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僕が子供縁日で稼ぐ理由【後編】

何も考えずに合言葉のように唱えていた【稼ぐ】という言葉。
今思い返してみれば運営メンバーそれぞれの思惑がバラバラでのスタートでした。
とりあえず利益をプラスにする事。そうすれば僕たちがイベントを行っている意味が出来る。そもそも【イベント】って呼ばれたくない。僕たちは助成金で訳の分からない事をやっているあの人たちとは違う!
子供達も喜んでいるし僕は良い事をしているはずだ。お客さんも沢山来てほしい。沢山来てくれた方が成功だと分かりやすいから。
お天守フェスをやり出した頃はこんな事ばっかり考えていました。

自分たちで企画してイベントを行うようになったきっかけは自分の地域で行われている【開催する事が目的の予算消費イベント】への憤りでした。なので最初の頃は訳の分からないイベントを垂れ流す年長者たちへの怒りと見せつけてやるという承認欲求が強かったです。

そんな僕たちが念願の黒字になった時に、自分達のやりたい事を詰め込んだ【開催する事が目的の自己承認イベント】で生まれた利益の扱い方が分からずに僕はちょっとしたパニックになりました。

前回の記事はこちら

_稼いじゃった。知られたらやばい

通帳に残った20万ちょっとのお金で気が動転した僕は、とりあえず運営のライングループに入っていて参加率の少ない人を退出させる奇行に走りました。知られたらやばいと思って。何もやばくないのに。
そしてそのお金の使い道に困りました。目的無く複数人で稼いだお金がこんなに厄介な物に思えるなんて。次のイベントへのプール金も必要だけど利益に対する考えがみんなバラバラ。余剰分は分配しようと言う人もいれば「そんなつもりで協力した訳じゃない」とお金を受け取らない人もいる。
始めは運営するお金がなくて困っていた僕たちが次は稼いだお金の扱いで困る事になりました。

_子供達の為に!をもっと具体的に考えてみる

子供達に楽しんでほしい、地域に賑わいを作りたい!
そう思って何かを企画することは悪いことではないけれど、無料でやりますでは続かない。そもそも開催すら出来ない。やはりお金からは逃げられない。
けれど、地域のイベントで稼ぐ事に抵抗がある人って多いと思うのです。子供達の為に!とか言っちゃうと尚更稼ぐ事と矛盾する気がして。
賑わいを作りたい!って僕は言っていたけど、なにを目的にして集まった人で賑わいを作りたかったんだろう。

子供縁日で稼ぐって、表面だけ見たらなんだかんだと金銭を追いかける話に見えちゃうかもしれないけど、実はそこには僕が実現したいストーリーがあるんです。

まちはカスタマイズできる

子供たちが公園に関われば関わるほど公園が楽しくカスタマイズされる。そんな公園があったら楽しいと思いませんか?子供たちが日々の生活の中で「あったらいいな」と思うものを、彼らからの声を聞いてお天守フェスで稼いだお金で具現化する。ただの遊び場を超えて彼らの小さな夢は地域全体で実現できるんだよっていう成功体験を味わってほしいのです。

子供たちからアンケートを取って公園に何が欲しいか聞く。このシンプルな行動がどれだけ子供たちにとって特別なことか、そしてその声を形に変えていくことが地域全体にどれほどの価値をもたらすか。それは行政がトップダウンで「これがいいだろう」と決めつけるのではなく、子供たちが公園に本当に遊びたい形を創り上げていくまさにグラウンドアップの発想。子供たちの目線で彼らが主役の公園を一緒に作っていくんです。

参加すればするほど公園はもっと楽しい場所になる。この魔法のようなサイクルはお天守フェスで稼いだお金がただの数字ではなく、地域の子供たちの笑顔や次の夢へのステップに変わる瞬間を作り出しています。ここで稼ぐ理由はただ単にイベントを盛り上げるためではない。それは子供の頃から自分たちでまちを作っていく体験をしてほしい。お金を稼ぐこと自体が目的じゃなく稼いだお金で何を生み出せるかその先にある日常と繋げてサイクルしていきたいのです。

だから、僕たちが子供縁日で稼ぐ理由は地域に根差したより良い未来を一緒に描いていくため。子供たちが自分たちの声を形にできる場を作り、まちに関われば関わるほど楽しい場所になっていく。
そんな地域社会を作るために僕たちはこれからも子供縁日で稼ぎ続けます。子供たちの小さな「あったらいいな」から、大人も一緒になって「作ろう」という大きな「できたね」へ。このプロジェクトは、ただのイベントを超えた、地域全体で育む大切な宝物なんです。

なので僕は4月に迫った次のお天守フェスの為に、またせっせと自作のイライラ棒を作るのでした。
後編へ続くと書きながら気がつけば数ヶ月。。ここまで読んでいただきありがとうございました!

おしまい


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