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O(お仕事したくない)L(レディ)のよかったこと 10年目の春がきたのでカレーを食べた編


「4月で私たちは出会って10周年だよ」と、その日遊びに来ていた友達が言った。

16の時に同じ高校に入学し、同じクラスになって以降の付き合いだというのは何とも数えやすく、節目を感じやすいものだ。
春は出会いの季節とはよくいったもので、春に出会った人のことは、時間が経ってもずっと出会った頃のことを思い出しやすくできているのだと思う。それにしても10年とは、と感慨深くなるやら、こんなに付き合ってくれている彼女をありがたくおもうやらだ。

面と向かって言うのはどうも照れるので、こういう時は田舎のおばあちゃんの人格が私の中に降りてくる。
アラアラマアマアそうだわねえ、お世話になったわねえこれからもどうぞよろしくお願いしますねアラアラマアマアといいつつ、何杯目かのハイボールを乾杯した。
それから、なんか、温泉とかいってさ、ゆっくりしたいよねえ、などという話をした。流れた月日を感じる会話だと言ってしまえばそれまでだ。

10周年記念だからというわけでは全くなく、翌日我々は渋谷の無印良品で遊んでいた。私たち、無印良品で無限に遊べることに強い自信がある。
そして10周年記念だからというわけでは全くなく、ただ単純にカレーが食べたかった。

「無印良品のさ、カレーの好きなやつ買ってお米炊いて、今晩食べようよ」「絶対楽しいやつだ」という会話があり、カレーパーティがあった。神はこれをみてよしとされた。第7日のことであった。


まあ神によしといわれようがいわれまいが最高なパーティだったんですよ、写真で察してください。

ナンって簡単に作れるもんだねえと言いながら、そういえば私は家庭科の授業で彼女と同じ班になったことはついぞなかったような気がした。10年はあっという間で、10年のうちに二人で出来たことというのは、実はそう多くなかったのだ。そう思うと愕然とする。出会った頃の事、思いだせるなんて冒頭で書いてみたはいいけど、正直最初になんて話かけて仲良くなったのだったか、全然思いだせない。彼女は覚えているだろうか。私たちあの頃もしかして、物心ついてなかったんじゃないかしら。

カレーを食べながらまた、いやあ温泉いきたいよねえと話した。
多分次に会う時も同じ会話をする自信がある。こうやって、何となく同じ会話をなぞりながら、何となく違う日を過ごして10年が過ぎたのだ。

やっぱり気恥ずかしくて言えなかったけど、温泉にいこうねを口約束になんかしないぞと、静かに心の中で決意していた。世間は令和元年らしいけど、あたしたちは10周年なので、温泉にも行く。
これは次の10年への祈りだ。
10年前にたしかにあった、あの春の延長線上で私たちはカレーを食べている。この春の事を私はずっと覚えていたい。








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