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【映画履歴】『ゴジラ-1.0』を観る

 ゴジラは『ゴジラ対メカゴジラ』以降はおそらく全てリアルタイムで観てきたと思う。今回の『ゴジラ-1.0』が30作目で日本版のゴジラは全作品を観ています。
 『ゴジラ-1.0』の作品評価は観る人それぞれなので何も言うつもりはありませんが、太平洋戦争末期から戦後を舞台にしている作品について思うところがありました。
 私の両親は戦時中に幼少期を過ごしています。私はその子供世代となるので、少なくともリアルな戦争体験者が身近にいました。あともう少ししたら太平洋戦争を知っていた世代はいなくなり、本当に「戦争を知らない」世代だけになるんだなと思ったのです。それはつまりリアルではない戦争観の表現をこれからは観ることになるんだろうなと。。。

 自分が時代小説を書いていて思うのですが、どこまで人物描写や感情表現を深掘りすればリアルになるのだろうと考えています。それは表現すべき時代背景が純然たる歴史になっているからです。
 紋切り型の表現が作品の魅力を醸し出すか、どこかで見た既視感のあるもので終わるかのその線引きは、作り手と読み手に委ねられることにはなるのですが、意識しなければならないことだと考えています。

 歴史となるかならないかの過渡期である昭和初期を舞台にした『ゴジラ-1.0』の魅力は映像のリアルさにあることは間違いありません。初代ゴジラで表現できなかったことがCGで可能になりゴジラ自身の魅力はフルマックスで表現できるようになっています。それに対する物語がどこまでオリジナルを凌駕することができるか、またその必要があるのか。初代ゴジラの制作された頃はまだ太平洋戦争という時代背景が純然たる当時の今につながっていて、今回の『ゴジラ-1.0』とは異なっているからです。それはリメイク作品やシリーズ作品に課せられた命題だと思います。『シン・ゴジラ』はその両方の答えをとりあえず出した作品だったと考えています。
 それに続く本作では『シン・ゴジラ』と違う土俵での作品表現を目指したとのことですが、登場人物やセリフがステレオタイプ(紋切り型)だと感じる演出やセリフ表現をとても強く感じてしまいました。破壊的な魅力をもつゴジラというキャラの存在がその既視感すら吹き飛ばしてくれますが。。。
 つまるところ、鑑賞後に思考したことは、怪獣映画のゴジラやウルトラマン、仮面ライダー、マジンガーZ、鉄腕アトム、ゾンビなど、それ以降の物語のオリジナルとなるキャラクターを創造した先駆者のように、多くの物語をつくりたいと思わせる魅力あるキャラクターを創造したいなと思った次第です。

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