今井杏太郎「麥稈帽子」

 今井杏太郎という俳人がいます。好きです。なので紹介させてください。句に一言ずつ添えていきます。今回紹介するのは、第一句集「麥稈帽子」です。読み方は「むぎわらぼうし」ですね。では私チョイスで15句ほどいきます。

春の川おもしろそうにながれけり
 いいねボタンも流れおり。

風船の離れたる手をポケットに
 手に役目あり。

風車持ちかへてよく廻りけり
 そっちが良かったのか。

桐の木が一本あって夏野かな
 あるよ。

だんだんに山の近づく涼しさよ
 頑張ったもんね。

三匹のががんぼがゐて賑へり
 わー。

老人の息のちかくに天道蟲
 見ておるよ。

向日葵をきれいな花と思ひけり
 ね。

老人に会うて涼しくなりにけり
 ゆっくりしてね。

老人が被つて麥稈帽子かな
 似合う。

目の前に人の立ちたる暑さかな
 どいて。

ハンカチを使ひ扇を使いけり
 ふう。

老人の坐つてゐたる海の家
 泳がぬよ。

病院の庭広ければ小鳥来る
 立派な樹があるのです。

いち日をなんにもせずに寒かりき
 生きている。

山の木に鴉を見たる寒さかな
 まだ奥にもいるよ。

 以上です。どうでしょうか。一句と一言。みなさんも試しに俳句を読んでみてはいかがでしょうか。(了)

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