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柿次郎さんに会いに行った話 その2

この話は「その2」なので、「その1」をまだ読んでいない方はこちらから先に読んでみてください。


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朝、僕は全く見覚えのない場所で目が覚めた。「どこやここは?」と一瞬考え、すぐに昨晩のことを思い出した。まだ体内にお酒が残っているらしく、腹のあたりが気持ち悪かった。隣の部屋で寝ている柿次郎さんを起こしてはいけないと、そっと顔を洗い、寝癖をなおした。年上の方の家に泊まり、先に目覚めた場合、何をすることが正解なのか答えを持ち合わせていなかった僕は、静かに持ってきた本を読んで待っておくことにした。

しばらくして、柿次郎さんが起きてきた。「銭湯に行こうか」と言われ、「これが社長のモーニングルーティーンってやつなのか」と少し興奮した。

銭湯に向かう移動のバスではワインの歴史や日本中のおすすめのお店を教えてもらった。Googleマップを広げながらお店を教えてくれたのだが、柿次郎さんのGoogleマップにはものすごい数のピンが立っていた。さっそく僕も真似をしてピンを立てることした。今では僕のマップにも少しずつピンが増えてきた。

銭湯に到着し、早速スッポンポンになり、身体を洗って入浴し、サウナに入り、とにかく話を聞いた。岐阜に行ったらこんなことをしてみたら面白いんじゃないか、こんな人がこんなことをしているよ、とたくさん教えてもらった。僕からはどうして独立して会社を起こしたのか、そしてそのきっかけは何だったのかを質問した。憧れの人と深い話を銭湯でしていることが何だか嬉しくて、日本の”裸の付き合い”という文化を噛み締め、感謝した。この頂いた話の恩は、実際に行動でこれから少しずつ返していけたらなと思う。

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写真:入浴後の柿次郎さん(歌舞伎ver)


銭湯から上がり、身体も心もポカポカになり我々は再びくいしんさんと合致し、中華料理屋にいくことになった。

結論から書いてしまうが、とにかくここはやばかった。中華料理屋といえば「餃子の王将」しか知らない僕にとっては全てが初めての味で、そしてどれもが美味かった。

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衝撃の中華料理屋「中國菜 大鵬」

どれもが僕にとって衝撃だったが、僕が一番驚いた料理は「体内浄化スープ」(名前間違ってたらごめんなさい)。おいおい、数ある料理の中でスープかよ!と怒られてしまいそうだが、このスープは二日酔いの僕にはとにかくやばかった。

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左が「体内浄化スープ」

野菜の本来なら捨ててしまう部分を煮出してスープにしている、とのことだが、一口飲んでみると、匂いから脳が自動的に想像する味とは全く違う。柿次郎さんが「地球の味がする」と言っていたが、まさに一番しっくりくる味の表現だと思う。しばらくスープを飲んでいると意識がふわふわしている自分に気がついた。何かがおかしい、しかし原因がわからない。そこで、さらに自分に意識を向けてみると、腹のあたりもふわふわしていることに気がついた。「間違いない。原因はこいつだ!」とスープの方を見ると、どこかスープがニヤッとしているように見えた(気のせい)。訳のわからんことを言っているように聞こえるが、くいしんさんも同じことを言っていたのでコンディション次第でふわふわするのは多分本当だ。大鵬に行った際はぜひこのスープを飲んでみてほしい。

スープの説明になってしまったが、衝撃の中華料理をいただいている間に急遽翌日に金沢へ行くことに決まった。もともと柿次郎さんは金沢へお寿司を食べに行く予定だったところに僕も誘ってもらった。もちろん予定が空いていた僕には「はい、行きます」以外の返事はなかった。このスピード感がたまらなく快感で、旅をしていたときの感覚を久々に思い出した。

伝説の中華料理屋を出た我々は、タクシーにのり、勢いよく京都の街中にくり出した。いくつかの場所を訪れたのだが、ここでもまた柿次郎さんの行動に勉強させられることになる。

行くところ行くところの全てで数点の商品を購入していた。初めは「この人やべぇ。これが社長の財力か、、、」と、ただ思っていただけだったが、よくよく観察していると、買う前にしっかりと店員さんとコミュニケーションをとり、この商品がどのようにして作られたのかなど、ただ買うだけでなく人との関係性も作りながら、どうしたらこの人と関わることができるのかを考えながら買っているように見えた。「なるほど、こんなお金の使い方もあるのか」と、一日ついて回るだけでたくさんの学びがあった。

たくさん買い物をしているうちに日も暮れてしまい、くいしんさんは東京へ帰ってしまうためお別れすることになった。

お別れのタイミングでくいしんさんから「この旅の思い出に」と直前で購入したIKEUCHI ORGANICのサウナタオルを頂いた。僕はサウナでかいた汗をこのタオルで拭うたびにくいしんさんを思い出すに違いない。旅の出会いに改めて感謝し、お別れした。

僕と柿次郎さんは晩御飯を食べるため、燻製料理のお店に入った。先にいくつか料理を注文し、少し遅れていっしーさん藤村さん遠藤さんが到着した。

美味しい料理をいただきながら皆の話を聞いていたのだが、話を聞けばきくほど、やはり自分がちっぽけなように感じ、自分がここにいていいのかが分からなくなる。人と自分をくらべてしまうクセはどうもなおらないらしい。

そんなことを思っているうちに夜も遅くなり、金沢へ行く準備をするため大阪の実家へ戻ることになった。帰りの電車に揺られながら、iPhoneのメモに今日の学びと「何者かになりたい」と雑に文字を打ちこみポッケにしまう。ようやく家にたどりつき、眠気を堪えながら明日のための準備をすることにした。

カバンに着替えを詰め込みながら、明日の金沢では、今日より少し”自分自身”になってみようと小さな決意をし、全てを翌日の自分に任せ、眠ることにした。

おかげさまでいつも楽しくやらせてもらってます。ありがとうございます! これからもどうぞよろしくお願いします。