッシュの「Equal Rights」。やっぱり3.11以降、自分も、周りの人も、考え方に変化があって、それを切り取りたいっていう部分は確かにある。

そうですね。世の中の動きとそれぞれのアクションが問われてるのがまさに今だと思うんですよね。人それぞれ考えは違うけど。そこを切り取りたいって思った一部分がこの曲なんですね。

ハ:うん、4曲目の「360°」もそう。あれは声をあげている人たちの景色を歌った曲。1st.って意識的に今話したようなことは切り離していて、さっき話してたような「友達とどうした」とかを主に歌ってるんですよ。じゃあなんで今回こういう歌詞の曲があるかっていうと単純に僕らの生活の延長上にそういうものが出てきた、それだけの話。抱えている違和感やいろんなものに参加している景色は僕らの生活だから切り取りたい。それだけだね。

マ:SEALDsが言ってることともそう大きくは変わらないんじゃないかな。細かい事を言うと難しい話になるかもしれないけど、「民主主義ってなんだ?」って言われて生活の延長線上のことだなって遅いかもしれないけどこうやって普通に暮らしていても気づかされたし。周りのアクションも含めてね。そういう面がでかい。自分は歌詞は書いてないけど。

ハ:3.11以降に好きになったものもたくさんあるし、それとは逆に「音楽とそのことは関係なくない?」って煙たくなって遠ざかったものだってもちろんあるからね。

「360°」この曲はA PAGE OF PUNKとハタノさんでライブで何度か披露しているものが元になっているってことでいいんですかね?

ハ:そうだね。まずV/ACATIONの曲づくりは曲が先で。基本的にマツモトが書いた曲におれが歌詞を書くんだけど、ちょうどその曲を作っているタイミングがアペイジと一緒にやった時期に重なって、その時に考えていたことをV/ACATIONで解釈して曲に乗せたらこうなった。

マ:曲も断片だったりワンフレーズだったりを与えて、後はメンバー個人に完全に投げちゃうね。そこは完全に信頼しているのと、持ち寄った時にそう来るのか!って変化しているのもおもしろいからそのスタンスはずっと変わってないよ。

「フェンスを越えて」。この曲はリード的な部分も感じてるんですが。

マ:今回の中で一番古い曲じゃない?3~4年前くらいかな。

ハ:前作以降、こんな感じでいきたいねってこれからの指標みたいになった曲かもしれない。V/ACATIONが外音で気にしているのはギター・ボーカル・ドラムのタムなんだけど、そのドラムのタムのドカドカしてて踊れるかっこよさみたいな部分をオノデラのクセを活かしてうまく仕上がった曲。この曲できた時に一歩進んだ気がしたかも。

N:そうですね。あのビートかっこいいんですよね、やっぱり独特で。

ハ:歌詞も移行期。内なるものから外に開けた時期だったと思うんだよね。その頃ちょうどHIRATUKA DECODERが音源を出した時で、ハードコアマナーに縛られない自由度がすごくかっこいいし感銘を受けたからその影響もあるね。景色が広がるような歌詞。

マ:曲で言えばMINUTEMENをすごくハードコアにしたイメージなんだけどね。

ハ:そうだったんだ(笑)!すごくハードコア然としてるじゃん。

「Still night、Throw stone」これも同時期くらいにやり始めた曲ですかね。

ハ:そうだね。この歌詞はまだはっきりとはしていない違和感を打ち出した曲。実は歌詞を全部は掲載していなくて、「夜のうちに腰をかがめて暗闇に紛れて石を投げつけろ」という内容。時期的に「360°」とかに対して見るとビジョンも薄いけどなにか気持ちの上での違和感はある。当時そう思ったから書いた歌詞だけど、それは今も思ってるね。盛り上がる曲じゃないかもしれないけど、この曲から歌詞は変わっていきました。

N:そうですか?おれは盛り上がってましたけどね。

おれもこの曲結構ライブでのハイライトのひとつですけど。

ハ:あれ?そっかそっか(笑)。マツモトもこの曲をライブで大事なところに置きたがるんだよなぁ。そういう曲です。

「Vacant or Action」は今回のタイトルにもなっている曲ですけど、この言葉っていつ頃から使うようになりましたっけ?

