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【特集:みんながつながるケアのまち<まとめ>】デジタルケアタウン構想

※この記事は「ケアラータイムズ 第5号」(2023年4月号)からの転載です。

幸福の国・フィンランド。国連の「世界幸福度報告書」で5年連続1位を獲得しています。そこには、私が目指す姿に近い?ケアのまち”が広がっています。福祉や教育が充実していることは言うまでもありませんが、実はフィンランドは「デジタル」でもEUで1位を獲得しています(2022年度デジタル経済・社会指標)。国民の理解のもと、デジタルを最大限生かす政策が進められ、膨大な医療データ(血液サンプルや体の組織も含む)の蓄積があるそうです。「医療データは国民自身のもの」という考え方が浸透しており、国民はデータにいつでもアクセス可能。旅行先の医師も情報にアクセスできるため、国内どこにいても適切な治療が受けられるといいます。これらフィンランドの事例を踏まえると、私は「デジタル×福祉=幸福度向上」という式が成り立つと考えています。
 
一方、日本では、マイナンバー制度への国民の理解が進まず、行政のデジタル化に時間がかかっています。国民の「デジタルへの拒否感」が非常に強いように感じます。なぜ、フィンランドのように、国民の理解やデジタル化が進まないのか。それは利便性が分かりにくいからではないでしょうか。これからの時代、デジタルがいかに医療や介護を支えうるか、普及啓発が必要なタイミングなのでしょう。コロナ禍によって、オンラインツールがいかに有用か理解できた人も多いと思います。デジタルが超高齢化社会にいかに有用か、そしてそれがいかに幸福につながるか、少しずつ説明していかなければと考えています。
 
人生100年時代―。すべての国民が、介護や看護に関わる時代がすぐそこに近づいています。デジタルで医療・健康・生活情報を共有したり、オンライン上で病気やケアについて語り合ったり、介護人材が足りない分をロボットで補ったり、微弱な振動から体調が分かったり、移動が難しい高齢者のために自動運転バスを走らせたり…。様々な方法でデジタルをケアに活用し、まるで“実家のリビング”のような温かいまちづくりを目指すのが、私の考える『デジタルケアタウン構想』です。これをお読みいただいているあなたも、一緒に“ケアのまち”をつくっていきませんか?
 
◆文・吉良英敏

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