2000年代の話である。

新疆ウイグル自治区のウルムチには過去4回行ったが4回とも鉄道駅近く新疆飯店（参考）のドミトリーにとまった。

一泊確か30元くらいだったような気がする。

このホテルは最近の地球の歩き方には載っていない。ドミトリーはやめてしまったのかもしれない。

真冬のウルムチはマイナス20度とかになるが室内は暖房がきいて快適だった。ただ、シャワーを使うのが難しかった。ここのドミトリーの共用シャワーは上からパイプが直に下を向いていて（蛇口の水を上から浴びるイメージ）パイプの向こうに湯と水のひねる部分があった。湯をひねってもすぐにはでてこない。上から出てくる水をさけながら湯になるのを待たなければならない。外よりはマシだがやたら寒いシャワー室は修行でもあった。

あるときコルラからバスでウルムチに到着しここのドミトリーにつくと普段はほかの客がいないドミトリーに案内されるのに、ベッド4台の部屋に日本人男性が2人いる部屋を指定された。外国人を一部屋に集めたかったのかもしれない。ひとりはパキスタンからチャリで来た人、もうひとりは大量の荷物を持って（炊飯器とかカバンに入ってる）カザフスタン経由でロシアに行くという人だった。この人は旅行のガイド本を作っている人でアゼルバイジャンの飛び地の話とかいろいろ面白い話を聞いたのだが、驚いたのは僕の言ってた小学校の隣の小学校の卒業だったことだ。外国で会う日本人で長崎出身の人には全く遭遇しなかったので驚いた。

この人が近くに電気市場があるからエロVCDを買いに行こうという。私たちは3人で電気市場に向かった。

当時中国ではDVDのほかにVCD（ビデオCD）が売られていて割とメジャーな存在だった。エロVCDは違法なので僕がいた蘭州では、もう忘れてしまったがたしか二級品とかそういう隠語を使って、あるかどうか聞くと店の奥に案内され床のカーペットの下とかに隠されている箱に入ったVCDを見せてくれた。パッケージとかはなくディスクに中国語のタイトルと写真とかが印刷されている。中身はほぼ日本の製品の海賊版である。

ウルムチの電気市場でもたぶん同じようなシステムだったと思う。「韓国美少女」という文字と写真が印刷されたVCDを見つけた。韓国人のエロVCDがあるなら買ってみるかということになった。

その人は荷物を大量に持っていたので当然VCDプレイヤーも持っていた。

さっそく「韓国美少女」を再生してみる。セーラー服着た女の人と金髪の女王様（SMのほう）みたいな衣装の女の人が出てくる。女王様が「ちゃんとご奉仕するんだよ！！！」と怒鳴り散らす。

私たちは韓国美少女じゃなかったのでがっかりしたが、中国だしそんなもんかとも思った。

これがその時の写真である。

右がパキスタンからチャリで来た人

左が荷物多い人

コルラからウルムチのバスについてだが、このバスに乗った時露天トイレを体験した。荒野に穴が掘ってありその穴にコンクリート板が渡してあるシステムだった。冬のウイグル自治区は基本的に氷点下である。皆似たような位置で用を足すので汚物が凍って柱のようになっていて板よりも上まで来ていた。男女の仕切りと周囲は一応きちんと壁になってはいたが屋根はなかった。当然隣の人民との仕切りはない。極寒の荒野の強風の中で用を足すのはなかなかの体験だった。さすがに写真は撮らなかった。