ハ:えーっとね、まずハードコアパンクのバンドはバンド名が命だから「お前らViolence Anarchy Actionにしろ」って話を結成当初からアペイジのツトム君にされてたんだけど、全然しっくり来なくて。言ってることはすごいわかるんだけどね。「/(スラッシュ)」もただ目立ちたい一心で意味はなかったし。そうやってぼんやり生活している中である日ふと「Vacant or Action=からっぽか行動するかそのどちらか」っていう解釈がすごくいいなって思いついたんだよね。

こっちの意味の方がすごくV/ACATIONにしっくりくるなって感じましたね。本質を上手く表してるというか。曲は一転して今回の中でいうとパワーバイオレンスの要素もある曲だと思うんですが。

マ:前メンバーGSが持ってきたフレーズをきっかけに・・・だいぶ手直しした・・・(笑)

ハ:これはたぶんELMOとかYoung Lizardに影響されたわけじゃないけど、最近盛り上がっているパワーバイオレンスのシーンを少し意識したのかな?

マ:そうだね。ちょっと一回そういう曲も試しにやってみようかって時期だったし、GSの意図はそうだったかもね。

N:GSさんそういうの好きですもん。南米モノとか。

マ:南米ハードコアね、ブラジルとか(笑)。

「All Over」は重厚なインストナンバーですね。かっこいい!

ハ:これは作曲に加えてタイトルもマツモト作です。

マ:曲に関してはBLACKFLAG後期を意識したかな。Loose Nut(1985)とか。昔作ったお蔵入りの曲を今の感じでやってみたらうまくハマった曲。そうそう、今回のジャケットのイラストは自分で描いたんだけど、1週間くらいしか猶予がないのにまともに絵なんて描いたことなかったからどうしようかすごく悩んだんだよね。好きなアメリカの画家にジャクソン・ポロック(抽象表現主義の代表的な画家であり、彼の作法はアクション・ペインティングとも呼ばれた)っていう人がいて、キャンバスに絵の具を叩きつけるような画風だから、簡単なものではないだろうけどこれなら感覚的に挑戦できるかなって思って描いてみた。その画風のことをAll Overって呼ぶところからタイトルをつけたんだけど、単純に言葉として「全て超えていく」っていう意味もかっこいいし、もうひとつ「どっちでもいいぜ、気を楽にしようぜ」っていう意味もあったりして今の自分の気持ちにピッタリハマったんだよ。ハードコアとしてしっかりしていたいって気持ちはずっとあるんだけど、気楽に音楽を楽しみたいっていう感覚もあるからね。そういう経緯もあるから今回の音源のタイトルにもしたかったんだけどハタノくんと会議した結果、却下されました(笑)。

ハ:悪くないんだけどね!この言葉一つだと意味が通じにくいからさぁ。まぁこういう二人の歪みみたいなものがあるのもV/ACATIONの関係性のおもしろいところだと思ってもらえると。こないだマツモトに言われたんだけど「この10年間毎週ハタノ君に会ってるのか~気持ちわるいな(笑)」って。2人でゴハン行ったりしたことなんて数えるくらいしかないし、ここ数年のことだけど。

マ:それもだいたい大勢で飲んでて、最後まで残るのがおれらくらいっていう理由だからね。付き合い良いんだもん、ハタノくん(笑)。そういうおれもだけど。あ、ここにもいたわ(NB)付き合い良いやつ!

ハ:あはは、根の部分でのマインドは一緒なんだけど、アウトプットがぞれぞれ違うからおもしろいし、刺激し合いながらこやって進んできたところはバンドにとって大きいと思うな、うん。

「Do or Do not」わかりやすくタイトルで言いたいこと言ってるのかなーと思ったんですが。

ハ:ボーカル的には今回の音源での推し曲はこれ!今回のカセットを聴いていただいているみなさんに、「V/ACATIONはどう?」って聞かれたら「この曲ですよ!」って僕は答えます!

マ:個人的には1曲目の「Equal Rights」なんだけどなぁ。

N:おれもそうですね。

・・・なんかバラバラで使いにくいなーここ(笑)!

一同:(笑)

ハ:それもいいんじゃない?人それぞれだしね(笑)。この曲のイントロにこのカセットで言いたいことが全部詰まってて、「Do or Do not=要はやるかやらないか」つまりVacant or Actionなんだよ。

歌詞を読み進めて聴いているとそのテーマみたいなものが今回のカセット全体に通じていて、それを端的に歌っているのがこの曲なのかなと思いました。

ハ:そうだね。「どうして君は「やる」ことを選ばないの?」とも歌っているけど、これはたいそうに誰かに訴えているわけでもなくて、自分に投げかけている言葉かと。自戒の念を込めて。人に言う言葉は結局自分に返ってくるものだし。心意気の曲だと思ってます。

マ:なんとなくだけど、さっきの話を聞いてたらこの「Equal Rights」や「360°」と同じ並びなのかと思ってたんだけどまた少し違うんだね。「政治的」っていうと語弊があるんだけどさ。

