池田澄子「思ってます」

池田澄子さんの句集「思ってます」の気になった句に一言添えてみました。すると100句あまりあったので、ここではそのうち15句を紹介させてください。ちなみに句集を読んだのは平成二十九年七月十日と書いてあります。感想も同じ日に書きました。

有り難く初桜わが加齢の日
 有ることが難しい命。

茎立や遠い昔は懐かしく
 そして今。

春寒の灯を消す思ってます思ってます
 闇に。

ちょちょっと指先三本洗いやや日永
 確信犯。

霜降の自愛以外に術はない
 くれぐれも。

蔦紅葉ひとりのときは喋れない
 たまに思考が口からはみ出ます。

花の下もの食べ合っていて安心
 わいわい。

椿から椿へ椿を褒めにゆく
 椿「ふふふっ」

ぼうたんとゆっくり言ってみて日暮
 ぼうたん。ぼーたん。

片陰や歩幅合わせていてくださる
 やさしさに気付かれるという失態。

寒林や烏つやつや硬そうや
 ヘアスプレーで固めております。

夏掛や逢いたいお化けは来てくれず
 実体がないので呼び鈴が押せぬそうです。

寒ければ各自我慢のうえ集合
 吟行なら致し方ない。

今年また此処に菫や誕生日
 菫ほどな小人が祝っておりました。

来るのはいつも同じ蝙蝠かしら来た
 輪番制となっております。

実はこのような一言を連ねていきお手紙にもしたのですが、送った形跡がありませんでした。池田澄子さんの句は大好きです。そういえば現代俳句協会のHPに有料のインタビュー動画があったはず、見てみなければ。(了)

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