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おバイク一人旅~秋田県角館町→岩手県錦秋湖→福島県いわき市(3日目)2021.4.24

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今回のおバイク一人旅も、いよいよ最終日。
前日までの抜けるような快晴ではないものの、雨の心配がない明るいミルキースカイに、心からほっとした。この日は、お花見をしながら歩くという、雨では厳しい予定を立てていたからだ。
今日はどんな景色が見られるだろうと、わくわくしながらルートを確かめた。

予定では、古城山公園から回るつもりでいたけれど、1番の観光地に行ってみようと思い直し、角館駅周辺に向かうことにした。

駅方面へ向かう橋にさしかかると、川沿いをずらりとピンクに染める、見事な桜並木が迎えてくれた。
私のスマートフォンのカメラでは、伝わらないのがもどかしい。日本有数と言われる、桜の名所への入口だった。

有名な武家屋敷のそばに、車の有料駐車場を見つけて、安心して観光を楽しみたいと、四輪と同じ値段でバイクを預けた。これで、心配なく街を散策できる。
しだれ桜の見頃は過ぎたと聞いていたが、行ってみると、まだ充分に美しく、誇らしげに咲いていてくれた。

散策の途中、橋から見えた河原に行ってみると、こちらは見事な桜のトンネルだった。
堤防の両側に、桜の木が延々と並んでいる。視線を上に向けると、空を埋めるように広がるのは、星の数かと思うほどの花たち。
完璧すぎるほど、完璧な日本の春が、ここにあった。

再び街に戻ると、可愛らしい秋田犬に会うことができた。
ババヘラアイスのカラフルなパラソルが、街角にいくつも咲き、人力車もお客さんを待っている。春の角館は、華やかな和の雰囲気に包まれ、本当に素敵だった。

この先はR101から、角館六郷線と呼ばれる県道11号を通り、さらにR13に入って、横手まで一気に南下するルートを選んでいた。
角館六郷線は、山並みの眺めが良く、走りやすい県道だ。桜やユキヤナギなど、春の花も多く咲いている。小さなホトケノザが群生して、紫のカーペットを作った一角は、雑草とは思えないほどに素敵だった。

R13に入ったところで、道の駅美郷に寄ると、ババヘラアイスのパラソルが目に入った。
ババ(秋田弁で中高年の女性)が、ヘラでアイスを盛り付けるから、ババヘラアイス。大きな缶に半分ずつ入った、ピンクと黄色のアイスが、職人技で動くヘラですくわれ、あっという間に大輪の薔薇の花となる。これを見るのは二度目だけれど、今回も自分の目が丸くなるのがわかった。
ババさんが最後のひとすくいで歌った♪オマケちゃんし~ましょ♪というフレーズが可愛らしく、ほんのり暖かくなった気持ちで、冷たいアイスを楽しんだ。

横手でR107に入り、2年前に泊まったホテルを横目に見ながら、進路を西に変えた。
ここから、秋田と岩手の県境を越えて、錦秋湖に向かう。
山間の国道を走っていくと「湯田牛乳」と書かれた、大きな看板を通り過ぎた。地元の乳業メーカーの店舗だろうか、牛乳やソフトクリームが味わえるらしい。
気になり、引き返そうかと思ったが、角館で時間を使いすぎたことを思い出し、諦めて走り続けた。

錦秋湖は、地図で見ると、巨人が左右にぐーんと伸ばしたような、東西に細長い湖だ。後で調べたところによると、人が作ったダム湖だという。
そのせいだろうか、錦秋湖の湖面からは、何本もの木々が頭を出して、当然のようにすっと伸びていた。
光合成や呼吸は出来るだろうけれど、幹が腐ってしまわないのかと、思わず心配になった。

道の駅錦秋湖は、風景に溶け込んだ、なかなか可愛らしい外観をしていた。
ツーリングマップルにコメントのあった、ゆば丼を食べようと、うきうきしてレストランに入ったものの、残念ながらメニューにゆば丼がない。
しかし、天ぷら蕎麦を注文すると、天ぷらにはふんだんに山菜が使われていて、とても嬉しくなった。
もう1品の、地元野菜のサラダは、揚げ湯葉とおせんべいが添えられ、野菜も新鮮。どちらも、とても美味しくいただいた。

この後はもう、高速道路で地元へ帰るだけなので、のんびりと食休みをすることにした。
駅の裏に、展望台のように高くなった場所があったので、登ってみると、錦秋湖の水面がきれいに見えた。緑がかって見える水の色は、天気によって変わるのだろうか。

駅の売店では、ありがたいことに、途中で見かけた湯田牛乳のソフトクリームが売られていた。
いくつかフレーバーがあったけれど、迷わずプレーンを選択。素の牛乳自体が、とても美味しいということがよくわかる、濃厚でしっかりした味わいだった。

ソフトクリームを食べ終わると、愛機にまたがり、後ろ髪を引かれる思いで、再びR107を西へと走った。
山の景色が街に入れ替わると、もう少しで、帰り道の高速道路だ。楽しい旅が終わるのは、とても淋しいけれど、気を抜いてしまっては大変なことになる。
帰ったら愛機を洗おう、エンジンオイルも交換しなきゃ。お守り代わりに、これからするべきことを考え、北上江釣子ICから東北道に乗って、無事に帰宅することができた。

この日の走行距離は、約440km。
3日間合計で、約1,020kmの旅となった。
毎回そうなのだが、旅を終えて帰宅した後、のんびり自宅のお風呂に浸かると、無事に帰ってこれたという実感がわいてくる。
次は、どこへ行こう。そう考えるわくわく感は、無事故で帰宅できたことの、ちょっとしたご褒美なのかもしれない。


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