ハ:それらの曲も含めて、政治的なことを歌っているつもりは一切ないけど。ひとつひとつ、その曲(歌詞)が生まれる着想がどこにあるかが違うだけで。

インタビューをするとメンバーでも小さな発見があったりしますね。ラストを飾る咆吼のようなショートチューン「BomB Shit」に関しても気づいたことがあったんですけど、前作「with V/ACATION」のラストの曲も「GS」になっていてどちらも主役がベーシストになってますが・・・

ハ:おぉーーー!確かに!そうだったね。

っていうことは狙いではなかったんですね(笑)。

ハ:意識してなかったけどそうなってたね。

マ:レコーディング前最後のスタジオでNBに無茶ぶりしてみんなで勢いで作った曲だわ。その感じがすごく良かったなって思う。

最後の最後、この5人での空気感みたいなものがうまくパッケージできたのかもしれませんね。

ハ:あとは、右と左でボーカル100%で振ってるんで僕とNBのボーカルを聞き分けてみてもらえると。NBはTHIRTY JOYのボーカルもかっこいいから。そしておれたちはこの世の中のすべてのBombに反対してるぜ!ってね。

一同:(笑)

(注:金曜の深夜3時頃、疲れ果てた週末に酒を片手に既に数時間経過しているテンションです)

N:Bombはスラングで最高って意味っていうのもあって・・・That like a Bomb shit!・・・

・・・自分の曲なのにようやく口を開いたらこの調子だ(笑)

一同:(苦笑)

N:とにかく「それ最高だよクソが!」って歌ってますね。いやとにかくすぐ完成してこうして音源に残せて良かったです。

ハ:こうやって振り返ると歌詞は全体的に1st.からだいぶ変わったね。もっといろんな方向に寄せることはできたけど。例えばSUPER DUMBの様にもっと感覚的に自由にも寄せたり、「極東戦線異状なし!?」のソウルフラワーユニオンの歌詞みたいに自由さを保ちながらそっちに寄せることも憧れる。でも今の僕もバンドの気持ちもきっとこれくらい。そういう歌詞が書けたんで、よかったです。

N:THIRTY JOYで自分が歌ってることも生活のこととか身の回りのこと。それが結局いろんな問題に直結するんで。唐突なことなんてそういう生活してないと歌えないっすよ。だから今回もV/ACATIONして今の自分たちが出せたカセットになったと思います。

マ:今のタイミングで言うのも何なんだけどOFFICE VOIDSのユウマくんにはほんとお世話になったから感謝を伝えたい。

POSTERも含めてバンド自体もかっこいいし、個人でもLessThanTV周りだけじゃなくkillerpassやhomecomingsのジャケットやグッズを手がけたり大活躍ですよね。

マ:うん。今回はデザインを担当してくれたんだけどユウマくんがいなかったらこんなに急なリリースが実現することはなかったから、昔からお世話になってるけど改めて感謝してる。なんて言うんだろ?BIG UPって感じです!

ハ:ヤーマン!

以前インタビューで「自分たちは友達や目の前の100人、200人に向けてバンドをやっている。それは単純に楽しいこと、呼んでくれたり褒めてくれたら嬉しいし、出会って繋がって刺激を受け合えるし、地方や台湾なんかにも新しい動きが出てくることがおもしろいから。」というようなことを言っていたんですが数年経って考えに変化はあったりしますか?

ハ:なんでバンドをやってるかって言ったらやっぱり「出会えるから」っていうのはまず第一でそこは変わってない。たださっきも話したように自分たちも歳を食って外的要因も増えてきたから、バンドを続けるってことの中には楽しいことだけじゃなくてはキツいことも増えたよね。ダサいこと言うなら金も時間も労力もかかる。距離だってある。人が動くってそういうこと。そうは言ってもさ、なによりバンドって楽しいからそれはそれで受け止めてなんかこう、どうにかしてやっていきたい。そういうスタンスでいる分、人前に出た時っていうのはとにかく気合が入ってるし、東京でやろうが名古屋・大阪だろうが台湾だろうがいつだってどのバンドにも負けないライブをしようと思ってるよ。うまく言えないけど。

V/ACATIONのライブは他のバンドとは違う空気っていうものが確実に醸し出されてると思いますよ。つまりはバンドをやる目的や姿勢は変わっていないけど難しいことも目の前に増えてきた分、前よりが意思が強くなってきたっていうことですかね。

ハ:というよりは僕ら、小さなもんでも、もう一歩進んでやろうよってだけ(笑)。

マ:そうだね、最近はとにかくV/ACATIONらしくやっていこうよって思ってる。それに尽きるな。

ハ: V/ACATIONらしさっていうのが意識せずに出てきたと思ってるよ。ひとつひとつのことにいろいろ試行錯誤はして。ただ、自分は前しか見てないし、いつだっておれたちは最強だ!って思ってるから振り返ったことがない。だって後ろには信頼してるメンバーがいるからね。

