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0円生活を終えて展(ワタナベモモコさん)-バイソンギャラリーと合同会社廃屋西村組

2022年8月27日。TEDexKOBEで気になっていたコミューンのような場所(※安直に定義できないためコミューンのような場所と記載。オルタナティブスペースにようでもあるけれど、現代社会から積極的に脱しているようで、かつ独自の自治みたいなことが感じられたのでコミューンのようなものとしている)を作っているような法人が運営するギャラリーへ。0円で生活をしていた作家の生活を振り返るような展覧会で、お金と生活に関わることを考えさせられた。

生活空間が展示空間で、暮らしの中にお邪魔するような感覚

作者はワタナベモモコさん。ギャラリーというか、このコミューン全体に彼女の0円生活時代の日記が展示されていて(おそらく100以上だと思います)、(ほぼ)0円生活で感じたことが記載されている。
その中には、人間関係なども関わることも記載されていた。全てをじっくり読めていないが、0円生活は街で暮らす大多数の人にはおすすめできないけれども、現代社会に違和感を感じている人には、快適(おそらくこのコミューンのような場所)なのかもしれない。それは、社会に組み込まれることを苦痛に感じることから脱して(現在受講中の「共生と分有のトポス」の参考資料として共有された上野千鶴子さんが語っていた脱社会の考えから引用)いるのだけれども、致命的な不利益を被っていない状態。※ときどき現代社会で暮らす知人からマウントのようなものを取られる精神的苦痛はあるけれど、社会の制度から(住むところがあり、食べることができ、生きていける)不利益を受けることはほとんどなさそう。

コミューンのような場所の一角にあるバイソンギャラリー内では、お金と暮らしについて作者がアンケートをとった集計結果が展示されていた。

綺麗なギャラリーですが、このコミューンはコミュニティ崩壊が起こりかけている地域の空き家や廃屋を合同会社が買い取って、リノベーションしている。リノベーションの建材は潰されるモデルハウスに2tトラックで乗り付けて無償で資材を引き取って再利用しているそう。
「破壊と再生」みたいなことをテーマに制作をしている作家さんがいるけれど、このコミューンは家屋とコミュニティの「破壊と再生」みたいなことをしていて、とても興味深い。ギャラリーの2階がアーティストの滞在スペースとなっておりアーティストインレジデンスも行なっているため、滞在制作、発表までできる。

作者のモモコさんとお会いでき、ひととおり見た後に、実際に生活している部屋も見せてくれた。
2畳ほどの空間には机と寝床のようなもの、手紙などがあった。あまりにもプライベートな空間だったので、鑑賞するのが憚られた。手紙も少し読んでしまったけれど、こんなにプライベートをさらけ出しているにも関わらず、なんにも気にしていないように感じられ、シェアハウスの住人と子猫の写真をずっと撮っておられた。
見ず知らずの人間が(お客さんではあるけれど)、プライベートの空間にいて、とんでもなく自然体だった。同居している住人の方も、一切の緊張感もなく、なんだったら住人のひとりに接するような(敬語でしたが)対応で、かつ作品についてどんなことも聞ける雰囲気で、鍋を囲んで好き勝手に作品について話せるような空間で、究極の対話型鑑賞のように感じられた。

このコミューンは現代社会に違和感を感じていて、社会から外れた人のために存在するような空間かもしれない。社会に包摂されず、かといって反社会的な活動も行わず、積極的に現代社会から外れて、独自の自治区を築いて幸せのようなものを探っているような気がした。

9月1日のクロージングパーティでは誰でも無料でご飯が食べられるそう。

【展覧会情報】

コミューンのようなものの周りは、空き家もあれば、高齢化が進んでいる地域。坂の上の方で、道も狭いため住人が少なくなっているように感じた。坂の中腹から下にかけては若い人たちも暮らしていると思われる。

建材と廃材、家具類などがエリアに点在している。カオスな空間に見えるけれど、設計図のようなものではなく「ここにこれを使う」みたいにわかりやすく置いていって、いつでも作業に取り掛かれるようにしているのかもしれない。
展示空間はこのような場所に、パネルを使って展示されている。

作者の住居:シェアスペース
このあたりいったいを買い足していってコミューンのようなものを形成している


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