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FIREブームから距離を置いた方がいい理由

こんにちは! 私は55FIREといいます。2021年9月に55歳で会社を早期退職し、自由な生活を楽しんでいます。
自分のFIRE経験や日々のFIRE生活をSNSを通じて発信したり、FIREしたい人の相談にのったりしています。
今日のテーマですが、表題にある通り、ブームから距離を置いた方がいい理由を話したいと思います。
SNSにはFIRE経験談が溢れていますけれども、十分な資金を用意せずに勢いで退職したり、FIREしてみたけれども日々を持て余している人がたくさんいるように思われるからです。

FIRE実現のためのたった二つの条件

FIREするためには、

1、2が金、3、4がなくて5に「やりたいこと」

だと言えます。あまりにもシンプルで身も蓋もないのですが、実際にはこの二つだけです。いざ踏み切ろうと思えば、周囲の人たちはどう思うだろうか?とか社会からはどう見られるだろうか?など気になることはたくさん出てきますが、あまり大したことではありません。

どれだけ資金を集めればいいのか?

この問いにはすでに前世紀に答えは出ていて、トリニティ大学が発表した4%ルールが有名です。
すでにご存知の方は多いと思いますが、簡単に説明すると、

金融資産を毎年4%ずつ切り崩して生活費とする

というごくシンプルなルールです。実際には金融資産は米国のインデックスファンドを前提としています。
過去の米国株式市場の値上がりが平均で年率4%なので、上昇分だけ切り崩していけば元本を減らさずに生活ができるという仕組みです。
80年代のシミュレーションでは95%の確率で元本の棄損なし、2000年代でのシミュレーションでも元本棄損なしという結果が出ています。
4%を切り崩して生活するには、逆数をとって年間生活費の25倍の資産があればFIREの準備完了ということになります。
これは年間の生活費が1000万の人は2億5千万。400万の人は1億の金融資産があればOKということになります。
(元本が減っても死ぬまでに0にならなければいい、という意見はありますが、その議論は別の機会にしましょう)。
しかし、これで本当に大丈夫でしょうか?
まだまだ考えるべきことはたくさんあります。

税リスクを忘れない

証券を売却した場合、利益の20%が課税されます。古い証券を持っていて取得価額が不明な場合、売却額の20%が徴税されますから、かなりインパクトがあるので注意が必要でしょう。

迫りつつあるインフレリスク

トリニティ大学の発表ではインフレリスクをいくらか織り込んでいたと思いますが、現在の米国のように8%を超えるインフレは想定していません。株式市場が上昇しても、インフレ率上昇で生活費が上がってしまうと、4%ルールのマジックは効力を失ってしまいます。

4%をゴールにしてはいけない

この2点の他にも介護リスクや自身の健康リスクなどたくさんのリスクが存在します。
4%達成したから、さぁFIRE!ではなく、むしろ検討のスタートラインだと考えた方がいいでしょう。本当に必要なのは何%なのかを時間をかけて考えていく必要があります。
私の場合は、40代にすでに4%を達成していましたが、時期尚早と考え実際にFIREしたのは50代半ばでした。仕事が楽しく辞められなかったというのが理由の一つになりますが、それ以上に4%程度では自分にとってはリスクが高いと考え、2〜3%程度は必要と見積もったからです。
くれぐれも4%が安全ラインだと考えないことです。

FIREは人生のゴールなのか?

次の話題を「やりたいこと」に移していきます。
SNSのコメント見ると「職場のストレスが辛いから」、「ひとと接するのが苦手だから」という理由でFIREを目指している人が多いことに気づきます。
FIREはライフスタイルの一形態であり、「やりたいこと」を実現するための下地に過ぎず、人生のゴールではありません。
私自身はこれからもずっとFIRE生活を続けていくかは分かりません。たのしそうな仕事があればFIRE生活を切り上げるかもしれません。
FIREのメリットとは、働く自由と働かない自由の両方から選択することができる点にあります。
FIREをするのであれば、資金計画だけでなく、「やりたいこと」が何なのかを突き詰める必要があります。
といっても「やりたいこと」は難しいことである必要はありません。あなた自身が、世間の評価などと関係なく心から楽しめることであればなんでもいいと思います。
先日、金融資産が数億ある人からの相談を受けました。「収入も資産も十分なものの、職務上のストレスがあまりにも高いため仕事を辞めたい」ということでした。
FIREした後、何をやりたいのかを聞くと「何もない」ということでした。これではせっかくFIREしても「することがない」という新たな悩みを抱えることになります。私は在職したまま休暇を取ることや転職前提の充電期間を取ることを提案しました。

FIREして「やりたいこと」は何ですか?

「やりたいこと」が不明瞭なまま会社を辞めてしまうと、退屈なだけでなく、社会から取り残されたような孤立感を感じメンタルに影響が出てくるかもしれません。
身の回りに定年退職後にすることがなくなり、パートナーと離婚したり、昼間から飲酒したりする人を見たり聞いたりしたことはありませんか?
「やりたいこと」がなくて途方に暮れている人はたくさんいます。
「仕事を辞めたら何をしたいですか?」というアンケートの上位に出てくるのは、旅行、グルメ、ゴルフです。
「やりたいこと」は何でもいいのですが、一つだけ重要なポイントがあります。その「やりたいこと」をすることによって

何らかのアウトプットはありますか?
そのアウトプットで誰かとコミュニケーションできますか?

ということです。
この点については後日深掘りしたいと思います。

まとめ

今日は、FIREするためには資金計画をよりシビアに行うこと、そして「やりたいこと」が何なのかをきちんと考えておくことの重要性を書きました。
FIREブームに踊らされず、上記2点を冷静に考えることが重要です。
次回は「やりたいこと」がFIREしてまでやる価値のあることなのかを判別する方法を書いて行きたいと思います。

それではSee you again!


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