マ:昔はいろんなバンドに対しての憧れでやってた部分が大きくて。U.G MANに似てるとか80sハードコアみたいだとか言われるのは憧れてるし好きだからいいんだけど、今はそれだけじゃなくてV/ACATIONらしさが無意識ではなくて意識的に実感できるようになってきた。ハタノくんはそう言うけど、メンバーそれぞれおれが思っている以上に、「V/ACATIONらしさってこれでしょ?」って持ち寄ってくれて、それが組み合わさって自分の思惑を外れたところでグチャグチャになっている感じ。みんな勝手だけどうまくまとまってる。そんな今の状態がすごくいいなって我ながら思ってるんだ。自分らしさじゃなくて、あくまでV/ACATIONらしさ。

ハ:時代の流れの中でうねってるバンドだからいいよね、おれら。

マ:ほら、すぐこういうこと言うじゃん(笑)。そこがおもしろいんだけど。

ハ:いやいや、それなりにいろんなバンドやってきたけど実際そう思うよ。偉そうなことじゃなくて。俺の好きなバンドはそうだったし。U.G MAN、EXCLAME、STRUGGLE FOR PRIDE・・・。全部うねりの渦中にいるバンドだったし、おれらもそう、思いめぐらせてるから。

その混沌とした時代の中できちんと自分たちの手で「今」を捉えているバンドだと思いますよ、V/ACATIONは。

ハ:そうあれたらありがたいよね。

(TAPE制作作業を手伝いに来ていた)RITAくんはどう思う?V/ACATIONについて。

R:えぇーそうだなぁ。おもしろい人たちばっかだなって思いますよ。自分のことしか考えてない人たちばっかりだけどチームワークとるんだなぁって(笑)。

マ:チームワークとってるフリだけどね。そういうのもっと言ってよ(笑)。

R:あと言いたいのはマツモトさんと約束しても全然飲みに行けてないことくらいです!

ハ:最近、 RITAと呑んでて、V/ACATIONが刺さってないようなので(笑)、友達にバシっと刺さるようにがんばります!

マ:でもそれがうちらのテーマだよね。100人が聴いて100人に絶賛されるようなバンドややり方ではないと思うけど、身近な誰か一人でもうちらの音楽に触れて好きになってくれる人がいてくれたら嬉しい。今回のタイトルを使わせてもらうなら、そこからなにかアクションを起こしてくれたらなにも言うことはないよ。まさにBig Boysの「start your own band」みたいなイメージ。

ハ:「バンドはじめようぜ!」なんてメッセージは言ったことないけど、根は同じだよね。せっかくこんなおもしろいこと知ったなら何かやってみたらいいのにって結構本気で思ってるよ。

最後、NBからもなにか締めの一言ありますか?これが脱退前最後に。

N:ずっと考えてたんですけど、うまくまとまらなくて。そうですね、V/ACATIONとは結婚できなかったので、これからはパートナーじゃないけどTHIRTY JOYでいつでも近くにいる存在として接していきたいですね。

一同:(笑)

マ:え、わかんないわかんない(笑)!誰か説明してよ、これ。セフレとかそういう都合いい関係なの?

N:いや、永遠のご近所さんみたいな関係でいれたらなって。

マ:困ってる時に醤油を気軽に貸しあうような仲ってこと(笑)?

N:伝えるの難しいですね・・・すいません(笑)。

ハ:(呆れた様子で)えーっとこんな感じで僕らは昔と変わらずバカみたいにやってます(笑)。今回の音源を聴いてくれた友達から、褒め言葉をもらったのはきっと今までモヤっとしていた言いたかったことがギュっとしたからなのかなって思う。ただ根の部分は僕ら何も変わってない。

マ:今回はうるさい部分とメッセージ的なコアな部分を抽出したと思うから、NBが抜けて4人になったらもっとわけわかんない音源も作りたいね(笑)。

ハ:みんなを裏切るような活動をしていきたいね。そういうわけで2015年11月11日BlackFlagの日にリリースの「Vacant or Action」は今言いたいことが最大限詰まったものになってます!自信作!どうぞよろしくお願いします!

マ:さぁ、じゃあ最後ガッと飲んで、残りのTAPE制作片付けたら寝ますかー!

2015年10月 秘密基地 LUV 6 HAUSにて

あとがき

その後はBassに旧知の仲であるshipyardsのシノザワが加入し、2016年もライブを継続中。近々、春までの潜伏期間前最後のライブをOFFICE VOIDSレコ発にて行うようです。メンバーそれぞれもいろいろと現在の心境の変化はあるだろうけど、みなさんもこの機会にもう一度”Vacant or action”を聴き直してみてはどうだろうか。


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