見出し画像

千文字夢日記1:金剛紅蓮魔境

久しぶりに美しいけど怖い夢見た。
せっかくなので書き出してみる。千文字夢日記のルールは緩め。区切り線内の本文が二千字超えなければセーフ。


夕暮れ時、山に囲まれた田舎町。

麓から柵のない単線の鉄道が伸びている。その周辺になぜか人々が大勢集結していた。私も家族と一緒に訳も分からずそこに居た。首を傾げていると山側の数キロ先の平地で爆発があり、大きな煙と共にマグマが噴出。呆気にとられていると山の麓の線路からいきなり炎に包まれた「機関車」が現れ、猛スピードで迫って来て目の前で停車する。客車に目線を向けると屋根も壁も無く、白い煙に巻かれたまま座席に座る「白い」屍達。集結していた人々がパニックになり走り出す。私と一緒に居た家族達数人とはぐれないように手を繋いで走ったが人波に揉まれて二手に分かれてしまった。
そこで一旦視界がホワイトアウトし、次の瞬間には、大勢の人が誘われるように山の地中へ続く鮮やかな赤色のシェルターらしき入り口へ飛び込んでいて、自分達もそれに続いた。中はコンクリートで整備されていて電気も通ってる。流されるままに一本道。奥へ向かうとやがて自然の洞窟が出現するが、どうも様子が違う。

洞窟の入り口が有機的などろりとした紅い物体で縁取られ、空間は一軒家2階建くらいの広さだろうか。しかしそれ以上に奇妙なのは、凸凹した壁一面がダイヤモンドのように乱反射で輝き、隙間を埋めるように粘度のある紅い血液のようなナニカが歪な菱形の網目状に広がっていた。異様な光景にも関わらず吸い込まれるように皆が洞窟に入り込む。

無条件に人間を惹きつける眩さ、
どんより漂う不穏感。


人々が壁面の煌めきに惑わされているうちに、不穏感は現実のものになる。


なんとダイヤモンドの輝きの奥から無数の瞳が浮き上がり、紅い網目が一斉に瞬きをし始めたのだ。一つの網目に一つの瞳。それが天井や壁いっぱいに突如犇めく様は皆を酷く怯えさせ、耳を劈くほどの金切り声で叫んだ何人かは無数の金剛の瞳の縁から伸びる「紅いまつ毛」に絡め取られ、暴れる隙も与えられずにあの細い網目の中に取り込まれてしまった。それを見て恐怖に駆られた誰か達が我先にと逃げ出し始める。押し流されて洞窟の入り口から出るとさらに異変が起きていた。一本道だったはずなのに、分かれ道や階段、部屋と思わしき空間が広がっているではないか。しかし立ち止まって考える事は許されず、悲鳴を挙げながら逃げ惑う者達と一緒に飛び出し走り続けた。ほとんどの人が我を忘れて散り散りの方向へ逃げ去る中、走りながら周りを観察すると、一定以上の大きさ或いは高さの声を出した者だけがダイヤの瞳に追われ紅いまつ毛に捕獲される共通点に気づき足を止める。いつの間にか壁と天井には確かに紅い網目が全体に広がっていて、その中を自在に移動するダイヤの瞳。自分のすぐそばの壁と天井を見上げると私の周りだけが黄色や明るい青色のグラデーションの網目に変化しており、眩い瞳達も近づいてくる様子が無かった。動くと再び紅い網目に戻るが襲っては来ない。

なるほど、「監視網」というわけか。そう納得すると心が少し落ち着きを取り戻し、出口を探して再び走り始める。分かれ道も階段も部屋も全部無視して来た道であろう真ん中の道を頼りに出口の方向に進む。洞窟から確実に遠ざかっているはずなのに、逃げ惑う人と度々遭遇する。別の道を選んでも、生き残った人はどういう訳か真ん中の道まで戻って来てしまうようだ。何人かと並走していると、通路の奥に紅い光が見えた。

「出口だ!」

誰かがそう叫ぶと、紅い光はなぜか徐に形を変え始めた。気づくと広かった空間は一本道に戻り、走るほどに近づく紅い光は少し大きめの四角い炭鉱出入り口のような形に変化し、木枠は真っ赤に燃え盛る炎に包まれていた。出入り口の真ん中からは太陽の白い光が差し込み、青々とした木々が揺らいでいる。高まる期待が生存者のラストスパートに「火」を付けた。一刻も早く異様な空間から抜け出したい一心で3人ほどが集団を離れ、数十メートル先の「出口」に到達し、炎の門をくぐり抜け、外の世界へ飛び込んで姿が消える。

近づくほどに外の景色がゆらゆらする。きっと謎の炎の門から発される熱のせいだ。

あと数メートルという所で私はもう一つの変化に目を見張った。炎の門のすぐ上に炎のまつ毛をまとった大きなダイヤモンドの瞳が2つ現れ、こちらを見据えている。生存者達が外に消え行く様を見ている。立ち止まるにはもう遅かった。身体は外の景色の方へ吸い寄せられ、門を通過したと同時にジュッっという音が響き、全身が白い灰の塊になる。


「そうか、帰還者だから機関車に乗って戻って来たんだ…」

白い屍達を思い出しながら意識は途切れた。



ここまで鮮明にはっきり覚えてる夢は珍しいので、楽しくてつい多少脚色しながら書いたら危うく二千字超えそうになりました。
夢日記への感想やツッコミなどございましたら、お気軽にコメント欄へどうぞ!!お待ちしています♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?