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なんということない休日

朝ゆっくり起きて、洗たくと掃除を終えると、特に予定のない休日。
夫が近所の大きなイチョウを見に行かない?と誘ってきた。
車でほんの数十分のところにあるお寺に、そのイチョウがあるという。

ふだん着のままで出かけようかとも思ったけれど、履きたい靴には今身につけているスカートでは少しおかしい気がして、別のスカートに着がえた。
化粧はいつも夫が運転する車の中と決めている。
出かけようと決めて十分後には車の中でリップクリームをぬっていた。

近所なのに今まで行ったことのないお寺で、参道の両脇には背の高い木が色づいて立ち並んでいる。

いい空気が流れている。
お寺や神社に立ち寄ることはわりと好きだけれど、好きな場所と、そうでない場所がある。なんというか、その場の空気感。有名な神社でもまったく清々しく感じられなかったり、逆に人のあまり来なさそうな古びた場所が気に入ったり。

わたしにはスピリチュアルの才はないのでそれとは違う。ただその場の空気、としか言いようがない。自分の体調や天気にも左右されているのだろう。その程度のこと。
ともあれ、このお寺は気に入った。

お目当のイチョウは山門をくぐるとすぐにあった。
大きい。
木の幹は目通り幹囲7m。根廻り約11m。高さは 約20m。わたしの首をぐいっと持ち上げなければてっぺんが見えない。
目通り幹囲ということばをここで初めて知った。人の目で計ったもの、ということらしい。神聖だから巻き尺なんかあてないのかしら。
樹齢は約800年という。
大きなおおきなイチョウで、枝が四方八方に逞しく伸びている。美しい木だ。
生命力に圧倒される。

木を眺めることは気持ちよくて好きだ。いつもわりと長いことその場にいる。
何をするわけでもない。
たいていはただぼーっと眺めている。
大きいなー。あー、こんなところに大きなうろがあるのに、よく生きのびているねー。別の植物がこんなにからまってる。根が大きく張って力強いなー。
そんなことを感じながら、空が青いなーとか、この角度が美しいなぁとか、ただ眺める。

夫も似たような感じで、二人してぼーっと眺めている。


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