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東京砂漠なう

noteにログインするIDとパスワードを忘れてはや二年経つわけだが、過去に自分が書いた記事を見てかなり自分の価値観が変化したことに驚いている。

三日坊主が五日坊主になり早々に途切れてしまった記事を書いていたのは大学一年生の時で、新宿と池袋へ行った日に首を捻じ曲げ高いビルをぎょろぎょろしていた頃だ。

気がつけば大学3年生。就活という名の終わりが見えないふるいに揺られ、スーツ姿を見れば無意識に幸せを祈るようになった。


当然、恋愛への価値観も変わるというものである。

キスをするのにバンジーを飛び降りていた女は、今や告白してきた男の名前を覚えていられなくなった。

虚しいものである。

誰よりもこの世で私が一番虚しい。
やさぐれた気持ちのままヘソ出しのシャツを着て講義を受けたら教授に注意された。
服装で怒られたのは高校生以来だが、それが嬉しく感じるほどに虚しいのだ。


モテ期というものは本当にあるようで、大学2年に突如吹き荒れた春風は台風となって私の大学生活を巻き取っていった。
要するにモテた。
それは純粋に嬉しみである。
モテて嬉しくないやつおるんか。

しかし当たり前だがその心を受け取れる相手もいれば受け取れない相手もいる。
そのことに後ろ髪を引かれて引かれて、もうハゲ間近である。
生まれた時からモッテモテなアイドル人生なら断ることも手慣れたものなのだろうが、何しろ不器用代表なのでそうはいかない。

一人一人、気の許せる異性が「気のある異性」となって散っていく。
もちろん、中には仲良くなりたいと思ってそばにいた人もいる。

でもそうじゃなくて、ただ一緒に遊びにいって「肉まんが熱すぎる!!」と文句を言い合えるだけの誰かが欲しかっただけなのに。

「振っちゃったんだからしょうがないじゃん」

知ってんねん。そんなん。
そんな答えはいらんのだよ。

どうにもならんと知っている。
疎遠になりたくなくてもどんな風に距離を詰め直すか迷って、迷ってやめてしまう。

もっと自信満々ならいいのに。


告白してくる男が二桁を超えたあたりから流れ作業のような気持ちが生まれ始めた。
あー今日この感じはくるな、とか。
断り方どうしようかな、とか。
その瞬間楽しいはずの時間がすりガラスを被ったように薄曇りになる。
そして砕かれるのだ。
その子だけじゃない。
私も。

どうか告白される人間が喜びばかり感じていると思わないで欲しい。
誰かは恋心を失い、誰かは信じて安心できる友人を失うのだから。

キスもハグも、こうなってくると本当の多幸感なんて幻だと思えてくる。
言ってしまえばその先のことだって、粘膜のすり合わせに過ぎないのだから。

早く好きな人を見つけたいね。この東京砂漠。

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