#ウエディングドレスを作ります episode 0

2月に入籍した娘の、結婚式は12月。


ある時「母〜こんなドレス作れる?」
と写メが届いた。


まさか、そんな…
私が作ってもいいの??



結婚式は好きなドレスを着れば良い、
私の出る幕はない

と思っていたのに。


手仕事が好きな母の影響で、高校生の頃には
見よう見まねで自分で縫った服を着ていた。


職場の同僚が洋裁を習っていると知り、
仕事をしながら夜学の洋裁教室に通って
母のスーツやコート
自分のワンピースなどを作るようになり、

結婚して子供が生まれてからは
小さくて可愛らしい子供服作りに夢中になって、
時おり振り返るとアルバムの中は、
お揃い服の家族写真で溢れている。


特に、
たった一人の女の子である中間子の娘には
たくさんのドレスを作った。

ねんねの時期には、
いかに早く昼寝をさせて
ミシンを踏むかの毎日だったし、

幼稚園の頃は団地のママ友たちが
ミシンを持ってワンピース作りを教わりに来た。

そしてみんなが作った子供服は
お下がりで近所中をグルグル回り、
長いこと母たちの目を
楽しませてくれたのだった。

長男、娘、次男。
ピアノを習っていた3人の子供たちの発表会に
フォーマルな服を作るのも
楽しみだった。

気軽に応募した子供服作りの
コンテストの一次審査に通り、
本選には、当時住んでいた三重から東京へと
家族で旅行したのも楽しい思い出。


しかし…
いつしか、娘はスカートをはかなくなった。


着せ替え人形のように育てられた反動か、
今ではシンプルな服しか着ない。

娘が結婚する時は、
どんなウェディングドレスを着るのだろう。
そもそも結婚するのか?
そして結婚式をやるのだろうか(笑)


人前にさらされて派手な主役を演じる場は、
きっと苦手に違いない。

作りたい気持ちはもちろんあるけれど、
昭和なセンスの母が作ったドレスなんて
絶対に着てくれないだろうとあきらめていた。

そこは遠慮しないと。
気を遣わせたら娘に悪い。

…まさか、こんなことになろうとは。



#ウェディングドレスを作ります


ヒラヒラした豪華なドレスは好みではない娘。
あくまでシンプルに、スッキリと。


作らせてくれてありがとう。

何より嬉しいこの出来事を、
記録して行こうと思います


2021年 夏

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